10月25日(日),シリーズ「子どもの生きづらさを考える」,今年度第1回の講演会『若者を支える地域づくり 〜「静岡方式」の就労支援から学ぶ〜』を北海道大学文系共同講義棟において開催しました。
講師にお迎えしたのは,「NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡」理事長として就労支援の最前線で活躍されています,静岡県立大学国際関係学部国際関係学科准教授 津富宏氏です。青少年就労支援ネットワーク静岡は『静岡方式』と呼ばれる「市民と雇用主によるセキュリティネット」を提案し注目されています。
就労支援,障害者福祉,教育,などの関係機関職員の他,就労に向けて努力されている方やそのご家族など,さまざまな立場の方にご参集いただき,約70名の参加がありました。約2時間半の講義と30分の質疑,3回のグループワークのセッションを行い,参加者からは,熱の入った講師の話しぶりに,あっという間に時間が経ってしまったとの声も聞かれました。
津富氏は少年院の教官としての経験も長く,非行・犯罪にかかわった少年たちの,自立の応援もされてきました。その経験と知識から,帰属意識(どこか所属しているところを持つこと)が大事であると主張されています。その意味でも,就労は仲間,自尊心,生活のリズム,社会常識,経済的余裕,生きがいなど,生きていくうえで必要なことをすべて一度にもたらすものであると解説され,就労に結びつけることの重要性を説いています。津富氏の提案する『静岡方式』の特筆すべき点は,職業訓練を十分に経た上で就職するのではなく,まず,職場を開拓し,働き始める。そのために受け入れてくれる雇用主と,就労状況を点検し相談相手になるジョブサポーターを確保する(これを伴走型支援と呼んでいます)ことです。また,この考え方の基には,苦手なことを克服しないと働けないのではなく,本人の長所や関心を重視するストレングスモデルがあります。「こんな状態なら,いつになったら働けるかわからない。」と言わずに,「まず,やってみよう」という気にさせるのが『静岡方式』です。
講演の中で,津富先生は何度も自分たちを「おせっかい」ということばで表現していました。地域の持つ良質の「おせっかい」を,組織的に,機能的に展開していく『静岡方式』に,参加された方たちが元気と勇気をもらえた講演会でした。 |