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第11回北海道大学教育GPセミナー
「地域教育の行方−地域活動と大学教育の連携−」開催

 総合博物館では,7月24日(土)に,総合博物館1階「知の交流」コーナーにおいて,滋賀県立大学人間文化学部の印南比呂志先生を講師に迎え,滋賀県立大学が取り組んでいる地域教育・近江楽座の取り組みについて講演していただきました。
 「地域に根ざし,地域に学び,地域に貢献する」をコンセプトに,滋賀県立大学が全学的に取り組んでいる教育プログラム「近江楽座」は,平成16年度に現代GPに採択され,3年間の活動を経た後,平成19年度以降は,大学独自の取り組みとして現在も活動を続けています。
 「近江楽座」は,年に一度,学生からプロジェクトを募集し,選定したプロジェクトに対して事業費を助成し,教員や事務局がサポートをする仕組みとなっています。印南先生によると,学生たちが地域活動を通して社会化することが,大学卒業後に重要な意味をもってくるということでした。サークル活動でも授業でもない近江楽座に参加する中で,学生たちは様々なスキルを磨き,大学では教えられないことを,地域の中から学ぶことができるのだそうです。
 紹介していただいた取り組みの中には,使われなくなった古民家を改修し実際に住む「とよさと快蔵プロジェクト」や,近江牛など地元の食材を使った商品を開発する「Oumi Food Project」,また「限界集落の村おこし」,「信・楽・人・filed gallery project」など,興味深いプロジェクトが多数あり,参加者の方も熱心に耳を傾けていました。
 質疑応答時間に出た,プロジェクトを推進する中で苦労したことは何かという質問に対して印南先生は,このセミナーで紹介しきれなかった苦労は,実は無数にある,という答えを返されていました。学生が地域の中に入っていくと,地域住民と学生の意識の違いから,必ずといっていいほど摩擦が起こる。その両者の調整をするのが教師の役目であり苦労も多いそうですが,地域住民との摩擦の中で学生が社会化する面もあるということでした。地域教育の取り組みを知ることができただけではなく,その在り方についても考えさせられる講演でした。
 
講演する印南先生 講演する印南先生
講演する印南先生
 
(総合博物館)
 

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