11月18日(火),大学文書館では,総合博物館に御協力いただき,川嶋一郎関係資料36点の移管を受けました。移管資料は,ご子息の川嶋昭二氏が2004(平成16)年に総合博物館へ寄贈した受講ノート,写真,蔵書などです。
川嶋一郎(1880〜1976)は,1900(明治33)年札幌農学校予修科に入学,1902(明治35)年に本科へ進学し,橋本左五郎教授のもとで畜産学を専攻しました。1906(明治39)年に第23期生として卒業後は,農商務省月寒種牛牧場の技手となりました。その後も千葉県などで農政に関わり,故郷の岩手県二戸郡福岡町長も務めました。
移管資料には,札幌農学校学芸会編纂『札幌農学校』(1898年)があります。中扉には「本書ハ私ニ札幌農学校入学ノ決心ヲ為サシメシ紀念ノ書冊テアル 一郎誌」と書き込まれています。二戸から勉学のため上京して私立中学校に通っていた川嶋一郎が,札幌農学校生徒の編纂した同書を読んで,札幌農学校への進学を決意したことを示しています。
移管資料の中の受講ノートは,「動物学」「植物組織学」「化学 有機化学」「土性学及肥料論」「農業経済論」「農業史及水産論」「殖民政策及移民政策」「農芸物理」「測量」です。川嶋一郎は畜産学を専攻していたこともあり,原十太教授が担当した「動物学」の講義を特に熱心にノートを書き留めています。
大学文書館では,今回の移管資料と合わせて,これまでに川嶋昭二氏から大学文書館に寄贈いただいた川嶋一郎関係資料(日記・写真等,『北大時報』No.640,No.652参照)と,農学部畜産学科から移管された川嶋一郎関係資料(畜産学関係受講ノート,『北大時報』No.644参照)をとりまとめて整理・保存を行ない,展示・研究等を通じて学術研究資料としての価値を広く紹介してまいります。 |
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川嶋一郎旧蔵書『札幌農学校』 |
原十太講義「動物学」(川嶋一郎受講ノート) |
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(大学文書館) |
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