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「親子のためのスノーケリング教室」を開催

 北方生物圏フィールド科学センター臼尻水産実験所(函館市臼尻町)では,独立行政法人科学技術振興機構の後援を得て,水産学部と共催で,夏休み中の小学生高学年,中学生とその家族を対象とした「親子でのぞこう,海の底!スノーケリング教室2007」を8月5日(日)に開校しました。
 本教室は,身近な海で楽しく遊ぶ方法としてスノーケリングの正しい基本技術をマスターし,海の生態観察を通じて,人を含めた自然の営みについて体験学習し,感性豊かな子どもの育成に貢献することを目的に開催する「地域開放特別事業」の野外教育プログラムです。5年目となる今年は,リピーターが多くなったこととインストラクター役をする大学院生らの教えるスキルが上達したことから,スノーケリングのスキルアップに加えて,生態観察のコツの伝授も課題として,参加者23名とインストラクター9名,計32名が本教室に取り組みました。
 前日に台風5号が通過した後で小雨がぱらつくあいにくの天候でしたが,海は穏やかで風もなく,スノーケリングにはまずまずのコンディションでした。早朝から実験所に集まってきた参加者を家族や学年をもとに3つの班に分け,寒さや怪我から身を守るウエットスーツの着方を説明した後,水中メガネやスノーケルに海水が入った時の対処方法など基本技術をお風呂場で指導しました。その後,海中でフィンワーク学習をして最後のスキル講習を終えると昼食の時間となりました。午後からはいよいよ観察会です。
 最初に背が立つ浅瀬で,フジツボが餌をとる様子を観察してもらいました。リズミカルな触手の動きとプランクトン食であることを確認した参加者に,フジツボがカニやエビと同じ甲殻類であることを教えると,皆一様に驚きました。また,緑色をしたアオサがワカメと思っている小学生には,ワカメはみそ汁に入れると変色する理由を教えた後,少し沖に移動して自然に生えている大きなワカメの海中林を見せました。海藻の間や葉上を群れをなして泳ぐ,チカ,シワイカナゴ,コマイなど魚類は一番の人気者で,形態や泳ぎ方など,海中での魚の見つけ方と種類の見分け方の基本も覚えてもらいました。
 シュノーケル越しに歓声を上げて喜ぶ参加者を見て,機材の整理や資料の作成など,前夜までの準備の苦労が報われた思いで,今年も開催して良かったと実感しました。また,私たちにとって日頃見慣れた生き物たちの生態を知って感心する参加者の無垢な姿から,海の研究を志した頃の初心をいつしか忘れつつある自分たちに気づかされ,指導した大学院生にとっても有意義な一日となりました。
お風呂場で習ったスキルの確認をしましょう 大学院生が徹夜で手作りした簡易水中図鑑を片手にフィッシュウォッチングする参加者
お風呂場で習ったスキルの確認をしましょう 大学院生が徹夜で手作りした簡易水中図鑑を片手にフィッシュウォッチングする参加者
ワカメの海中林を泳ぐシワイカナゴの幼魚の群れ 今日一日でみんな上手になったよ
ワカメの海中林を泳ぐシワイカナゴの幼魚の群れ 今日一日でみんな上手になったよ
(北方生物圏フィールド科学センター)

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