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「イグ・ノーベル賞の世界展」オープニングに北大の受賞者 中垣教授と吉澤准教授が登場

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「人々を笑わせ,そして考えさせてくれる研究」に対して贈られ,日本人が今年12年連続で受賞したことでも話題となった「イグ・ノーベル賞」。
その世界初の公式展覧会「イグ・ノーベル賞の世界展」が,東京で9月22日から始まるのに先駆け,21日にオープニングセレモニーとプレス内覧会が開催され,北海道大学の受賞者である中垣俊之さん(北海道大学 電子科学研究所 教授),吉澤和徳さん(北海道大学 農学研究院 准教授)も招かれました。

オープニングセレモニーに出席したマーク・エイブラハムズさん,テリー伊藤さん,受賞者達

当日はゲストとしてイグ・ノーベル賞創設者のマーク・エイブラハムズさん,この展覧会のオフィシャルアンバサダーを務めるテリー伊藤さん,今年の受賞者 長野県の医師 堀内朗さん,ドクター・中松さんをはじめとする日本人受賞者10人など豪華メンバーが集いました。

受賞者の皆さんは,毎年ハーバード大学で開催されるイグ・ノーベル賞授賞式さながらに「1分間スピーチ」を披露し,会場から笑いが起こっていました。

2008年に認知科学賞,2010年に交通計画賞を受賞した中垣さんの1分間スピーチ:
「私は,粘菌というアメーバが“予想以上に賢い”という研究を,かれこれ30年くらいやっております。ずいぶん若いころから粘菌生活に入っているというわけです。(中略)そろそろ広辞苑の「単細胞」という意味を書き換えるという時がやって来たというふうに思っており,全国民的な議論に発展することを願っております。」

1分間スピーチする中垣俊之さん(北海道大学 電子科学研究所 教授)

2017年に生物学賞を受賞した吉澤さんの1分間スピーチ:
「僕らの研究は,トリカヘチャタテというメスがペニスを持っていて,オスに挿入して交尾を行う虫の発見でした。僕らの発見が,ちょっと他の受賞研究と違うと思うのは,虫自体はとびきり面白いけれど,やってきたことは普通の研究です。ですから,本当に棚ぼた的なイグ・ノーベル受賞でした。残念ながら,昨年は調査のため授賞式に出席することが出来ませんでした。(中略)今日はこうして自分の研究についてお話しする機会をいただき嬉しく思います。」

1分間スピーチする吉澤和徳さん(北海道大学 農学研究院 准教授)

会場では,イグ・ノーベル賞や授賞式,これまで受賞したおよそ50の研究内容について,パネル等の展示,体験コーナーなどで紹介されています。
イグ・ノーベル賞創始者のマーク・エイブラハムズさんに展示の感想を伺ったところ,
「ここには,イグ・ノーベル賞創設のきっかけとなった雑誌や写真,イグ・ノーベル賞の受賞研究や、授賞式そのものが展示してあります。何十年も取り組んできたことなので,この展示はまさに私の人生,歴史そのものですね。」
とお話してくれました。

マーク・エイブラハムズさんと展示

イグ・ノーベル賞授賞式に関する展示

お2人の先生方にも「イグ・ノーベル賞の世界展」の感想を伺ってみました。

「この機会に他の受賞者の方々に会えて,お話できて良かったです。コンパクトに研究の内容がまとまったパネルも良いですね。」
と中垣さん。
こうした企画でイグ・ノーベル賞が話題となることについては,
「イグ・ノーベル賞は,裏のノーベル賞などと言われることもありますが,そのうちどちらが表か裏か分からなくなるぞ!という気概を持って臨みたいですね。レベルが高いとか低いとかではない別の視点で研究を評価する賞だと思っています。囲いを取り払い,自由な発想で,誰も思いつかないようなことをやってみる。そういう視点を持つこと,そういう意識で研究していくことも大事なのではないでしょうか。」
と語っていました。

中垣さんの粘菌の研究に関する展示

吉澤さんは,
「普段なかなか伝わることがないので,こうした様々な機会に自分の研究を知っていただけたら良いなと思っています。ずっと前からイグ・ノーベル賞ファンだったのに,授賞式には行けなったので,今回実際にマーク氏にお会いできて良かったです。また,マーク氏が北海道大学に来てくれるのもすごく楽しみです。」と感想を語っていました。
(マークさんを北海道大学にお招きし,開催したトークイベントの情報はこちら

吉澤さんのトリカヘチャタテの研究に関する展示

「イグ・ノーベル賞の世界展」は東京ドームシティ「Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)」で11月4日まで開催されます。
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/ignobel2018.html

テキスト監修として,NHK Eテレ サイエンスZEROでもイグ・ノーベル賞の解説を務める古澤輝由さん(北海道大学 CoSTEP 特任助教)が参加しています。
東京で,北海道大学の研究に触れてみてはいかがでしょうか。

マーク・エイブラハムズさんと古澤輝由さん(北海道大学CoSTEP特任助教)

(文:総務企画部広報課 研究広報担当  川本真奈美 写真:同担当  菊池優、川本真奈美)

掲載日:2018年10月2日