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総合博物館企画展示「南極写真展『剥き出しの地球−南極大陸』 第49次南極地域観測隊セール・ロンダーネ山地調査隊の記録」の開催

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 標記企画展示が10月28(火)から11月12日(水)に総合博物館1階「知の統合」コーナーで開催されました。主催は南極写真展「剥き出しの地球−南極大陸」実行委員会,共催は南極OB会北海道支部・阿部幹雄さんと南極を語る会・北海道大学総合博物館です。
 我が国の南極地域観測は1956年の国際地球観測年(IGY)への参加を契機に始まり,第1次南極地域観測隊以来半世紀が経過しています。本学は南極観測の計画段階から参画しており,本学関係者は毎年地質学や雪氷学などの学術分野あるいは設営分野に参加し,我が国の南極地域観測事業を支えてきています。しかし,北大あるいは札幌では南極の自然を紹介する写真展などの企画はこれまで行われていません。
 本展では,2007年11月から2008年2月まで第49次南極地域観測隊セール・ロンダーネ山地調査隊の一員として参加した本学出身の映像ジャーナリスト阿部幹雄氏による全紙サイズ(46×56cm)の写真記録のほか,当総合博物館所蔵も含めた南極大陸の岩石試料,関連地質図,今回のセール・ロンダーネ山地調査隊が新たに開発したフリーズドライ食品,重い岩石試料を運ぶために改造されたナンセンソリ実物などを展示しました。
 51点の写真は,出発から帰国まで昭和基地を経由せずに単独行動した7名からなる調査隊が,飛行機でスノーモービルやソリ,食料を輸送し,テントが吹き飛ばされるほどの強風と厳寒で2ヵ月半にわたって行った野外調査の様子,ゴンドワナ超大陸の形成を示す地質現象や激しく褶曲し地球は芸術家と思えるほどの美しい文様を示す岩石露頭などを示しました。氷と岩だけの世界が作る“剥き出しの地球”と極地の厳しい環境においてその自然を探る研究者たちの姿は来館者に大きな感動を与え,好評でした。
 関連市民セミナーとして,11月9日(日)13時から16時30分に,下記の講演が総合博物館1階「知の交流」コーナーで開催されました。70名を越える来場者があり,たいへん盛会でした。
 「剥き出しの地球−南極大陸」(阿部幹雄:第49次,50次南極観測隊隊員)
 「南極観測隊の食事と楽しみ」(篠原洋一:第33次,50次南極観測隊隊員)

 講演会では今調査隊用に新たに開発された各種のフリーズドライ食品の試食もあり,参加者の興味を引いていました。
 本展示を通じて,市民の皆さんに南極の自然を知っていただくとともに,南極観測の意義を理解していただくという目的は達せられたと思われます。
(総合博物館)

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