【在学生インタビュー「同窓異曲」】

川手 紅梨子
KAWATE Kuriko
|国際広報メディア・観光学院修士課程2年|



完璧じゃなくていい。英語は、伝えるための道具

 2025年12月に公開された北海道大学プロモーション動画「What is your North Star?」。その中で、留学生と英語で軽やかにコミュニケーションをとるリポーター・川手紅梨子さんの姿が印象に残った人も多いのではないだろうか。
 「完璧じゃなくていい。伝わればいい。英語はコミュニケーションツールです」
 そう語る川手さんは、北大発ベンチャー「Beeber Global」の代表も務めている。英語との出会いから大学での挑戦、そして起業に至るまでの歩みを聞いた。


―英語にはいつ頃から興味を持ったのですか。

 両親が洋画好きで、幼い頃から英語を耳にする機会が多くありました。中学生になると映画に関わる仕事がしたいと思うようになり、「そのためには英語が必要だ」と考えて勉強を始めました。札幌国際情報高校の国際文化科に進学してからは、さらに英語漬けの日々。高校2年で英検準1級を取得し、「これで大丈夫」と正直満足していました。
 でも、韓国で開催されたユースフォーラムに参加した時、その考えが一変しました。母語が英語ではない同年代の学生たちが、自分の意見を堂々と英語で発信していたんです。一方で、私は英語を学んできたはずなのに、自分の思いをうまく伝えられなかった。その差に衝撃を受けました。

―2020年に北大へ入学しました。大学ではどのようなことに取り組みましたか。

 入学した年はちょうどコロナ禍で、授業開始は5月からでした。国際交流をしたいと思っていたのに、最初は何もできず、もどかしかったです。1年生の終わり頃、ようやくオンラインの留学プログラムに参加しました。そこで出会った仲間と、「国際交流イベントを自分たちで作りたい」と思い、ボランティア団体を立ち上げました。SDGsをテーマにしたプレゼンコンテストなどを企画しました。
 この活動を支えてくれたのが、当時の北海道大学ハルトプライズ運営委員会の委員長だったサンギータさんです。その後、「運営もやってみない?」と声をかけてもらい、3年目からは委員長も務めました。そして2022年、日本社会のコミュニケーションをアップグレードし、地域の課題解決に貢献するため、「Beeber Global」を設立しました。


北海道大学プロモーション動画
「What is your North Star?」の一コマ

―起業を意識したきっかけは何だったのでしょうか。

 ハルトプライズで出会った起業家の考え方に刺激を受けました。「いい企業に入る」ことよりも、「社会課題を解決して価値を生む」ことに本気で向き合っていて、その姿がとても楽しそうに見えたんです。次第に「自分もやってみたい」と思うようになりました。
 日本では、日本語が十分に話せない留学生が、書類申請などの手続きで苦労する場面が多くあります。一方で、日本人学生は国際交流に興味がある。ユースフォーラムで感じたのも、英語力そのものより、「どう使うか」「どう向き合うか」の違いでした。だったら、英語を「完璧に話すもの」ではなく、「伝えるための道具」として使いながら、もっと自然に共生できる場を作れないか。そう考えるようになりました。
 そこで気づいたのが、「英語は完璧じゃなくていい」ということです。
 最近は日本人の高校・大学生向けに、留学生と企業課題解決を考えるワークショップを開催しました。「英語を学ぶ」のではなく、「英語を使って学ぶ」ことを大切にしています。

―北大生へのメッセージをお願いします。

 場所に縛られず、「何をしたいか」を考えてみてください。答えは大学の中にあるかもしれないし、外にあるかもしれません。迷ったり不安になったりすることもあると思いますが、進む道を決めたら、あとは進むだけ。決めた自分を信じてほしいです。


北海道大学公式YouTube「What is your North Star?」
https://youtu.be/eLB6jRKDISo?si=9tSFcJjoBb8hvGj0

PROFILE

北海道石狩市出身。2020年に北海道大学文学部へ進学し、現在は大学院国際広報メディア・観光学院に所属し、観光を通じた地域創生について研究している。2023年から2年間、国際的な社会起業家育成プログラム「Hult Prize」の北海道大学運営委員会委員長を務める。2022年に「Beeber Global」を設立。代表として、北海道大学の留学生と地域社会・企業をつなぎ、国際共修や多文化共生を通じて地域の魅力を再発見する活動を展開している。



前のページへ 目次へ 次のページへ