北海道大学病院は10月28日(金),医学部学友会館「フラテ」大ホールにおいて,「北海道・サハリン州がんシンポジウム」を開催しました。本シンポジウムは,北海道とサハリン州との医療交流の促進を目的として,札幌医科大学附属病院,サハリン州立病院,サハリン州立がんディスペンサリー(腫瘍予防診療所)との共催,北海道,サハリン州政府,公益財団法人日露医学医療交流財団の後援を受け,「公益信託北海道・ロシア極東医療交流基金」による助成事業として開催され,サハリン州からは政府関係者・医療関係者10名(団長:パク・アレクセイ・ケネノヴィチ サハリン州保健省大臣)が参加されました。
シンポジウム前日には,本院,札幌医科大学附属病院,医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院の視察が行われました。本院では,寳金清博病院長との懇談と院内見学が行われ,懇談では寳金病院長からの本院概要や日本の医学教育制度等の説明に対して,パク大臣からはサハリン州における医師確保のための政府事業について紹介がある等,特に医師不足・偏在問題について意見が交わされました。
シンポジウムは,寳金病院長からの挨拶に引き続き,来賓の高橋はるみ北海道知事,パク大臣,ファブリーチニコフ・アンドレイ在札幌ロシア連邦総領事からご挨拶をいただき,開会しました。
第1部では,サハリン州立がんディスペンサリーのスタルツェフ・セルゲイ・スタニスラウォヴィチ副院長から「サハリン州における腫瘍学部門の現状」,札幌医科大学の宮西浩嗣准教授から「肝癌のスクリーニングと化学療法の新展開」,大沼啓之助教から「胃癌の早期発見と化学療法の新展開」,本学の西原広史特任教授から「ゲノム医療を切り拓く;クラーク検査について」と題し,4氏が講演を行いました。
第2部では,サハリン州立がんディスペンサリーのウホワ・イリーナ・イオシフォヴナ放射線診断科長から「サハリン州立がんディスペンサリーの悪性腫瘍発見能力」,本学の清水伸一教授から「実時間画像誘導機能を用いたスポットスキャニング陽子線治療」,北里大学の岡本正人特任教授から「がん免疫療法の現状〜チェックポイント阻害剤とがんワクチンを中心に〜」と題し,3氏が講演を行いました。
活発な質疑応答が行われる等,本シンポジウムは盛会のうちに,山下敏彦札幌医科大学附属病院長からの挨拶で閉会しました。
がん治療に関する最先端の知見をサハリン側と共有できただけでなく,道内から100名を超える参加者が集まり,日ロ間の交流を深める大変有意義な会となりました。