9月2日(水),大学文書館では,出田新宛て書簡を含む大学沿革関係の郵便資料を,持田誠氏(総合博物館)からご寄贈いただきました。これらの郵便資料は,ネットオークション等で流出する度に,歴史的資料の散逸を危惧した持田誠氏が私財を投じて収集されてきたものです。
出田新(1870〜1943)は大分県速見郡に生まれ,実兄の出田晴太郎が札幌農学校第1期生であったこと,東京英和学校在学中の1886(明治19)年に佐藤昌介の講演を聞いて感銘を受けたことから,1887(明治20)年札幌農学校予備科に入学しました。1889(明治22)年本科に進学,宮部金吾教授のもとで植物病理学を専攻,1893(明治26)年第11期生として卒業しました。卒業後は,大分県立大分中学校,大阪府立農学校などの中等教育機関で教鞭を執り,専門の植物病理学のほか英語の教科書も著した教育家でした。1906(明治39)年には福井農林学校長,1916(大正5)年には山口県立農業学校長も務めました。 |
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札幌農学校植物学教室メンバー(1902年)
中列左端が出田新,中央が宮部金吾教授 |
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この度,受贈した資料は,@出田新宛て書簡61点,A写真6点,B札幌農学校〜北海道帝国大学に関する絵柄の絵はがき13点など84点です。
@では,植物学教室メンバー,同級生(大島金太郎,須田金之助)のほか,札幌農学校第1期生(佐藤昌介,渡瀬寅次郎,荒川重秀,大島正健)もあり,札幌農学校同窓生の強い絆を感じさせます。Aでは,東京英和学校以来の親友である若林功(第17期生)から出田新に宛てた写真や植物学教室メンバーの写真が含まれています。 |
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出田新宛て書簡類など
上段左から佐藤昌介,荒川重秀
封書は左から渡瀬寅次郎,橋本左五郎 |
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大学文書館では,これらの資料を,資料見学会「東京女子大学と北海道大学を結ぶ人々―佐藤昌介・新渡戸稲造を中心に―」(9月7日),資料見学会「札幌農学校第17期生 若林功の学生生活」(9月11日)にて展示しました。今後も,資料見学会・翻刻等により幅広く活用していきます。 |
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(大学文書館) |