北海道大学のリスト・ベンジャミン特任教授がノーベル化学賞を受賞 スウェーデン王立科学アカデミーは2021年10月6日、独マックス・プランク石炭研究所のリスト・ベンジャミン所長と、米プリンストン大学のマクミラン・デビッド教授の2人にノーベル化学賞を授与することを発表しました。受賞理由は「不斉有機触媒の開発」への貢献です。従来よりも環境にやさしく、構造がシンプルで扱いやすい低分子触媒の開発により、医薬品から太陽電池の素子まで、幅広い工業製品の製造・開発に貢献したことが評価されました。 リスト博士が所属する北海道大学化学反応創成研究拠点(ICReDD/アイクレッド) 2018年10月、文部科学省の「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」の新たな拠点として、北海道大化学反応創成研究拠点(ICReDD/ アイクレッド)が設立されました。リスト博士は、計算科学、情報科学、実験科学の融合により新しい化学反応の効率的な開発を目指すというICReDDの構想に共感し、設立当初からICReDDの主任研究者として、有機触媒を用いた新規反応開発に係る研究に取り組んでいます。ICReDDが掲げるスローガン「Revolutionize Chemical Reaction Design and Discovery(化学反応の設計と発見を革新する)」は、リスト博士とともに考案されたものです。なお、リスト博士は、2020年5月からは本学の特任教授も務めています。
●リテラポプリ Vol.66 社会を変える化学反応創成学』
リスト博士が率いる研究グループ
ICReDDには20名近い主任研究者が在籍し、それぞれが研究グループを形成しています。リスト博士が率いるリストグループは3名の研究者から成り、最適な触媒や化学反応をより効率よく探索するような洗練されたプラットフォームを生み出すことを目指しています。リストグループの辻信弥特任助教は、リスト博士のもとで博士号を取得した研究者です。ドイツにいるリスト博士とは、メール等で日々研究上のやりとりをしているほか、毎週のオンラインミーティングで研究の進捗確認などを行っています。ノーベル賞受賞者は、受賞発表後は多忙を極めますが、リスト博士は毎週のミーティングに変わらず参加しています。辻特任助教は、ICReDD での研究の時間を大切にしているというリスト博士の気持ちが伝わってきて大変うれしく感じているといいます。 ●『いいね! Hokudai』
2021年ノーベル化学賞 詳報(2) 〜北大で拓く、ノーベル賞研究のその先〜 https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/23848
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