理系部局

○建築材料演習 工学研究科准教授  長谷川 拓哉

1.授業の目的・内容

本演習の内容は、近代の建築材料のうち、最も基本的なものであるコンクリートを中心とした材料実験、現場見学および材料の調査・発表を行うものです。建築物を造る上で、建築材料を適切に選択・利用するためには、材料の特性を正しく理解することが必要であり、材料実験等を通してその理解を深めることを目的としています。シラバスでは、目標として、次の項目の理解を掲げています。

 1)実験の原理・操作
 2)材料の各種性状
 3)データの取扱いとデータ処理手法
 4)材料の実際の使われ方・施工方法

具体的な内容としては、建築材料に関する実験、建築工事現場の見学、建築材料の使われ方に関しての学生による発表が含まれています。

2.授業実施上の取組・工夫

特段の工夫点などがあるわけではないのですが、本演習の性質上、ともかく「体験する」ことに重きをおいて取り組んでいます。ものづくりの技術は、実際に体験することで得られるものが多いと考えるからです。本演習の実験では、コンクリート、鉄筋、左官材料等を取扱いますが、それぞれの実験が現場でどのような意味をもつのかを説明するとともに、その意味をふまえて、できるだけ実際の材料に触る体験を重視しています。とはいえ、実験施設・装置上の制限から、どうしても待ち時間が長くなったりした面がありますので、今後改善が必要な点と思っています。(今年度のアンケートでもその指摘がありました。)

体験を重視するということで、工事現場で実際に起こっていることを実験に取り入れたりしています。例えば、平成20年度では、社会問題となった、いわゆる”シャブコン”と言われるコンクリートの加水問題をとりあげ、加水したコンクリートはどうなるかということを実験の要因に入れました。加水することで作業性にどれだけの違いがでるのか、強度がどれだけ下がるのか、を確かめる実験です。他の座学の講義で、加水問題の話を聞いているはずですが、実際に見たことがないと何が問題なのかがピンとこない面があると思われます。百聞は一見にしかず──実験をしてみることで、加水の影響は、作業性、データに表れ、加水するとこうなる、ということが一目でわかったのではないか、と思っています。あとは受講した皆さんの記憶に残っていることを切に願うばかりですが…

3.その他

特に気をつかっている点として、当たり前ですが、やはり安全第一ということです。演習中、できうる限り危険な作業はないようにしていますが、間違った取扱いをすると怪我をするおそれがあります。将来、建築工事現場に携わる学生も多いですが、工事現場で最重要視されるのは、やはり安全第一ですので、その意味も含めて本演習の中で折に触れ、安全の注意喚起をしています。幸い、これまで大きな事故もなくやってきており、今後も無事故で有意義な演習としていければと思います。


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