己を利するよりは万民のために、国益よりも国際正義のために力を尽くし、支配する側よりも支配される側の、強者よりは弱者の側の立場に立って、自らの保身を顧みず、彼らの救済と正義を堂々と主張する人々を生んできた清き精神の流れが北大にはあった。このような人々を育てた北海道大学とはどんな大学だったのか、どのような人々により、どのような教育が行われて、そのような精神を抱く人々が育まれて来たのか、まずは創設期の先人の言葉を通してその精神の源流をたどってみよう。

W.S.クラーク 佐藤昌介 W.ホィーラー W.P.ブルックス


◎教育の重要性について
「一国民の最も貴重な財産は良く耕された心田である。…学校の産物に勝るものは無い。学校の教育がしっかりしていればその国は自ら繁栄し、教育を軽んずれば国は衰亡の危機に瀕する。」
― ウイリアム・スミス・クラーク

「地を拓き民を植うるは経国の大本にして為政の要務なり。学を建て士を造るは文化の要道にして治国の本源なり。…いわんや輓近国運の発展は人材に期待する最も多大なるをや。」
― 佐藤昌介

◎日本の教育の欠点について
「学校の講義や書物は過去の発明に関する知識に過ぎない。学者たらんとする者は、疑問を起こし、解決の道を研究し、発明進歩するを本とし、講義や書物を完全と信じてはいけない。」
― トーマス・アンチセル
※ アンチセルの写真は、所蔵元(海外)への申請が必要であるため掲載しませんでした。

「思想力なき知識はそれ以上、どこへも行かない。思想力の伴った知識は尽きることの無い資源たりえる。」
― ウイリアム・ホィーラー

「新たに観察された事象が、どのような原因によるものであるか、知識と理論から考察し、因果関係を明らかにする能力のあるものは、単に博識であるものよりも遥かに得がたく、貴重な人材である。」
― ウイルアム・ペン・ブルックス

130年前、書物の暗記を重んじる日本の教育を見て、知識の記憶よりも創造性の養成が重要であることを指摘。札幌農学校の前身、開拓使仮学校の教師トーマス・アンチセルをはじめ、札幌農学校の教師ホィーラーとブルックスも書物を完全なものとして暗記させる教育法を批判した。


藤田正一(ふじたしょういち)・本学名誉教授
本年3月まで本学獣医学研究科教授、元本学副学長、前本学総合博物館長
本学獣医学部卒業生、在学時代は応援団団長として活躍


注)先人が残した言葉・内容には諸説ある場合が多いので、詳しくお知りになりたい場合は、北海道大学図書刊行会発行「北大歴史散歩」(北大生協等で販売)や本学附属図書館等で参考文献をご覧ください。
  また、本学ホームページFAQに【「Be ambitious」に続く言葉について】が紹介されていますので併せてご覧ください。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/q/faq.html#9



メインメニュー