スラブ・ユーラシア研究センターは,12月8日(木)・9日(金)の2日間,恒例となっている半期に一度の国際シンポジウムを開催しました。今回は,ソ連及びユーゴスラビアが解体して体制転換が一段落した1991年から25年という一つの区切りの年にあたることから,社会主義体制が解体した後の25年間に進展したスラブ・ユーラシア諸国における「多様化」に注目し,その様相を比較することを試みました。
シンポジウムでは6つのセッションが設けられ,1日目には「体制転換の有無とドイツの境界」「社会・政治変化の転換点とスラブ・ユーラシアにおける言語変化」「旧ソ連諸国における国家セクター改革の比較:ロシア,中国,インド」の3つのセッション,2日目には「ポスト共産主義社会における家族と国家」「ユーラシアにおける腐敗と反腐敗」「ネオリベラリズムとその敵:ポスト共産主義国をめぐる戦い」の3つのセッションが開催され,17名が報告を行いました。報告者の国別では,日本が8本(うち1本は共同報告),ポーランド,アメリカ2本(アメリカの1本は共同報告),デンマーク,ロシア,リトアニア,イギリス,カザフスタン,スロバキアが各1本でした。今回は政治・経済・言語・境界研究と多彩な分野でのセッションを開催し,また,スラブ・ユーラシア地域と他の地域との比較も含めたセッションも実施しましたが,専門領域及び地域の枠を超えて,76名(延べ130名)の方がセッションに参加しました。
今回のシンポジウムは,センターの第3期中期目標・中期計画期間における共同研究の柱の一つである「地域間比較」を実践するものとして開催しました。今後もスラブ・ユーラシアの地域内の比較,及びスラブ・ユーラシアと他の地域の比較を通して,新たな研究領域の開拓や学際的な共同研究を推進していく予定です。