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農学研究科で市民公開・農学特別講演会を開催

 11月25日(金)午後1時30分より,農学研究科の大講堂において,農学研究科・農学部,札幌農林学会および札幌農学振興会主催,北方生物圏フィールド科学センター共催の市民公開・農学特別講演会が,『農業が築くスローで持続的な社会』をメインテーマとして開催されました。
 この講演会は1898(明治31)年に発足した「札幌農林学会」が毎年開催してきた特別講演会を継承,発展させた学術講演会で,100年以上の歴史を持っており,平成9年からは「市民公開・農学特別講演会」と名称を変えて,広く市民に公開されるようになりました。本年度の講演会は市民に公開してから9回目の開催となります。
 講演では,まず農林漁業金融公庫理事・元朝日新聞編集委員の村田泰夫氏が「共生社会と環境保全型農業」と題し,農業が環境に果たす役割について,日本は「農業は環境にやさしい」という認識であるが,欧米では「農業は環境に負荷を与えている」という考えであること,それにより環境保全型農業に対する考え方も日本と欧米では異なること,また,農業への補助金(助成金)について,農業が担う食糧生産や環境保全など公益的な役割に対して,それを維持するために国民が助成金として農家にお金を出す「直接支払制度」の導入が必要であることなどを,ユーモアを交えながら述べられました。続いて,本学農学研究科教授の三島徳三氏が「スローフード運動と地域資源活用型農業」と題し,スローフードの基本的な考え方,循環型農業の重要性等について,その地域の特産品を生かした食生活が重要であり,生産では地域の資源を生かした循環型農業が必要であること,特に飼料として穀類を使う畜産は見直す必要があることなどを,スライドで様々な事例を紹介しながら述べられました。
 本講演会の来聴者は181名でした。環境問題,エネルギー問題への対処が重要視される中で,これからの農業のあり方に対する市民の関心は高く,教職員,学生のみならず,多くの一般市民の方々にもご参加いただきました。講演後の質疑では,聴衆から「直接支払い」という形の新しい考え方の補助金制度に対する質問等があり,熱のこもった有意義な講演会となりました。

講演を行う農林漁業金融公庫理事・元朝日新聞編集委員 村田泰夫氏 講演を行う農学研究科 三島教授
講演を行う農林漁業金融公庫理事・元朝日新聞編集委員 村田泰夫氏 講演を行う農学研究科 三島教授
(農学研究科・農学部)

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