訃報

名誉教授 秀島 光夫(ひでしま てるお) 氏(享年92歳)

秀島 光夫 氏  名誉教授 秀島光夫先生が平成28年2月10日に逝去されました。先生は,昭和22年北海道帝国大学理学部物理学科をご卒業され,同23年より理化学研究所に勤務されました。その後,昭和39年北海道大学工学部に新設された応用物理学科の教授に迎えられ,応用物性学第二講座の担当者として,同学科の基礎の確立と発展に大きく貢献されました。先生の研究分野は,ソフトマター物理学,特に高分子物理学であり,一貫して高分子固体物性の研究に従事し,独創的かつ優れた業績をあげられました。また,学部,大学院の講義や研究指導を通じて教育にも力を注ぎ,学生から強く慕われていました。
 先生の主要な業績は,高分子のガラス転移を自由体積変化の非線形緩和現象として解明したこと,結晶性高分子個体のミクロ構造と緩和現象との関連を明らかにしたこと,高分子の分子運動特性を決めるのに有用な緩和スペクトロスコピーの手法を確立したことなどであり,いずれも国内外において高い評価を得ています。昭和34年にはガラス転移における力学緩和現象の研究により理学博士の学位を取得され,同60年には,「高分子のガラス転移及び緩和現象の研究」により,高分子学会より高分子科学功績賞を授与されました。また,平成11年には,勲三等瑞宝章を受章されています。
 学外では,応用物理学会評議員,理事,北海道支部長,高分子学会北海道支部理事などを歴任され,学会の発展と研究者の育成にご尽力されました。また,ドイツでの在外研究員をはじめ,多くの国際学会で研究発表されるなど,研究の国際交流にも大きく貢献されました。
 昭和61年に本学を停年退官されたあとは,新設の北海道情報大学の教授に迎えられ,同大学の設立にも大きく貢献されました。同大学を定年退職後は,ご自宅にて物理学書を耽読する日々を送られていました。
 先生の長年にわたるご貢献に改めて感謝し,ここに謹んで心よりご冥福をお祈り申し上げます。

(工学院・工学研究院・工学部)

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