本シンポジウムは,ソウル大学校のYoungwoon KIM教授のご協力のもと,工学研究院材料科学専攻とソウル大学校工科大学材料工学科との間で開始され,3回目よりHeung Nam HAN教授を窓口とし,今回は11月25日(金)に工学研究院材料化学棟内大会議室において開催しました。ソウル大学校・本学双方から計10名の教員に,本学の大学院生・学部生20数名を加えて,計30名以上の参加者となり,教員から材料科学に関する最新の研究が紹介されました。今回のテーマは“Microstructure-Property Relationship in Materials(材料における微細組織と特性の関係)”でしたが,それぞれの研究の応用範囲は幅広く,個々の専門を超えて活発かつ有意義な討論が行われました。発表された研究の中には類似の内容もあり,近い将来の共同研究につながる分野もありました。また,大学院生を中心にポスター発表も行われ,ソウル大学校・本学教授陣が審査した後,2名に優秀ポスター賞を授与しました。さらに,本学の新渡戸カレッジを念頭にした学部生対象のインターンシッププログラムの運用も積極的に進める方向で一致しました。本シンポジウムは,来年度はソウル大学校に場所を移して行われます。
本分科会は1月30日(月)に本学スラブ・ユーラシア研究センターにおいて,ソウル大学校ロシア・東欧・ユーラシア研究所との共催で開催しました。
今回のテーマは「ロシア・ユーラシアにおける他者性」で,国境を越えた人の移動や異文化接触などをテーマに,文学・言語・人類学・政治学などを専門とする10名の研究者・大学院生が報告を行いました。本学からは教員3名・大学院生1名,ソウル大学校からは教員3名・大学院生3名が参加し,また議論を実りあるものとするため,本学の教員4名が討論者の役割を担いました。プログラムは,両大学の大学院生4名による第1セッション,移民と国際政治を扱う第2セッション,異文化表象や亡命文学を扱う第3・第4セッションを行いました。
分科会10
The Exploration for Change and Innovation of Teaching and Learning
in Higher Education
教育学習の変化と革新のためのナビゲーション/高等教育推進機構 教授 細川敏幸
本分科会は11月25日(金)に高等教育推進機構情報教育館の共用多目的教室で開催し,延べ22名が参加しました。本学からは,重田勝介准教授がオープンエデュケーションセンターにおける,MOOCを利用した反転学習の試みについて紹介しました。亀野淳准教授はジェネリックスキルとしてのリテラシーやコンピテンシーの重要性から,その測定をおよそ700名の学生に実施した結果を説明しました。コンピテンシーを規定する要因には留学や海外旅行が認められました。
一方,ソウル大学校CTL(Center for Teaching and Learning)からはPark Jung Hee教授とHong Hae Li Naさんによりアカデミック・ライティング指導についての説明がありました。CTLでは,毎年200〜300名の指導が行われています。Seo Deog-JinさんはK-MOOCを利用したe-ラーニングのコンテンツ作成について説明しました。Lee Misukさんは学部生を対象にしたアカデミック・カウンセリングについて紹介しました。毎年延べ800件の相談があり,学業やうつ病など本学と類似の相談が寄せられているそうです。Yoon Hansolさんは学生による授業評価アンケートをもとに,キーワードによるコンテンツを分析した報告でした。授業の長所・短所をキーワードで導き出し,それを教員に還元し教育改善に役立てるもので,学生とのコミュニケーションが重要であることなど,我々の結果とよく似ており興味あるものでした。
最後に,CTLセンター長のHa Soon-hoi教授が全体をまとめられ,多くの共通の課題があることから,今後も定期的に情報交換を行うことを約束して閉会となりました。
 シンポジウムの様子 |
分科会11
4th HUH-SNUH-SHH Joint Symposium
第4回北海道大学病院−ソウル大学校病院ジョイントシンポジウム/北海道大学病院長 寳金清博
11月24日(木)・25日(金)に本分科会を開催しました。今回も昨年に引き続き,本院と部局間交流協定を締結している台北医学大学双和病院が特別参加しました。
分科会の前日には,北大病院ツアーとして,腫瘍センター,陽子線治療センターの見学を行い,本院の集学的・診療科横断的治療や,最先端のがん治療施設などについて紹介しました。その後の懇親会では終始和やかな雰囲気の中,専門分野を超えて情報交換がなされました。
分科会は寳金清博病院長,ソウル大学校病院のChang Suk Suh病院長,台北医学大学双和病院のMing-Te Huang副病院長による挨拶で始まり,「Recent Advances in Cancer Treatment(がん治療の新展開)」というテーマのもと,「内科的がん治療の最新トピックス」「外科的がん治療の最新トピックス」「がんの診断と治療に関する最新トピックス」と題した3つのセッションから構成されました。3大学から多数の教員,医療関係者等の参加があり,各セッションの終わりには各大学での特徴的な取り組みを踏まえた活発な質疑応答,意見交換が行われ,本分科会は豊嶋崇徳国際医療部長からの挨拶により盛会裡に閉会しました。
今後も両大学病院間の連携強化のみならず,3大学間の緊密なネットワーク構築によるさらなる発展が期待されます。
 分科会参加者による集合写真 |
 活発な議論の様子 |
分科会12
Advanced Veterinary Sciences: From Bench to Clinic
獣医科学の最先端:基礎研究から臨床応用にむけて/獣医学研究科長 稲葉 睦
本分科会は,11月25日(金)に獣医学研究科講義棟第2講義室において開催しました。本学の山盛 徹准教授並びに大田 寛講師,ソウル大学校のKANG Kyung-Sun教授が司会を務め,獣医学研究科長の稲葉 睦教授並びにソウル大学校獣医学部長のKIM Jae Hong教授から開会の挨拶がありました。シンポジウムでは,本学から3名,ソウル大学校から3名の合計6名の教員が講演を行い,最先端の獣医学研究及びその臨床応用展開について議論しました。各講演に対しては,獣医学研究科教員並びに大学院生から多くの質問が発せられ,活発な質疑応答が行われました。シンポジウム後の昼食会では,今後のジョイントシンポジウム開催方法や将来の学生交流の実施の可能性について意見を交換しました。また,シンポジウム終了後には,大田講師による獣医学研究科附属動物病院の案内が行われ,ソウル大学校の先生方に日本の小動物医療の現況を見学していただきました。
来年度以降は,大学院生による発表等も視野に入れ,引き続き最先端の獣医学研究をトピックに取り組んでいく予定です。本分科会の開催にあたりご尽力をいただいた両大学の皆様に,心よりお礼申し上げます。
 質疑応答の様子 |
 講演終了後の参加者の集合写真 |
分科会13
Local Governance and Public Policy in the Globalized World
グローバル時代における地方自治と公共政策/公共政策大学院 専任講師 池 R周 直美
本分科会は,ソウル大学校行政大学院と公共政策大学院との初の交流を目的とする分科会として,セッションを2つ設けて11月24日(木)にシンポジウムを開催しました。
第1セッションでは,ともに少子高齢化が著しく進んでいる日本と韓国において社会福祉の現状やあり方,ソーシャル・キャピタルの活用などについて,所定の時間を超過するほど活発な議論が行われました。特に,日韓における若者の雇用問題や困窮した状況,高齢者の介護問題や孤独死,そして女性(特にシングルマザーなど)の貧困化などについて議論を進めました。第2セッションでは,地方分権が進む両国において,最近の地方自治体や地方政府の動向について議論し,今後両国における地方自治の在り方や中央との関係について議論を進めました。
今回の分科会では,公共政策や地方自治に関する最新の議論を交わすことができ,今後交流をさらに深めて比較研究や共同研究などをすることも検討しました。
 集合写真 |
分科会14
2016 Hokkaido University − Seoul National University Joint
Symposium in Ophthalmology
第11回日韓眼科シンポジウム/医学研究科 診療准教授 南場研一
11月14日(月)に医学研究科中央研究棟3階セミナー室において,本分科会を開催しました。本学から教員7名,医員8名,大学院生4名,研修医3名,視能訓練士2名が,ソウル大学校からHyeong Gon YU教授,In Hwan CHO先生,Woon Hyung GHIM先生の3名が参加しました。開会の挨拶の後,本学の南場研一診療准教授による「原田病におけるインドシアニングリーン蛍光眼底造影」についての講演,また,ソウル大学校Hyeong Gon YU教授による「眼内悪性リンパ腫」に関する講演が行われました。その後は各10分の演題が本学から6題,ソウル大学校から2題が発表されましたが,最新の話題や興味深い演題が多く,活発な議論が行われました。同じアジアで臨床研究・基礎研究に真摯に取り組んでいる姿勢に,若い日本の眼科医も良い刺激を受けたことと思います。
シンポジウム後の懇親会では双方の眼科医療事情や生活習慣の違いなどについてお話しするとともに親睦を深めることができました。また,前日の13日(日)には,ぶどう膜炎の難治症例について症例検討会を行い,本学から2症例,ソウル大学校から2症例の呈示がなされ,活発な討論をすることができました。
次年度はソウル大学校にて第12回日韓眼科シンポジウムを行う予定です。
 参加者による記念撮影 |
 懇親会にて記念撮影 |
分科会15
SNU-HU Joint Course: Environmental Chemicals and Human Health
協力講義:環境化学物質と人びとの健康/環境健康科学研究教育センター 特別招聘教授 岸 玲子
11月24日(木)・25日(金)に,本分科会を開催しました。3回目となる分科会は,初めて共同教育プログラムとして実施しました。ソウル大学校公衆衛生大学院からKyungho Choi教授,Kiyong Lee教授,Sungkyoon Kim教授,Chung Sik Yoon教授の4名に加えて,大学院生11名が来日しました。本学からは7名の教員が講義を行い,14名の大学院生が履修しました。履修生は,医学研究科,獣医学研究科,工学院,農学院,生命科学院,環境科学院,保健科学研究院に所属し,日本人に加えて中国,香港,スリランカ,バングラデシュ,インドネシア,マレーシア,エクアドル,エチオピアからの留学生が参加し,分野横断型かつ国際色豊かな講義となりました。自己紹介及びオープニングとして環境化学物質による健康影響の問題提示に始まり,ソウル大学校及び本学で推進している環境化学物質曝露による健康影響に関する研究成果も含めた講義が提供されました。また,ソウル大学校生と本学大学院生から構成された5チームによる事前学習課題の成果が発表され,予定の時間を超過して活発な質疑応答が行われました。
参加者による事後評価書では,概ね満足,この講義を勧めたい,と回答を得ました。特に,事前課題や懇親会も含め,両校の交流を深められたことがとても有益でした。次年度も引き続き分科会を開催予定です。
 大学院生の発表風景 |
 集合写真 |
分科会16
Joint Symposium on Hydro-environment Engineering
水文環境工学に関する合同シンポジウム/工学研究院 教授 清水康行
11月24日(木)に工学部において,本学の清水康行教授及びソウル大学校のIl Won Seo教授の協力のもと,本分科会を開催しました。分科会では,本学から4名,ソウル大学校から4名が研究発表を行い,議論を進めました。発表テーマは河川工学に関するもので,石狩川流域の治水の歴史,平成28年8月北海道豪雨災害の報告,軟岩河川の河床・流路変動特性,植生侵入に伴う河床・流路変動特性,汚染物質の河道内での拡散予測,清渓川(チョンゲチョン)における非特定汚染源負荷である大腸菌量の予測法など多岐にわたり,良い情報交換の機会となりました。
分科会終了後の25日(金)には札幌市内を流れる豊平川を見学し,札幌市豊平川さけ科学館,豊平川花魁淵の調査サイト,豊平峡ダムなどを巡るツアーを実施しました。参加者は15名で,本ツアーでは豊平川の治水,利水,発電,環境への取り組みなどを紹介しました。
懇親会では,このような情報交換を引き続き実施することとし,次年度,ソウル大学校における第20回ジョイントシンポジウムでの分科会開催が決まりました。
 シンポジウムでの集合写真 |
 豊平峡ダムへのフィールドトリップでの集合写真 |
分科会17
Interdisciplinary Approach of‘Dream’in East Asia
東アジアにおける夢の学際的研究/文学研究科 教授 櫻井義秀
11月24日(木)にソウル大学校・本学の第4回社会学合同シンポジウムを本学で開催しました。昨年はソウル,本年は札幌で「夢」を共通のテーマにして日韓それぞれの課題を話し合いました。
日本側の演題は「NHK調査に基づく40年間の日本人の望み」「戦後日本の学生運動と宗教運動における社会変革の理念」「破れた夢−日本の中間層が抱く不安」,韓国側の演題は「東アジアにおける市民社会の構造と社会関係資本」「韓国における戦争記憶の乖離をいかに埋めるか」「詩が死んだ社会において詩人となる夢」でした。
期せずして日韓に共通する格差社会や夢を諦める若者世代の話が中心となりました。その後,ソウル大学校側から韓国人の夢は中流生活の実現に留まるものではないこと,日本人の戦争の記憶が本土の空襲や広島・長崎の原爆など戦争の傷跡に留まり,朝鮮半島の35年に及ぶ植民地支配や南北分断の苦難への想像力を欠いた歴史修正主義の台頭に韓国人の恨(ハン)がうずくという発表があり深く考えさせられました。グローバル化する現代社会だからこそナショナリズムが強まり,他者への寛容さと対話の用意を備えたローカリズムが必要ではないかと考えます。そのためには地理的に歴史的に関係の深い国々や人々が抱く記憶や夢を想像しながら,内閉的で屈折した愛国主義を内省的で開かれた愛国主義に転換していくべきでしょう。
 集合写真 |
分科会18
Administrative Meeting for the Joint Symposium
ジョイントシンポジウムに係る実務者会合/国際連携機構長 上田一郎
11月24日(木)に,国際連携機構で,双方の国際担当部署による今後のジョイントシンポジウムに関する打合せが行われました。
来年度には20回に到達するソウル大学校とのジョイントシンポジウムは,年々参加部局が増え,数百人という参加者を生む大学規模の催しとなっています。この関係性を維持する重要性を確認し,更に発展させていくにはどのような形態が可能であるか,国際担当部署の認識を共有しました。
今後は,これまでの参加部局への意向調査を踏まえ,継続的関係を維持しながら深化させられるよう進めていくことになります。
 会合風景 |