総合博物館では,企画展「アラスカの恐竜−アジアをめざした生命−」の開催に先立ち,7月10日(土)に関連土曜市民セミナー「ベーリング海峡を渡った恐竜」を開催しました。理学院修士課程の石田裕也さんが,アラスカで発見された恐竜に関する最新の研究を交えて,恐竜の放散と進化について講演しました。
白亜紀後期,約7,000万年前,厳しい冬があり,気温はマイナスまで下がり,全く太陽が昇らない日々が続く極域アラスカで恐竜たちは必死で生きていたことが最近の研究で明らかになってきました。つまり,「暖かい場所に生きていた」という恐竜のイメージを,アラスカから発見された恐竜の化石は覆したのです。
ところで白亜紀のベーリング海峡には,しばしば北米とアジアをつなぐ陸橋が出現しました。アジアで誕生したことが中国で発見されている化石から明らかになっているティラノサウルスの祖先は,北米大陸に渡り大型化という進化の方向で大繁栄し,北米大陸の生態系の頂点に立ち,その後,再びアジアを目指しました。
また,アラスカという極限の環境を生き延びた恐竜は,地球上のあらゆる環境に適応して進化したこと,他方でそれほどの栄華を極めた恐竜のほとんどが,現在は,絶滅している事実等,恐竜のもつ魅力について会場に集まった90名の市民の方々は熱心に耳を傾け,質疑応答も盛んに行われました。 |
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講演する石田さん |
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(総合博物館) |
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