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総合博物館第12回企画展示「ストックホルム水賞と北海道大学水研究の系譜」

 「ストックホルム水賞」は水のノーベル賞とも呼ばれており,毎年,世界の水環境に関する傑出した研究や教育,活動を認められた個人や組織にスウェーデンのストックホルム水財団から授与される世界的に権威ある賞で,日本人の受賞者は過去に2人おり,いずれも北海道大学出身者です。
 このたび,受賞者の久保赳・元建設省下水道部長(84)と浅野孝・米カリフォルニア大名誉教授(67)より,水賞受賞のディプロマ(賞状)と副賞のクリスタル像が北海道大学に寄贈され,その寄贈記念式典が本学総合博物館で5月25日に開催されました。総合博物館では両氏の名誉ある受賞を称えて,その功績と水賞の企画展示を「ストックホルム水賞と北海道大学水研究の系譜」と題し,5月25日から6月27日まで開催しました。
 久保氏は1944年に工学部を卒業後,建設省(現・国土交通省)に入省し,高度成長期の日本で卓越した指導力を発揮して下水道整備に取り組み,日本の水質改善に成功しました。その後は日本下水道事業団,日本下水道協会理事長を歴任し,途上国への技術支援や国際社会における水環境問題解決のための技術交流に尽力し,その多大な貢献が評価され,1994年にストックホルム水賞を受賞しました。
 浅野氏は1959年に農学部を卒業後,ミシガン大学大学院博士課程を修了し,大学勤務の後にカリフォルニア州水資源局水高度利用専門官となり,同時に1981年からはカリフォルニア大学デービス校教授,2001年にはカリフォルニア大学名誉教授となりました。安全で効率的な排水の再生・再利用に関する世界的な専門家として活躍し,その顕著な貢献に対して2001年にストックホルム水賞が授与されました。浅野氏の研究成果はカリフォルニア州の排水再利用基準に集大成され,この基準は世界の排水再利用プロジェクトの規範となっています。
 北大には1957年,上下水道を扱う衛生工学科が日本で最初に設置され,浅野氏は「この系譜の中で受賞できた」と寄贈の理由を語っておりましたが,今回の寄贈を契機として,北大の水研究の系譜はさらに発展していくものと期待されます。
テープカットの様子 寄贈されたディプロマとクリスタル像
テープカットの様子 寄贈されたディプロマとクリスタル像
(総合博物館)

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