部局ニュース

東アジアメディア研究センターが,東京&札幌で国際シンポジウム
「ネットが変える中国,ネットで変わる日中関係」を開催

 メディア・コミュニケーション研究院附属東アジアメディア研究センター(センター長:渡邉浩平教授)は,外務省の日中研究交流支援事業の助成を得て,1月19日(火),東京・大手町の経団連会館で,国際シンポジウム「ネットが変える中国,ネットで変わる日中関係」を開催しました。
 本シンポジウムは,中国から社会科学院新聞与傳播研究所の研究者,人民日報社網絡中心輿情観測室のネット世論の調査・分析スタッフやメディア研究者のみならず,ネットを通じて活発な発言をしているジャーナリストやクリエイターを招聘し,中国におけるネットの置かれた多様な局面を明らかにし,さらに,今後の日本と中国のコミュニケーションのあり方について議論を深めようとするものです。企業・団体の中国担当・広報担当者,メディア関係者,研究者など約200名が参加しました。
 第一部では,中国はネットにどう対処しているのかというテーマで,中国社会科学院新聞与傳播研究所の尹韵公・所長,人民日報社網絡中心輿情観測室の單学剛・副秘書長に,中国のインターネット事情と中国政府の対応等について報告がありました。
 第二部では,ネットは中国社会に何をもたらすのかというテーマで,南方都市報の張平・主席研究員から,ネットを活用したゴミ焼却場建設をめぐる市民運動の盛り上がりの事例について報告がありました。また,ショート・フィルムクリエーターの胡戈氏からは,中国のネット上で大きな注目を集めたパロディ・ショートフィルムとその可能性について報告がありました。
 第三部では,北京外国語大学国際新聞与傳播系の展江教授から,ネット世論について詳細な報告があり,それを受け,尹所長のほか,東京新聞の清水和美論説副主幹,メディア・コミュニケーション研究院の高井潔司教授,渡邉浩平教授がパネリストに加わり,インターネットの発展と新たな日中間コミュニケーションというテーマで活発な討論が行われました。
 本シンポジウムでは,中国においてインターネットが,社会的言論空間の一翼を担っており,ネットに溢れるその巨大なエネルギーを体感しました。直前に検索エンジン大手のグーグルによる中国撤退問題も話題に上っていたため,本シンポジウムでは非常にタイムリーに,中国のインターネット事情と,ネット世論に関する最新の動向が紹介され,参加者からも非常に高い関心が集まりました。会場からも積極的な発言があり,大盛況のうちに終えることができました。
 また,21日(木)には,中国からの招聘者一行を北海道大学に招き,百年記念会館で同様のシンポジウムを行いました。特にパネルディスカッションの代わりとして,大学院国際広報メディア・観光学院の特別演習(東アジアメディア論)受講の修士学生による中国インターネット関連の研究発表も行われ,相互の研究交流が図られました。

 
 
(国際広報メディア・観光学院, メディア・コミュニケーション研究院)
 

前のページへ 目次へ 次のページへ