部局ニュース

農学研究科で市民公開・農学特別講演会を開催

 農学研究科では,11月28日(金)午後1時30分より,本研究科の大講堂において,農学研究科・農学部,札幌農林学会及び札幌農学振興会主催の市民公開・農学特別講演会が北方生物圏フィールド科学センター共催で『自然環境の保全と再生』をテーマに開催されました。
 この講演会は1898(明治31)年に発足した「札幌農林学会」が毎年開催してきた特別講演会を継承,発展させた学術講演会で,100年以上の歴史を持っており,平成9年からは「市民公開・農学特別講演会」と名称を変えて,広く市民に公開されるようになりました。本年度の講演会は市民に公開してから7回目の開催となります。
 講演はまず,環境省自然環境局・局長の小野寺浩氏が「自然環境行政の現状と展望」という題で,屋久島,阿蘇,釧路湿原などの美しい写真をまじえながら,日本の自然の現状とそのかかえている問題点を歴史的な視点も含めてわかりやすく解説された後,今後の自然の保全はどうあるべきかについて,御自身が策定に関わられた「新・生物多様性国家戦略」をとりあげて,日本の豊かな自然を守るための将来展望を示されました。次に講演された本学農学研究科・教授の新谷融氏は「自然のダイナミズムとその保全」と題し,砂防学という学問分野の立場から,火山,地震,豪雨などの災害から地域生活を守るには,単に水と土をコントロールするのではなく,そこに生物という視点を加えることによって,より望ましい自然の保全につながるというお話を,遊砂地や防災空間の緑地利用について有珠山,十勝岳噴火対策などの身近な事例をあげて解説されました。
 本講演会の来聴者は200名を超え,一般市民の参加も年々増加して公開講座としてすっかり定着したようです。特に本年のテーマである自然環境問題は市民の関心も高く,講演後の質疑では,聴衆から積極的な問題提起や提言もあって熱のこもった講演会となりました。

講演する環境省自然環境局局長 小野寺 浩 氏 講演する農学研究科 新谷 融 教授
講演する環境省自然環境局局長 小野寺 浩 氏
講演する農学研究科 新谷 融 教授
(農学研究科・農学部)

前のページへ 目次へ 次のページへ