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農学研究院で市民公開・農学特別講演会
「森林の科学と利用」を開催

 11月27日(金)午後2時より5時まで,農学研究院大講堂において「森林の科学と利用」のテーマで市民公開・農学特別講演会を,農学研究院・農学院・農学部・札幌農林学会・札幌農学振興会の主催,北方生物圏フィールド科学センターの共催で開催しました。
 この講演会は,明治31年(1898年)に発足した「札幌農林学会」が毎年開催してきた学術講演会を継承・発展させたもので,100年以上の歴史があります。平成9年からは「市民公開・農学特別講演会」と名称を改め,大学関係者だけでなく広く一般市民の方々に公開されるようになりました。市民公開となって本年度で12回目になります。
 上田農学研究院長の挨拶に続き,本学農学研究院の藤川清三教授による「樹木の中の凍らない水」の講演が行われました。樹木組織の細胞には氷点下40度の低温でも過冷却により凍らない細胞があります。こうした細胞の中の水が凍らないメカニズムの研究から,樹木組織の細胞には過冷却状態を促進する物質があることが明らかになりました。この講演では,樹木組織における過冷却の促進について電子顕微鏡観察像から遺伝子発現解析まで最新の研究成果と,その応用の可能性について話されました。
 続いて,日本大学大学院法務研究科の小林紀之教授より,「地球温暖化と森林 −世界と日本の取組み−」と題した講演が行われました。地球温暖化や森林の荒廃が地球環境の保全にとって重要な問題となっていることは論を待ちません。自然科学・環境問題のみならず,社会・経済問題と深く関わっており,持続可能な発展を脅かす要因となっています。この講演では,地球温暖化をめぐる国内外の動向から,温暖化防止における森林の役割,世界のCO2排出量取引やカーボンオフセットの動向,さらには森林にまつわる今後の世界的枠組の展望まで,国内外の政策的取組みに焦点を当てたことが話されました。
 今年度の市民公開・農学特別講演会では森林にまつわるミクロな自然科学とマクロな社会科学について知ることができました。学内外から約250名の来聴者があり,学外の方や学部生からの質問も出て大変有意義な講演会となりました。
 
藤川清三先生のご講演 小林紀之先生のご講演 立見も出た来聴者
藤川清三先生のご講演 小林紀之先生のご講演 立見も出た来聴者
 
(農学院・農学研究院・農学部)
 

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