訃報

名誉教授 佐久間 敏雄(さくま としお) 氏(享年84歳)

佐久間 敏雄 氏  名誉教授 佐久間敏雄先生が,平成28年8月21日に逝去されました。ここに先生の生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 先生は,昭和7年2月15日新潟県佐渡島に生まれ,同30年3月北海道大学農学部農芸化学科を卒業後,北海道開発局土木試験所土壌保全研究室に勤務されました。昭和45年10月に北海道大学農学部助教授に就任,同62年4月に教授に昇任され,農芸化学科土壌学講座を担当されました。平成7年3月に停年退官されるまで,本学の教育と研究指導に尽力されました。また,19年間の永きにわたり放射線取扱主任者を務められ,現在の農学部のアイソトープ研究環境の充実に対して大きな貢献をされました。
 先生はご研究で,土壌生成,土壌物理,土壌化学の基礎研究を通して,土壌を巡る物質の循環を定量的に評価し,土壌の生産力,緩衝力を総合的に解き明かそうとされました。これは,酸性化,侵食,温室効果ガス排出,栄養塩流出といった土壌劣化,環境負荷を抑制し,土壌の生産性を持続させるために無くてはならない研究であり,現在の土壌学の中心概念の一つとなっています。
 また,先生は,地域社会に対しての貢献も惜しまれず,北海道農用地開発事業,北海道土地改良事業,国営土地改良事業などの専門委員を務められ,道路緑化保全協会委員,道央自動車道土壌改良効果調査研究特別委員会委員長として道路防風林整備,周辺環境との調和を目指し尽力されました。さらに日本学術振興会特別研究等審査会専門委員,日本学術会議農業総合研究連絡委員会委員,文部省学術審議会専門委員を務められ,学問の振興と社会還元に対して大きな役割を果たされました。
 このように,先生は,長期にわたる研究・教育活動を通して,国内外において,土壌学研究の発展に多大な功績を残されました。
 先生の御霊が安らかであられますよう,ご冥福を心より祈念いたします。

(農学院・農学研究院・農学部)

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