病理学概論では、生体の細胞や臓器の変化がどのような原因によって生じ、どのような経過をたどって病気が形成されるかについて、基本的な考え方を習得することを目的としています。具体的には、病因論、先天異常と遺伝病、細胞障害、代謝障害、循環障害、炎症と感染症、免疫と免疫異常、腫瘍などの項目について、一回90分の講義を計15回行っています。
授業では、なるべく黒板に図を描きながら説明するようにしています。学生にはプリントを配布しますが、そのページの左側には授業の項目をあげ、その下には板書の図を書き写すスペースが空けてあります。ページの右側には、板書する際に口述する図の説明をあらかじめ記入してあります。この方式ですと、学生は教員の口述内容を速記する必要がなく、内容を理解しながら図を書き写すことができるのではないかと期待しています。復習する際にも授業の内容を思い出しやすいのではないかという期待もあります。また、多少とも飽きがこないように、白いチョークの他、黄色や赤、青、紫、緑のチョークを使って、なるべくカラフルな図を描くようにも気を付けています。
また、授業の後半には、学生が学習内容のリアリティーを感じられるように、その日の内容に沿った実際の病気の写真(肉眼写真や顕微鏡写真)を提示しています。時には、ホルマリン固定した臓器標本を供覧する場合もあります。
その他に、毎回、受講票を配布しています。受講票には、各授業の内容に関連したテーマについて、学生が自習するための課題を提示しています。学生には、授業終了後に教科書や参考書等を調べて課題に対する回答を受講票に記入させ、提出させています。この受講票には課題に対する回答の記入欄のほかに、毎回の授業に対する質問欄も設けています。学生からの質問とそれに対する回答は、「質問と回答」というプリントにまとめ、次回の授業のはじめに配布して、必要があれば前回の授業の内容の補足などを行っています。
病理学概論は、今回アンケートを行った看護学専攻の学生以外にも、放射線技術科学専攻、検査技術科学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻の計5専攻の学生が履修する保健学科の学科共通科目です。多様な専門性を有する学生を対象にした授業ですが、「病気のなりたち」という極めて基本的かつ重要なテーマを取り上げているため、学生は興味をもって受講してくれているのだと思います。病理学の大切さと面白さを学生に伝えていくことができるよう、今後も努力してゆきたいと思います。