部局ニュース

大学院生による博物館展示リニューアルの取り組み

 平成19年度後期より文学研究科の佐々木亨教授に総合博物館の湯浅万紀子准教授が協力して「展示制作プロセス演習」を行っています。その演習の一環として,大学院生達が総合博物館1階の「人間・社会・自然と科学技術」展示室のリニューアルに取り組みました。まず,来館者の行動を追うトラッキング調査や,インタビュー調査,モニター調査を実施し,展示構成要素の特徴や調査対象者の属性を考慮した上で調査結果を分析しました。そして,10年前に当該展示室の制作を統括していただいた本学工学研究科の小林英嗣教授や,博物館教職員との議論を経て,現状の課題に対応するためのリニューアル案をまとめました。平成20年度後期には,この案に基づいて展示制作会社と共に展示制作の実務に取り組み,この度,第一次リニューアルを終えました。
 この取り組みの意義について大学院生が第3回博物科学会(大阪大学)で発表し,展示内容への理解を深めると共に,実際に展示評価を担い,関係者と議論し,展示制作の実務を担ったことから,課題探求能力やコミュニケーション能力,プレゼンテーション能力が身に付いたと意味付けられました。
 この演習は今後も続き,平成21年度には,工学研究科の但野茂教授にご協力いただいて前年度から実施している工学部の研究室へのヒアリングを継続し,新規展示の制作に取り組みます。また,展示リニューアル後の来館者調査も,佐々木教授と湯浅准教授らによる大学院共通授業科目「博物館学特別講義 II」で実施します。
 4月1日(水),元本学総長で現在は北海道開拓記念館の館長を務められている丹保憲仁先生を佐々木教授が総合博物館にお招きし,10年前に当該展示室の制作にご尽力下さった丹保先生にリニューアルした展示をご覧いただきました。丹保先生が,展示の中でも天塩大橋の模型を特に熱心にご覧になられている最中に,天塩大橋を建造した会社の関係者がたまたま来館され,お二人の間でこの橋の歴史について話が弾みました。
リニューアルした総合博物館1階「人間・社会・自然と科学技術」展示室 左から,丹保憲仁先生,佐々木亨教授,湯浅万紀子准教授,天塩大橋を建造した会社の関係者,馬渡駿介館長
リニューアルした総合博物館1階「人間・社会・自然と科学技術」展示室 左から,丹保憲仁先生,佐々木亨教授,湯浅万紀子准教授,天塩大橋を建造した会社の関係者,馬渡駿介館長

(総合博物館)

前のページへ 目次へ 次のページへ