農学院・農学研究院・農学部は11月25日(金)に農学部大講堂で,札幌農学同窓会とともに,学生を対象とした第7回Sapporo Alumni Lecturesを開催しました。本講演会は,社会で活躍している農学部卒業生を招いて学生に講話していただくもので,農学部を卒業して今日までの様々な経験やそこから得た人生観を語ってもらい,学生の今後の学びや将来の目標を考える機会にしてもらうことを目的としています。本年は,タカラバイオ株式会社より松下秀之氏,広島工業大学より越智幸三氏をお招きして開催しました。
横田 篤研究院長による挨拶の後,松下氏より「わが研究の軌跡と応用菌学100周年」と題して講演いただきました。農学部での卒業研究に始まり,企業において国内外の大学との共同研究も含めて実施してきた生化学・細胞医療につながる数多くの研究や,工場竣工にまで至るキノコ人工栽培の事業化等,企業研究員としての幅の広い経験に基づいた講演でした。加えて,卒業後の同窓会の重要性について,更に昨今の基礎研究やイノベーションに対する気運・危機感について考える機会となる話題も提供いただきました。
続いて越智氏より「研究はなぜ楽しいのか;趣味の研究,道楽の研究」と題してご講演いただきました。博士取得後,米国の国立衛生研究所,民間企業,農林水産省食品総合研究所,そして大学と研究の環境を変えながら「生物のストレス応答とその利用」について研究を続け,何本もの大型研究プロジェクトを掌握して「眠った遺伝子を起こすリボゾーム工学」を提唱・発展させてきた話を,多くのエピソードを交えながら講演いただきました。学術的にも大変興味深い研究を推進されてきた著名な研究者であり,かつ大型プロジェクトを多数実施されてきた実績もあり,参加した教員にも刺激になる講演でした。
先輩方の講演を聞こうと150名の学生が参加しました。学生から質問も多数あり,講師は丁寧に回答されて,理解が深まりました。最後に柳村俊介副研究院長による挨拶で閉会しました。
今回の講演内容は,企業の研究職を希望する学生にとっては自己の将来像として参考になるものであり,また,日々実験・研究に取り組む学生にとっては研究に対する意識や姿勢を改めて考え直す良い機会となりました。ご講演いただきました松下氏,越智氏には,ここに改めて感謝申し上げます。