経済学部では,昨年に引き続き,北海道財務局理財部長の米澤裕樹氏による「コーポレートガバナンスと金融監督を巡る最近の動き」と題する特別講演会を,1月18日(水)に文系共同講義棟2番教室において開催しました。
講演者である米澤氏は,金沢大学を卒業後,昭和63年に大蔵省に入省され,平成11年日本貿易振興会(ジェトロ)ミラノ・センター,同14年近畿財務局総務部経済調査課長,同17年東北財務局総務部総務課長,同20年金融庁検査局総務課統括検査官,同25年金融庁監督局銀行第一課銀行監督管理官を歴任され,同27年7月に北海道財務局理財部長に着任されています。
講演では,まず,日本の企業経営の課題に関連して,コーポレートガバナンスと三様監査をめぐる動向についてのお話がありました。企業の経営者とステークホルダーとの間にある情報の非対称性を背景として,監督者による監視の一つの方法として,内部監査,監査役監査及び外部監査からなるいわゆる三様監査の役割について説明されました。特に,昨今の不正会計事例の発生によって会計監査の信頼性が問われている問題に関連して,金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会」によって提言された,会計監査に対する信頼回復策などについて詳しい説明がありました。
また,コーポレートガバナンス強化に向けた政府の取り組みとして,スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードという2つの指針の策定・運用について解説されました。いわゆる「成長戦略」の一環として設けられたこれらのコードが両輪となって,我が国の企業が収益力を回復するためにどのような形で寄与することが期待されるのかについて紹介されました。さらに,コーポレートガバナンスに対する銀行の関わり方とそれに対する金融当局の監督のあり方や,金融機関の事業性評価といったやや専門的な話題にも言及されました。
いずれも具体的な資料や事例を交えた講演で,専門的な事項についてもわかりやすく解説され理解が深まるものでした。また,聴衆の多くが学部生であったことから,講演の最後には,学生の将来の可能性についても触れられ,今後どのような職業に就くにしても,コーポレートガバナンスの問題が関係してくることが示されました。
講演全体を通して,学生が日頃学んでいる講義内容と密接に関連した問題が取り上げられたこともあり,生きたデータに基づく臨場感と説得力のあるお話も相まって,学生にとっては考えを整理し問い直す良い機会になったと考えられます。
このような講演会は,学生にとって現実の経済問題に興味をもち,真剣に社会の在り方を考える一助となることから,経済学部では今後も北海道財務局との連携を密にして,開催を続けていきたいと考えています。

