「『魅力ある大学院教育』イニシアティブ」で最高の事後評価を受ける |
文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブは,現代社会の新たなニーズにこたえられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため,大学院における意欲的かつ独創的な研究者養成に関する教育取組に対し重点的な支援を行うことにより,大学院教育の実質化(教育の課程の組織的な展開の強化)を推進することを目的として平成17年度から実施された事業です。本学での取組は,平成17年度5件,18年度2件の合計7件が採択されています。
専門家や有識者により事業の実施結果等を確認し,その結果を各大学にフィードバックし,今後の自主的・恒常的な展開に資するために適切な助言を行うとともに,その活動の成果と併せて広く社会に公表することにより,我が国の大学院教育の実質化を推進することを目的として,2年間の事業期間終了後に事後評価が実施されています。
本学理学院化学専攻の取組「高邁なる大志を抱いたT型化学者養成」(取組実施担当: 理学研究院 化学部門 鈴木孝紀 教授)が,この事後評価にて「目的は十分に達成された」,という最高の評価を受けました。
関連URLは以下の通り:
・文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブ(平成18年度採択教育プログラム)の事後評価について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/11/08112503.htm
・日本学術振興会「魅力ある大学院教育」イニシアティブ審査結果・リンク集・事後評価結果
http://www.jsps.go.jp/j-initiative/sinsa.html
・理学院化学専攻「魅力ある大学院教育」イニシアティブ 高邁なる大志を抱いたT型化学者養成
http://wwwchem.sci.hokudai.ac.jp/inichem2006/index.htm
●評価プログラムの担当者から
直接的な教育効果や取組の継続性とは別に,「魅力ある大学院教育」イニシアティブプログラムに求められているものは,外部へと発信する体外的なインパクトであると思います。すなわち,そのプログラムが学内組織・教育体制に,ひいては国内の他大学に於ける大学院教育にどのように新たな示唆を与えることができるのかが問われているということです。
本プログラムは理学院化学専攻の大学院生を対象として,「視野や知識を広く持ち,但し専門は1つで深く突き詰める」というT型人材育成モデルの実践・実質化を提案したものですが,本学工学研究科では化学系三専攻が中心となって先に大学院教育イニチアティブ「π型フロントランナー博士育成プログラム」を提案して実施し,双峰型教育体制のもとでより広い専門分野を持つ研究者育成が行われています。両プログラムともに,進化し多様化する先端化学領域に挑戦できる次世代の化学者養成を目指したものです。「幅広い知識」と「ダブルディグリー」,これらの延長上にあるものは「理工の融合」にほかならないと考えられます。同一のキャンパス内に立地するという恵まれた地理的条件から,理学院化学専攻と工学研究科化学系三専攻は,関連分野での理工合同での研究会や交流セミナー等が頻繁に実施され,単位の互換認定など教育協力はこれまでも活発に行われてきましたが,真の意味での理工の融合は,新たな組織の設立によって初めて成し遂げられるものと考えます。すなわち,理工の融合は多くの主要国立大学法人の化学系分野でその実施が試みられていますが,理学−工学の教育文化の違いを互いに理解できるまで教育体制のすり合わせを行い,大学院入試や講義カリキュラムまでをも完全に一体化して初めて,その有効性が最大限発揮できるものと思います。現在本学では,長期的な視野に立った理工系大学院組織整備が計画されており,グローバルCOE「触媒が先導する物質科学イノベーション」の後押しを受けて,新しい化学系大学院組織「総合化学院」の設立準備が進行中です。本プログラムが新大学院組織設立の端緒の1つであると考えるとき,本取組は真の意味での理工の融合を,大学院レベルで実施する壮大な計画への第一歩であったといえます。今回は,「魅力ある大学院教育」イニシアティブ委員会より,本プログラムに対して非常に高い評価をいただきましたが,本プログラムの教育取組の継続,更には新大学院組織での取組の実施によって,その真価はより顕在化するものと確信しています。 |
化学系新大学院組織「総合化学院」の設立 |
  |
|
(理学院・理学研究院・理学部) |
|