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「アートが紡ぐ古代の物語」を開催しました(2)

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8月26日(日)、北海道大学学芸員リカレント教育プログラム 特論2 装飾するギャラリートークと舞台芸術「アートが紡ぐ古代の物語」が、今年開館30周年を迎える、札幌市こどもの劇場やまびこ座で開催されました。前編では、フィギュアアートシアター「OKHOTSK-終わりの楽園-」上演とアフタートークの様子をお伝えしました。後編では、アフタートークの後に、學藝リカプロの受講生限定で行われたプログラムについてご紹介します。

學藝リカプロ受講生限定プログラムでは、まず初めに、やまびこ座の30周年記念展示として館内に飾られている、切絵作家 黒川絵里奈さんの作品を鑑賞しました。

(黒川さんの作品展示)

黒川さんは、「OKHOTSK-終わりの楽園-」に登場する、砂絵・影絵の制作と操作を担当しています。黒川さんに、展示と、舞台裏での砂絵や影絵の操作について解説していただきました。

(劇中のワンシーン。砂絵が描かれていく様子を、OHPを使って巨大な布に投影します。写真は、2017年9月に行われた、第15回創成シンポジウムの際の一部上映のもの )

(展示の解説をする黒川さん)

その後、「人が文化を育て、文化が人を育てる」と題し、札幌市こどもの劇場やまびこ座 館長の矢吹英孝さんによる講義が行われました。やまびこ座では、子供に文化を発信していきたいという初代館長の思いを引き継ぎ、子供向けの人形劇や演劇を年200回以上行っています。一体なぜ、これほど多くの公演を実施することができるのでしょうか。これらを継続していくためには、指導者やパフォーマーといった、文化の担い手を育てることが不可欠だと、矢吹さんは言います。やまびこ座は、人材育成を事業の根幹とし、幼児から社会人まで、それぞれが学べる場を提供しています。今年で開館30周年を迎えるやまびこ座。幼いころから人形劇や演劇を学んできた人々が、今は立派な若者になり、やまびこ座の運営を支えています。こうした10年、20年先を見据えた取り組みにより、やまびこ座は今日も子供たちに文化を伝え続けています。

(札幌市こどもの劇場やまびこ座 館長 矢吹英孝さん)

矢吹さんは、やまびこ座の館長としてのみならず、「OKHOTSK-終わりの楽園-」をはじめとする人形劇や、日本の古典芸能である人形浄瑠璃の劇団「さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座」で、パフォーマーとしても活躍しています。やまびこ座の事業を企画する際、自分が何に興味・関心があるかを知ることはとても重要だと話す矢吹さん。しかし、それが今やまびこ座に求められていることと合致していなければ、現実のものとはなりません。日々、社会のニーズを肌で感じるためにも、自分自身もプレイヤーとして活動する。それが次の事業の成功へと繋がっていくのではないかと、矢吹さんは語ります。

(「OKHOTSK-終わりの楽園-」に出演する矢吹さん(左)写真は、2017年9月に行われた、第15回創成シンポジウムの際の一部上映のもの )

(TERRACEメンバーの川本真奈美さん(右)が聞き手を務めました)

考古学と人形劇の関わり合いや、札幌の人形劇場から学ぶ今回の講義。受講生の今後の展示企画のヒントになったのではないでしょうか。

(文:総務企画部広報課 研究広報担当  菊池優 写真:文学研究院  研究推進室 森岡和子、菊池優)

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掲載日:2018年9月19日