訃報
名誉教授 佐藤 壽一(さとうじゅいち) 氏(享年68歳)
名誉教授 佐藤 壽一(さとうじゅいち) 氏(享年68歳)

 名誉教授 工学博士 佐藤壽一氏は,病気加療中のところ,平成17年7月4日(月)御逝去されました。ここに先生の生前の御功績を偲(しの)び,謹んで哀悼の意を表します。
 先生は,昭和12年4月14日に小樽市に生まれ,昭和36年3月に北海道大学理学部地質学鉱物学科を卒業,同大学理学部研究生,同大学工学部研究生を経て,昭和38年4月に同大学大学院工学研究科修士課程に進学されました。昭和39年3月に同課程を中退され,同年4月に北海道大学工学部助手に採用されました。昭和46年1月同講師に,昭和49年10月に同助教授に,昭和60年4月には教授に昇任され,資源開発工学科応用地質学講座を担当されました。平成9年4月大学院の重点化の完成に伴い北海道大学大学院工学研究科教授に配置換になり,環境資源工学専攻地殻資源工学講座資源地質学分野を担当されました。この間,本学部学生および大学院学生の教育および研究指導にあたられ,多くの技術者および研究者の育成に尽力されました。また,学外にあっては北海道教育大学釧路分校,室蘭工業大学および秋田大学教育学部非常勤講師を併任して,本学部以外の学生の教育にも尽力されました。
 研究面では,浅熱水性塊状銅・鉛・亜鉛・鉱床の地質・鉱床・母岩変質・鉱石鉱物に関する研究,金・銀・銅・鉛・亜鉛・マンガン鉱脈に関する研究,黒鉱鉱石の産状および性状に関する研究,新第三紀浅熱水性多金属鉱脈型鉱床に関する研究,古生層中の多金属硫化鉱物層状鉱床に関する研究,浅熱水性金属鉱床の鉱物共生と生成温度に関する研究を推進され,多くの優れた成果を挙げられ,昭和49年には「黒鉱鉱石に関する研究,とくに釈迦内鉱床を中心として」によって北海道大学より工学博士の学位を授与されました。また,昭和51年4月から昭和52年3月までの期間,オーストラリアのC.S.I.R.O.(連邦科学工業研究機関)にて,古生層中の多金属硫化鉱物層状鉱床に関する研究に従事されました。さらに,東南アジア諸国の金属鉱床に関する研究により東南アジア諸国の発展に貢献されました。一方,地すべりに関する応用地質学的研究により,地すべりにいたる地質的因子を明らかにし,対策法を提出されました。砕石資源と岩石の変質に関する研究は,高速道路建設での路床骨材の確保に,顕著な成果を挙げられました。
 学内においては,エネルギー分散・波長分散蛍光X線分析研究室運営委員会委員,全自動微小部分析装置運営委員会委員,高エネルギー超強力X線回析室運営委員会委員を勤められ,工学部においては,各種委員会委員として同学部の運営に参画され,その発展に尽くされました。
 学外においては,資源・素材学会理事,同北海道支部長,日本鉱山地質学会評議員,資源地質学会評議員,日本地すべり学会北海道支部長,通商産業省夕張炭鉱事故調査委員会専門委員,通商産業省北海道レアメタル賦存状況調査委員会委員長,札幌通商産業局中小炭鉱地質調査検討委員会委員長,金属鉱業事業団広域地質構造調査北海道北部B検討委員会委員長,VSI研究会評議員,北海道通商産業局洞爺湖東部非金属開発促進調査委員会委員長,北海道通商産業局非金属鉱物資源開発調査委員会委員長,北海道通商産業局北海道地方砕石委員会委員長,北海道開発局国道229号豊浜トンネル崩落事故調査委員会副委員長,通商産業省石炭鉱業審議会専門委員/北海道坑口開設・鉱区調整専門分科会会長,北海道通商産業局北海道地方ガス事業調整協議会会長,北海道鉱業振興委員会委員,砂防・地すべり技術センタ−小谷石地すべり総合解析検討委員会委員長,北海道開発局北海道日本海沿岸における大規模岩盤崩落検討委員会委員長,北海道開発局一般国道229号第2白糸トンネル崩落事故調査委員会委員長等を歴任されて,これら学会の学術研究組織の発展に寄与されると共に,研究成果を踏まえた多くの提言をされて社会貢献に務められました。
 ここに謹んで先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

(工学研究科・工学部)


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