サステナビリティ・ウィーク2010 実行委員長
国際担当理事・副学長 本堂 武夫 |
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今年で4回目となる「北海道大学サステナビリティ・ウィーク」は,昨年よりさらに包括する学問分野と扱う課題の多様さが増し,世界に類を見ないユニークな社会貢献・国際交流週間へと成長し,本学を代表する行事として発展しています。
2010年のテーマは「ひとり一人がすこやかに人間らしく生きる社会を目指して」でした。このテーマの下,10月25日(月)から11月7日(日)までの2週間に,38の行事を集中的に開催しました。これに,ウィーク前後を合わせると,47の行事が集いました。
【今年の特徴】
今年の特徴は,サステナビリティを考える上で,より焦点を絞ったテーマを掲げました。そのテーマは,自然環境や社会環境の議論が多かったこれまでのサステナビリティ・ウィークを鑑み,人間にスポットを当てたものにしたことです。
大量消費社会の限界が見えている今日,持続可能な社会を実現するためには,国の豊かさや国民の幸せの指標をGDP(国内総生産)のような量を競う指標から,ひとり一人が身体的,精神的,社会的に良好な状態(well-being)や生活の質(Quality of Life)に求める議論が最近盛んに行われています。
また,ひとり一人の健康や生活は,社会の仕組みや自然環境の影響を受け,逆に人間の活動はそれらに影響を与えます。このような視点で,健康,生態系,貧困,少子高齢社会を切り口に,自然界も含めた人間社会の持続可能性を考えようと,「ひとり一人がすこやかに人間らしく生きる社会を目指して」というテーマを掲げました。
【企画の全体像】
テーマに呼応し連日開催された行事は実に多様で,国際シンポジウムをはじめ,市民向けのセミナー,博物館展示,映画上映,ディベート大会,学生研究ポスターコンテストといった例年行事に加え,学生の発想を競う企画コンテストや実験サイトを巡るツアー,アイヌ語弁論大会,廃油から作ったキャンドル点灯,二酸化炭素の排出削減に向けた自転車タクシーの運行など,様々な方法で人類共通の課題を考える機会が設けられました。
【協定校との連携】
人間の存続(持続性)を脅かす課題は一国一地域では解決ができず,「連携」が重要になります。そこで毎年,海外の大学間交流協定校に対し,ウィークへの参加や行事の共同開催を積極的に働きかけています。
今年は,この1年間に協定を締結した比較的新しい大学との連携を強化しようと,ダルハウジー大学(カナダ),マレーシア科学大学,ミュンヘン工科大学(ドイツ),四川大学(中国),ポーランド科学技術大学(ポーランド),延世大学校(韓国)から代表者を招き,各大学におけるサステナビリティの取り組みを,紹介いただきました。これは,学生にとっては短期留学を考える機会,教員にとってはサマープログラムなど教育における協働を考える良い機会となったと好評でした。
特にダルハウジー大学のキース・タイラー副学長には,10月25日(月)に開催したオープニング・シンポジウムの基調講演において,カナダの企業から卒業生をぜひ就職させたいと引き合いの多い同大のサステナビリティ教育について,その精神と体系をご紹介いただき,本学の今後の全学教育や大学院共通講義のあり方を考える上で,大変参考になりました。今後も,「サステナビリティ」を共通テーマとして協定大学と交流を続け,協働事業を行うなど互いの関係をより強固にしていきたいと考えています。
【北海道大学とサステナビリティ】
130余年の歴史を通じた北海道大学の基本理念は「フロンティア精神」「実学の重視」「全人教育」そして「国際性の涵養」です。これを時代の要請に照らし合わせると,持続可能な社会の実現に貢献する人物の輩出と言えるでしょう。
そのような文脈から2008年に,本学がホスト校の一つとなって札幌市で開催したG8大学サミットは,一つの大きな節目でした。世界35大学の代表がここ札幌市に集まり採択した『札幌サステナビリティ宣言』の中で,「大学が持続可能な社会の原動力となる」と誓ったことを具現化するため,北海道大学はサステナビリティを軸とした研究と教育をますます加速させています。
【来年に向けて】
『札幌サステナビリティ宣言』を具現化する一つの方策として,2011年も引き続きサステナビリティ・ウィークを10月24日(月)から開催する予定です。今年集まった同志が,これから1年間の研究成果と活動成果を持ち寄る機会となるよう,北海道大学はしっかり準備をしたいと思います。そして新たな仲間にも加わっていただき,持続可能な社会の実現に向けた取り組みが,これまで以上に世界規模で活発になるような,きっかけと場を提供したいと考えております。 |
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サステナビリティ・ウィーク2010オープニングシンポジウム
北海道大学「持続可能な発展」国際シンポジウム
「ひとり一人がすこやかに人間らしく生きる社会を目指して
〜わたしたちが直面する危機の原因を包括的に探る〜」 |
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期 日:10月25日(月)〜26日(火) 場 所:学術交流会館 |
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4年目を迎えるサステナビリティ・ウィーク2010のオープニング行事として,北海道大学「持続可能な発展」国際シンポジウムを10月25日(月)と26日(火)に開催しました。
冒頭のオープニングセレモニーでは,佐伯浩総長の挨拶の後,文部科学省の藤嶋信夫国際統括官より「当ウィークを通じて持続可能な社会の担い手づくりの観点から議論がされるよう期待している」と祝辞をいただきました。
続いて本学の本堂武夫 理事・副学長が,本学の基本理念と,持続可能な社会を実現するためのサステナビリティ・ウィークの役割の重要さについて講演しました。
基調講演では,前年に大学間交流協定校となったカナダのダルハウジー大学のキース・F・テイラー副学長が,「経済と環境はともに極めて複雑なシステムであり,一元管理は出来ない。持続可能な未来への道は教育により開かれるものだ」と述べ,ダルハウジー大学でのサステナビリティの取組についての紹介を行いました。
その後,特別プログラムとして,2010年のノーベル化学賞を受賞した,鈴木章北海道大学名誉教授の受賞を祝す会を急遽開催しました。
はじめに佐伯総長のお祝いの言葉があり,続いて,共同研究者であった宮浦憲夫 工学研究院特任教授,触媒を使った物質変換の研究をしている日本人学生や留学生がお祝いを述べた後,教職員の代表から花束が贈られました。
最後に鈴木先生からメッセージがあり,ご自身の専門である化学の分野でも,持続性のある社会づくりを目指して,環境を汚さない方法で化学の務めを果たすための研究が盛んになっているとの紹介がありました。
そして,「政府や大学の努力に加え,ひとり一人がサステナビリティの精神を肝に銘じ協力していくことが大切であり,時機を得た北海道大学の取り組みの発展に期待している」とのお言葉がありました。
セレモニーに引き続き行われたシンポジウムでは,今年のテーマである「ひとり一人がすこやかに人間らしく生きる社会を目指して」,我々が直面する危機の原因を包括的に探る試みが行われました。
初日は健康・環境・社会政策の3つの側面から,2日目は,午前中に「こども」,「生態系」,「水」,「少子高齢社会」の4つの分科会に分かれて討論が行われた後,午後の全体会にて総合討論が行われました。 |
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ダルハウジー大学キース・F・テイラー
副学長による基調講演 |
鈴木名誉教授のノーベル賞受賞を祝う会 |
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全体会および分科会のセッションおよび協力部局は以下のとおりです。 |
初 日:全体会 |
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セッション1: |
自然と社会の健康への影響(環境健康科学研究教育センター,保健科学研究院) |
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セッション2: |
生態系劣化と生活劣化(地球環境科学研究院) |
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セッション3: |
社会のしくみと生活(公共政策大学院) |
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2日目:分科会 |
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セッション1: |
社会の持続的発展の次世代主体−いまある「こども」の危機−(教育学研究院) |
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セッション2: |
ユーラシア・エコトーン帯:モンゴルにおける生態系の持続的利用(地球環境科学研究院) |
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セッション3: |
世界の水の危機とWell-being(工学研究院) |
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セッション4: |
高齢社会の健康と介護:幸せとは?(医学研究科,環境健康科学研究教育センター) |
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湯浅誠 氏と中島岳 准教授の対談
(全体会セッション3) |
2日目の午後の総合討論の様子 |
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「少子化と持続可能な未来」 |
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期 日:9月25日(土)
場 所:学術交流会館
代表者:医学研究科 教授 玉城 英彦 |
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本学と協定校からなる国際コンソーシアムは昨年度以来,「持続可能な発展」における健康の社会文化的な側面について共同研究を実施しており,とくに少子化に関わる出生率について,グローバルかつ各国独自の視点から検討しています。今回は,国内の研究者および一般市民向けの講座として,「少子化と持続可能な未来」というテーマで国際シンポジウムを開催し,保健医療の視点から捉える「持続的発展」とは何かについて,国内外の大学および研究機関から少子化・人口問題の専門家を招いて活発な議論を展開しました。
シンポジウムではまず,少子化の進んだ先進国の事例として,「日本の少子化社会の現状と課題」「韓国における少子化の課題:持続可能な未来への難局か好機か」「スイスの持続可能な社会に少子化はどのように関連するか」の3題について各国の専門家が講演をし,それぞれに対して米国,タイ,スリランカの専門家が指定発言をしました。その後の討論では,少子化時代における持続可能な社会の構築に向けて参加者全員で総合的な議論が交わされ,次の4点が将来の議論を展開する主要項目として座長により提示されました。
@健康が保障されるようになり,長くなった寿命に対する価値が大きくなったのは,文化や人間を含めた社会の要請によるものである。
A寿命が延び,健康的な生活を送ることができる期間が長くなったのは,公衆衛生が発展し,医療従事者の貢献によるものが大きい。
B個人および社会の資源分配が加速し,その方向性が示されることは,経済や家族,社会が期待していることである。
Cスイスのような国では,国内外の人口移動が出生率に影響している。
最後に,サステナビリティ・ウィーク2010を通して,一般市民および国内外の専門家を交えて少子化と持続可能な未来に関する活発な議論をすることができたのは非常に大きな成果であり,少子化のみならず高齢社会も考慮した持続可能な未来構築に向けてさらなる活動が期待されます。 |
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全体討論 |
会場風景 |
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サイエンスカフェ「地球の調べ方・カフェ」(第一夜〜第三夜) |
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期 日:10月13日(水)〜10月15日(金)
場 所:Sapporo55ビル インナーガーデン
代表者:地球環境科学研究院 教授 山中 康裕 |
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地球の調べ方実行委員会は,サステナビリティ・ウイーク プレイベントとして,10月13日(水)から10月15日(金)に,三夜連続で『地球の調べ方・カフェ 2010年 秋 〜「北海道の自然」や「秋を感じる生き物」の世界をのぞいてみよう!〜』と題したサイエンスカフェを札幌駅前の紀伊國屋書店インナーガーデンで行いました。
第一夜の13日(水)は『「雪虫」ってどんな虫?〜短い命でも上手につなぐ“いのちのリレー”,そこにある不思議で賢い生き方〜』というタイトルで,ゲストに農学研究院 秋元 信一 教授を迎えて,「ユキムシの生き方を知ることで,交配して子を残すことの意味を考える」ことをテーマに扱いました。
第二夜の14日(木)はゲストにさっぽろ自然調査館のみなさんをお迎えし,『「自然を調べる,森を育てる,生き物の姿を伝える」仕事の魅力 〜まずは,「どんぐり」の話から始めましょう!〜』というタイトルで,ゲストが実践する「調べる,育てる,伝える」仕事の面白さ,大変さ,魅力について伝え,考える場をつくりました。
第三夜の15日(金)はゲストに地球環境科学研究院 露崎史朗 准教授(現・教授)を迎えて,タイトルに『ダメージをうけた地域に,植物はどのように戻ってくるのか 〜「有珠山」「経営を終えたスキー場「あなたの足もと」に生きる植物たち〜」と題して,植物の植生撹乱がどの様に回復するのか,そして,人為的に破壊してしまった植生をどの様に戻していけばよいのか,などをテーマに扱いました。
各所にて独自の広報を行った結果,平日の夜にも関わらず,会場は三夜とも大盛況になりました。また,カフェの最中では参加者からの質問なども活発に行われました。三夜とも,ゲストの研究の奥深さ,そしてそのゲストの人柄が伝わる素敵なサイエンスカフェになりました。 |
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経済学部主催 第7回プレゼン・ディベート大会 |
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期 日:10月16日(土)
場 所:人文・社会科学総合教育研究棟
代表者:経済学研究科 准教授 高木 真吾 |
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今年で第7回目を迎えた経済学部主催プレゼン・ディベート大会は,今回テーマを「農業再生〜ビジネスの新しいデザイン〜」としました。7月には大会に先駆けセミナーを開催し,研究者,実務家から「農業再生」を考える上でのレクチャーを受けました。
大会は初参加の農学部チーム,公共政策大学院チームなど13チームがエントリーしました。各チームは「農業再生」を多面的方向から,知力をつくして様々な提言案を示し,6時間余りにおよぶ熱い戦いを繰り広げました。また,今大会から新たに昼休みの時間を利用して「ポスターコンテスト」を催しました。力作の資料を試合だけではなく,このような形で公開することで参加者にとっても試合とは別な楽しみ方ができたのではないでしょうか。オーディエンスも多方面から集い,試合後のフロアーからのコメントも活発に行われました。
数々の熱戦を繰り広げ,今大会を制したのは,優勝「takait(経済学部高井ゼミ)」,準優勝「公開秘密結社(経済学部橋本ゼミ)」,三位「HDC(北海道大学ディベート部)」,ポスターコンテスト優勝「しゃべくり倶楽部(HOPS)」という結果でした。優勝チームは念願の初優勝を飾った高井ゼミチーム。試合を重ねるごとにパワーを増し,たくましいチームワークで勝利を勝ち取りました。準優勝はユニークな政策論で攻めた橋本ゼミチーム。初のポスターコンテストを制したのは公共政策大学院チームでした。
本行事は学部生と大学院生が一緒に作り上げる行事であり,他学部からの出場も定着してきました。この催しを通じて,学部生・大学院生両者ともコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を研く良い機会となりました。様々な分野の方々のご協力を得,多くの方々の聴講をいただき,参加者は100名を超え,盛況のうちに大会を終えることができました。
来年もこれまで同様,学生たちに思考を喚起させる行事にしていきたいと考えています。 |
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プレゼンテーションを行う出場チーム |
ポスターコンテスト |
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市民向け講座:北海道大学サステナビリティ・フォーラム |
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期 日:10月22日(金)
場 所:学術交流会館
代表者:サステナビリティ・ウィーク2010事務局 |
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サステナビリティ・ウィークのプレ・イベントとして,10月22日(金)夜に市民向けのフォーラムを北海道新聞社と共催しました。
「すこやかに人間らしく生きる社会を目指して」と題したこのサステナビリティ・フォーラムには,札幌市民ら約250人が参加し,18時半開始にもかかわらず学術交流会館の大講堂に多くの観客が集まりました。
プログラムは2部構成とし,第1部は「北のコンパクトシティ〜持続可能な都市へ向けて〜」と題して,工学研究院 瀬戸口剛教授が話題を提供し,佐藤のりゆき客員教授と農学院博士課程1年の河原愛さんを交えてディスカッションを行いました。
第2部は「すこやかに人間らしく生きるための死生観」と題して,文学研究科 宇都宮輝夫教授が話題を提供し,佐藤客員教授と公共政策大学院修士課程2年の茂木美早穂さんがコメントを添えました。
休憩時間には,茂木さんが所属する学生団体SCSD(The Students Council for Sustainable Development in Hokkaido University)が持続可能な社会の実現のためにできることを多くの人に考えて欲しいという想いをこめて制作した映像『New Life, New Challenge』を上映しました。
ディスカッションのコーディネートは北海道新聞社取締役広告局長の田村雄司 氏が務める一方,総合司会は文学部4年の能登あすみさんが担うなど,全体として学生の活躍が印象に残るフォーラムとなりました。
来場者アンケートによると,本学への期待として,北海道を基盤とした未来社会の形成に務めて欲しいといった意見が多く見られました。また,サステナビリティ・ウィークへの期待としては,もっと市民が入り込んでいける企画を増やして欲しいといった意見が顕著であり,今後も引き続き市民に向けて研究成果や本学の動向を分かりやすく伝えることの重要性を認識しました。 |
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フォーラムのポスター |
第2部の様子
(右から佐藤客員教授,宇都宮教授,茂木さん,
北海道新聞 田村氏) |
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みんなで考えよう−身近な環境と子どもの健康− |
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期 日:10月24日(日)
場 所:学術交流会館
代表者:環境健康科学研究教育センター センター長 岸 玲子 |
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環境健康科学研究教育センターが平成22年4月に設立となり,その設立記念として,10月24日(日)に市民公開講演会「みんなで考えよう−身近な環境と子どもの健康−」を開催いたしました。
総合司会の環境健康科学研究教育センター 半田康 特任助教の開式挨拶にてはじまり,環境健康科学研究教育センター 宮下ちひろ 学術研究員が「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」のこれまでの研究結果をもとに,環境化学物質が引き起こす健康影響について「私たちを取り巻く身近な環境」として講演し,続いて環境健康科学研究教育センター 荒木敦子 学術研究員が「シックハウス症候群の原因解明のための全国規模の疫学研究」のこれまでの研究結果をもとに,室内汚染による健康問題や室内の汚染物質について「子どもの健康はおうちの健康から」として講演しました。
次に,札幌市保健福祉局保健所の矢野公一所長から,札幌市保健所,区保健センター,衛生研究所の共同制作DVDの上映後,札幌市における喫煙率や妊娠中の喫煙・受動喫煙,乳幼児の受動喫煙,受動喫煙対策について「パパ,ママ,タバコやめて!小さな命のために」としてご講演いただきました。
そして,医学研究科産科・生殖医学分野教授,環境健康科学研究教育センター兼任の水上尚典教授が,小さな赤ちゃんの出生率の増加,それによって懸念される病気について「生まれてくる赤ちゃんへ−産科医からのメッセージ」として講演し,続いて環境健康科学研究教育センターの岸玲子センター長が「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」の概要と結果について,環境省エコチル研究の概要,当センターの理念と活動について「環境と子どもの北海道スタディの成果と今後の環境省全国調査について」として講演しました。
最後に,教育学研究院人間発達科学分野教授,環境健康科学研究教育センター副センター長兼任 河口明人教授,保健科学研究院創成看護学分野教授,環境健康科学研究教育センター副センター長兼任 齋藤健教授の司会で,会場に集まっていただいた参加者の方々から質問を募集し,その質問に講演者がパネラーとして答える形で総合討論を行いました。
多数の様々な質問が会場から寄せられたため,パネラーが質問に答えながら,活発に意見交換をし,それを興味深く聞き入る参加者の方々から関心の高さがうかがえ,有意義な市民公開講演会となりました。 |
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講演中の岸玲子センター長 |
総合討論の様子 |
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グリーン回路とシステムに関する国際ワークショップ |
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期 日:10月25日(月)
場 所:情報科学研究科
代表者:情報科学研究科 教授 宮永 喜一 |
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10月25日(月)に,“グリーン回路とシステムに関する国際ワークショップ”が開催されました。本ワークショップでは,最先端無線ネットワークで世界的に著名なProf. Magdy A. Bayoumi (Director, The Center for Advanced Computer Studies, University of Louisiana at Lafayette, U.S.A.)〈マギィ バヨーミ教授(アメリカ,ルイジアナ大学 ラファイエット高度コンピューター科学研究センター 所長)〉を招聘し,“Wireless Sensors Networks: Challenges and Opportunities”(ワイヤレスセンサーネットワーク:課題と未来への可能性)と題して基調講演をいただきました。また,2人目の招聘者として,Prof. Eryk Dutkiewicz, Dr. (Department of Electronic Engineering, Macquarie University, Sydney, Australia)〈エリック ダッキウィクズ教授(オーストラリア,マッコーリー大学工学部)〉を招き,“Development of a wireless body area network platform for implantable medical applications”(医療応用のための人体領域用無線ネットワークシステムの開発)としてご講演いただきました。
その後,参加学生による最新の成果発表等も企画し,セミナー形式だけではなく,次世代情報通信システムやマルチメディアシステムの最新技術に関する活発な意見交換が行われ,活気あふれるワークショップとなりました。学生による発表題目は以下の通りです。 |
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(1) Robust Speech Recognition by Mr. Yiming Sun(雑音に強い音声認識)
(2) Speech Recognition using Stochastic DTW by Mr. Yuxin Zhang(確率的DTWによる音声認識)
(3) Low Power Design of MIMO-OFDM by Mr. Jaeseong Kim(MIMO−OFDMの低消費電力設計)
(4) Advanced MIMO-OFDM by Ms. Nicole Shi(次世代MIMO−OFDM) |
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エリック教授による講演 |
バヨーミ教授による講演 |
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自転車タクシーDEおしゃべり&ECO |
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期 日:10月25日(月)〜10月31日(日)
場 所:北海道大学構内
代表者:環境科学院 修士1年 藤部 拓己 |
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■行事概要
本企画は学生企画です。「ベロタクシー」(自転車タクシー)を活用して,@サステナビリティ・ウィーク2010(SW2010)の参加者の皆様と会話し交流を図ること,A環境配慮型の乗り物であるベロタクシーによる利用者の環境意識向上を目的として行われました。本企画は大きく準備段階(5月〜)と運行段階(10月〜)に分けられます。準備段階においては,車体に掲載するSW2010の広報デザイン案の作成から決定までの一連のプロセスを通して,合意形成を学ぶなど,企画から実際の運行までに様々な学びがありました。
運行段階になると,10月1日(金)から24日(日)までは「SW2010」と「北海道大学」がデザインされた車体が札幌市内を走り,学外に北海道大学でSW2010が行われることをアピールしました(運行は委託による)。SW2010のオープニングセレモニーに合わせて25日(月)からは学生の運転で学内を運行し31日(日)まで,観光客の方等にご乗車いただきました。
また準備・運行期間中は新聞やラジオに出演し広く取り組みを知ってもらい,非常に多くの方にご乗車頂くことができました。
車体の借入や運行方法の研修において,札幌市内でベロタクシーを運行しているNPO法人エコ・モビリティ サッポロ様にご協力頂きました。また企画進行全般にわたり環境科学院GCOEプログラムに支援を頂きました。
■成果
学内運行期間中は1週間で約150組,計300名近くの方にご利用頂きました。市民や海外の方,学生,研究者による利用があり,特に市民の方とドライバーの会話の中でサステナビリティウィークについての質問が出て説明するという場面が多くありました。また,広告を掲載した車体は非常に多くの注目を集め,写真や動画に収められサステナビリティウィークの認知度向上に貢献しました。
さらに利用者の声には「ゆっくり走りながら景色を見ることができて良い」,「CO2を排出せずクリーンで,学内の自然環境にマッチしている」といった声もあり,環境について考える機会となったと考えられます。
■今後の展開
広い学内の移動手段として利用される方が多く,サステナビリティウィークの期間以外にも運行して欲しいという声を多数頂きました。今後利用者の声を分析し,試験的な運行を継続して行い,北大の環境への実践的な取り組みとして,学内の新しい交通手段として,ベロタクシーの活用の道を考えていきたいと考えています。 |
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構内を走るベロタクシー |
皆で記念撮影 |
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第5回フェアトレードフェア |
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期 日:10月25日(月)〜11月6日(土)
場 所:北海道大学生活協同組合 生協会館店
代表者:法学部2年 国際協力学生団体「結〜yui」プロジェクトリーダー 橘田 史奈 |
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今回私たち「結〜yui」では,サステナビリティ・ウィーク2010(SW2010)に伴い「フェアトレードフェアVol.5」を10月25日(月)〜11月6日(土)の期間,生協会館店で開催しました。更に「フェアトレードフェアVol.5」の開催に伴い,10月27日(水)にフェアトレードPeople Treeの元社員である中田裕子氏を講師として招き,講演会を開催しました。サステナビリティ・ウィークの企画としての「結〜yui」での「フェアトレードフェア」主催は,昨年に続き2度目です。
今回の「フェアトレードフェアVol.5」では,本学近郊にあるフェアトレードショップ「みんたる」より商品を委託させていただき,生協会館店の協力により同店で開催されました。商品は,チョコレートやコーヒーなどの食品やキーホルダー・置物などの雑貨を主に販売しました。
また,講演会はフェアトレードについての知識を深めるとともに,フェアトレードの認識を広めていくという目的で開催しました。ただ講演を聞くのではなく,参加者も発言できるような講演会となりました。「フェアトレードフェアVol.5」の総売上は79,458円,講演会への外部からの参加は8名という結果になりました。
今後の展開としては,現時点では次回の「フェアトレードフェア」開催の細かな目途はたっていません。
しかし,私たちはこのような活動を継続することに意味があると考えています。活動を継続することによって,少しでも多くの方にフェアトレードについて知ってもらい,世界の現状について考えてほしいと思っています。
明言はできませんが,「フェアトレードフェアVol.6」を開催したいという思いを持っています。その場合は,今回あまり達成できなかった購買意欲をあげる広報・企画などについてさらに考えていきたいです。 |
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フェアトレード商品の陳列 |
商品を見る買い物客 |
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第2回北海道大学サステナビリティ学生研究ポスターコンテスト |
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期 日:10月26日(火),11月2日(火)
場 所:学術交流会館
代表者:サステナビリティ・ウィーク2010事務局 |
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第2回北海道大学サステナビリティ学生研究ポスターコンテストが,10月26日(火)と11月2日(火)の2回に分けて,学術交流会館ホールにて開催されました。本コンテストは,学生が今取り組んでいる研究を「持続可能な社会づくり」という観点から捉え直し,研究分野の異なる人に分かりやすく伝えるよう推奨するものです。「持続可能な社会づくり」という壮大なテーマと,自らの研究がどのようにリンクをしているのか,今一度考えてみようと,多くの学生がコンテストに参加しました。
第2回目となった今年は,全学から学部生2名,修士課程42名,博士課程49名の,76チーム93名が参加し,2週に分かれて審査が行われました。
審査にあたっては,全学から61名の教員と,ポスター発表者ら80名の学生が参加しました。1枚のポスター発表につき,教員3名,学生2名の5名が審査をし,総得点375点でスコアを争いました。今年の特徴は,発表者とは異分野の研究者が審査を担当することにありました。
発表を終えた学生からは,「異分野の人に自分の研究を説明する難しさを学ぶことが出来た」「多分野の人に研究を見てもらうことで,新しいアイディアを得ることが出来,また大変刺激になった」などと,今回の参加が大変役に立ったとのコメントが寄せられました。また,審査員を務めた教員からも,「分野外の学生の発表は知的な刺激になった」「大変面白い経験だった。学ぶことが多かったと」という声を聞くことが出来き,発表者にとっても,審査員にとっても,共に充実したディスカッションが行われたことがうかがえました。
11月5日(金)には,学術交流会館第1会議室にて授賞式が執り行われ,「第2回北海道大学サステナビリティ研究ポスター賞」を受賞した37チーム42名に賞状と副賞が手渡されました。
来年も,この「北海道大学サステナビリティ学生研究ポスターコンテスト」は引き続き開催する予定です。理系・文系を問わず,全学からの学生の参加をお待ちしています。 |
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口頭発表の様子 |
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【所属部局別参加者数】 |
環境科学院 40人/農学院 17人/保健科学院 11人/工学院 10人/水産科学院 4人/ |
経済学研究科 3人/国際広報メディア・観光学院 2人/歯学研究科 2人/ |
文学研究科 1人/公共政策大学院 1人 |
歯学部 1人/農学部 1人 |
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【北海道大学総長賞(最優秀賞)受賞者一覧】 |
農学院 Nareethep Ruangthip・内田 裕夏 |
・・・健康・公衆衛生分野 |
保健科学院 高島 理沙 |
・・・社会的な絆・文化・平和分野 |
文学研究科 長坂 邦仁 |
・・・政策・社会制度分野 |
環境科学院 三原 義広 |
・・・経済・産業・エネルギー分野 |
環境科学院 石丸 夏海・関口 郁恵 |
・・・食料・水分野 |
農学院 Arshana Nor Noorul Amin |
・・・食料・水分野 |
環境科学院 遠藤 寿 |
・・・地球環境・生態系分野 |
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本堂理事・副学長より賞状・副賞を授与 |
受賞者の集合写真 |
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インフルエンザなどの人獣共通感染症を克服する〜統合科学実験展示〜 |
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期 日:10月26日(火)〜11月3日(水) ※11月1日(月)を除く
場 所:総合博物館
代表者:総合博物館 教授 松枝 大治 |
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10月26日(火)〜11月3日(水・祝)の8日間,総合博物館において「インフルエンザなどの人獣共通感染症を克服する〜統合科学実験展示〜」と題して企画ブースを出展し,市民に人獣共通感染症に関する最新の研究現場に関わる内容を展示するとともに,統合科学としての意味合いを強く持つ研究分野の紹介を行いました。人獣共通感染症を克服するには,獣医学,医学,生物学,情報科学,理学など様々な学問分野が力を合わせなければ不可能であることを展示および今回作成したビデオの中で示しつつ,人獣共通感染症への理解を促しました。
期間中は,子供から大人まで幅広い年齢層一般市民800名以上が当ブースを訪れ,人獣共通感染症を解説したパネル,実験設備や模型の展示,顕微鏡観察,実験器具や防護スーツの体験,感染症を題材にしたゲームを通して,人獣共通感染症とその研究について学びました。
開催期間中は,教員14名,博士研究員10名,学生18名が,交代で総合博物館に常駐し,800名以上の来場者に,展示物の説明や体験型展示の応対を行いました。この期間の総合博物館入館者数は3,000人にのぼりました。展示期間中,計775枚のアンケートを回収し,展示内容・説明のわかりやすさ,研究施設・研究内容に関する意見を聴取できました。
また,10月31日(日)には,人獣共通感染症リサーチセンター 喜田教授が「鳥,ブタ,そしてパンデミックインフルエンザ騒動を斬る」と題した講演会を開催し,約60名の一般市民がこれを聴講しました。聴講者からは,今回,稚内市大沼のカモ糞分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスをはじめ,ワクチン,新型インフルエンザウイルス等,インフルエンザ感染症研究にかかわる多岐にわたる質問がありました。シンプルな目的ですが,複雑に学問がからみあう同分野の研究に対する市民の質問に対して,喜田教授は懇切丁寧に回答し,来場した市民の同分野に対する理解も深まったと想像できます。
人獣共通感染症リサーチセンターでは,様々な分野が協力して人獣共通感染症の克服に努力しています。昨年度は,有珠・洞爺の研究を通して統合の糸口を検討したのと対照的に,今年度は,統合科学の1つの完成形を示してくれました。今後も統合科学に関する実験を進め,北大の研究者のサステナビリティも含めて北大の,北海道の,日本の,人類のサステナビリティに学問を通してどのように関わっていくべきかを考えていく必要があります。 |
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展示の様子 |
市民講座で熱心に耳を傾ける参加者 |
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留学希望者向けセミナー |
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期 日:10月27日(水)
場 所:学術交流会館
代表者:国際本部長 本堂 武夫 |
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国際本部及び国際支援課は,10月27日(水)に協定大学のプロモーショナル・イベントを開催しました。
本行事は昨年に引き続き実施したもので,参加大学は,ポーランド・AGH科学技術大学,カナダ・ダルハウジー大学,中国・四川大学,ドイツ・ミュンヘン工科大学,アメリカ・オクラホマ大学,マレーシア・マレーシア科学大学,韓国・延世大学校の7大学でした。
当日は,各大学がサスティナブル・ディベロプメント(SD)についてどのような教育を行い,学生が授業や授業外でSDにどのように関わっているかを参加大学より発表してもらい,それぞれの特徴的な取り組みが紹介されました。
イベント終了後に参加学生に実施したアンケートでは,「今後の留学を考えるのに役立った」との回答が多くみられ,また参加大学教員達も自身の大学を直接学生達にアピールし,学生の反応を肌で感じられたことに非常に満足感を覚えたようです。
国際本部及び国際支援課は,学生の皆さんに留学をより身近なものと感じてもらうため,今後も様々な形で情報提供に努める所存です。メール(ryugaku@academic.hokudai.ac.jp)での留学相談も受け付けておりますので,留学希望の学生にご紹介いただければ幸いです。 |
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学生からの質問に答える協定大学担当者 |
北大からのプレゼンテーション |
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プログラム |
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サステナブル・キャンパスツアー |
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期 日:10月27日(水)
場 所:北方生物圏フィールド科学センター,同生物生産研究農場,地球環境科学研究院
代表者:サステイナビリティ学教育研究センター 特任准教授 辻 宣行 |
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学内にある環境に優しい施設,農場のバイオガスプラント,堆肥施設,農業残渣ペレット燃焼による温室加温,バイオトイレ,環境科学院の太陽光発電装置を,参加者とともに訪れ,引率者(北方生物圏フィールド科学センター 荒木肇教授,地球環境科学研究院 藤井賢彦特任准教授,サステイナビリティ学教育研究センター 辻宣行特任准教授)や荒木,藤井研究室の学生が現場で説明,質疑応答を行いました。英語しかわからない参加者もいたため,英語,日本語両方を使いながら説明を行いましたが,一般の日本人参加者も英語を理解されているようで,説明する言葉の問題(説明の荒木,藤井先生が英語,日本語をうまく使われたこともあるが)はなかったように感じられました。
北方生物圏フィールド科学センターに集合し,牛舎,農場,地球環境科学研究院と徒歩で回ったこともあり,三時間は必要であり,時間配分は問題ありませんでした。前日の雪,当日の雨のための道のぬかるみ(特に農場)を心配しましたが,農場より長靴が貸し出されたこととなどにより,回避されました。
当日の天候不良のせいか,午前は予約者数18名に対して参加者10名,午後は19名に対して,14名でした(共に2〜3名の飛び入り参加者あり)。特に海外大学の参加予定者は全て不参加でしたが,人数的には丁度良いのではないかと感じました。
学内には今回案内した施設以外にも,工学部のローエネルギーハウスがありますが,施設管理教員の都合が合わず今回は見送りとなりました。一般は言うに及ばず,北大生も入るチャンスがない場所を見学でき,説明もわかりやすかったため,参加者には好評であったと思います。 |
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キャンパスを歩くツアー参加者 |
参加者で記念撮影 |
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第1回 サステナブル・キャンパス・コンテスト |
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期 日:10月27日(水)
場 所:学術交流会館
代表者:公共政策大学院 修士課程2年 岡部 宇洋 |
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学生団体SCSD(The Students Council for Sustainable Development in Hokkaido University)は,10月27日(水)に「第1回 サステナブル・キャンパス・コンテスト」を開催しました。これは,“学生の想像力が北大を変える”と信じ“世界に誇れる持続可能な北大キャンパスの構築”を目指して,その実現のためのアイデアを北大生から募集,発表するものです。コンテスト当日は,北大教員3名とSCSDメンバー2名が審査員審査を,聴衆の方々が会場審査を行い,最優秀賞・審査員特別賞・会場賞を決定,その後,最優秀賞受賞プロジェクトの実施を学生団体SCSDと企画者によって目指すものです。
今回は,エコカップリング税・ペーパーレス化・環境部・ウォームビス促進・自転車発電・断食キャンプ・サステナビリティ学SNS構築,という学生らしく多様なアイデアが発表されました。学生の真剣な発表,審査員と学生の間の質問の応酬が見られ,普段は見られない北大生の考えやアイデアを一般の方に見て頂く良い機会となったと思います。実際に見に来られた市民の方からも,学生らしいアイデアが聞けて楽しかったと言って頂けました。
残念ながら今回は最優秀賞が出ず,審査員特別賞が「環境部」「自転車発電」の2点,会場賞が「自転車発電」という結果となりました。
しかし,サステナブル・キャンパスに興味を持つ人々が集まり意見を交わし,ネットワークを築く場とすることができ,今後の活動につながるものとすることが出来ました。
第1回ということで準備や宣伝が十分に出来ず,参加者・聴衆共に少ない状態での開催となってしまいました。しかし,見に来て下さった方々に「良い企画だ」「楽しかった」と言って頂けましたし,私達も本企画は学生が自分達のキャンパスをどうしていくべきなのか,を考えていくために必要であり,また様々な専門から考えたアイデアが聞ける有意義なものだと感じています。そのため,来年度以降は,より多くの参加者,聴衆の方々にご参加いただけるよう努力し,第2回,第3回と続けてこのコンテストを開催していきたいと思います。そして,“世界に誇れる持続可能な北大キャンパスの構築”を目指していきます。
最後になりましたが,共催者,サステナビリティ・ウィーク関係者,審査員の皆様など多くの方のご助力のお陰でコンテストを無事に開催出来たことを心より感謝いたします。また,発表者・観客として参加して下さった皆様も本当にありがとうございました。 |
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コンテストで発表する参加者 |
発表の様子を見つめる審査員 |
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再生可能エネルギー国際シンポジウム |
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期 日:10月28日(木)
場 所:学術交流会館
代表者:公共政策大学院 特任教授 深見 正仁 |
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現在,風力発電などの再生可能エネルギーは,利用過程で排出される二酸化炭素量が石油等より少ないため,地球温暖化を抑制するエネルギーとして注目されています。また,日本のように石油や石炭といった資源を十分に持っていない国にとっては,エネルギー自給率をあげることができるエネルギーでもあります。
第1部の基調講演では,最初に,経済学研究科の吉田文和教授より「日本の再生可能エネルギーの展望」として,新しい環境エネルギーインフラの方向性と戦略,また東アジアとの連携の重要性についてお話しがありました。続いて,ベルリン自由大学のマーティン・イェニケ教授からは「Renewable energies: The Race Against Traditional Supply」と題して,再生可能エネルギーの化石燃料および原子力エネルギーに対する代替可能性について講演いただき,ドイツの取り組み等をご紹介いただきました。そして,マサチューセッツ大学のジェームス・ハインツ教授からは「Creating a Clean Energy Economy in the U.S.: Energy Efficiency and Renewable Energy」として,米国におけるクリーン・エネルギー経済の創出とその課題を提示いただきました。さらに,中国人民大学環境学院の馬中院長より,「Energy Saving, Emission Reduction and Low Carbon Development in the Context of China's Rapid Economic Growth」として,急速に発展する中国経済での省エネルギーと低炭素化についてご報告いただきました。休憩をはさんで,午後は北海道経済産業局資源エネルギー環境部の鈴木洋一郎部長より,「再生可能エネルギーの現状と課題」と題して,北海道の取組みについてご紹介いただきました。続いて,北方生物圏フィールド科学センターの荒木肇教授からは「再生可能エネルギーとしての地域バイオマス」として,作物残渣や家畜糞尿,食物残渣の燃料等への活用可能性についてお話しいただきました。第1部の最後には,基調講演者によるパネルディスカッションが行われました。
第2部では,最初にNPO法人北海道グリーンファンドの鈴木亨氏より,「市民風車の現状と今後の課題」と題して市民風車の活用とその課題等についてご紹介いただきました。次に,セントラルリーシングシステム株式会社の川口直人氏からは,「新千歳空港における大規模雪冷房」として,新千歳空港での雪冷熱エネルギーの活用事業についてご紹介いただきました。続いて,下川町地域振興課長の春日隆司氏より,「地域資源を生かす〜環境モデル都市下川〜」として,持続可能な循環型森林経営への取組みをお話しいただきました。続いては,地球環境科学研究院博士研究員の矢部暢子氏より「北海道におけるバイオガスプラント導入に関するLCA」として,バイオガスプラント(BGP)活用における温暖化ガス排出削減効果とエネルギー産出,またその費用の分析結果が報告され,さらにBGPが導入可能となる電力買取価格水準を支庁別に計算した結果が提示されました。
最後に,公共政策大学院博士研究員の諏訪竜夫氏より,「北海道におけるバイオガスプラント普及に関する経済学的検討」と題して,固定価格買取制度による酪農家へのBGPの導入可能性の分析と,今後の課題について提示がありました。また,第2部の各報告の後には来場者と講演者による活発な質疑応答が行われました。
本シンポジウムには,小雨にも関わらず本学学生のみならず多くの一般市民にご来場いただき,約260人の来場者で満席になる盛況となりました。現在私たちが直面しているエネルギー問題に対する一般の方々の高い関心を示すものと思われます。ご参加いただいた皆様には,長時間によるご聴講に御礼を申し上げますとともに,本シンポジウムの概要については追って報告書にまとめる予定です。 |
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基調講演者によるパネルディスカッション |
満席の会場 |
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ポスター |
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Candlize2010 |
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期 日:10月28日(木)
場 所:中央ローン
代表者:公共政策大学院 修士課程1年 芳岡 完祥 |
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10月28日(木)に実施したキャンドルナイトでは学内外問わず多くの方々に来て頂きました。キャンドルが創り出す幻想的な灯りに感動した方も多かったのではないでしょうか。
キャンドルナイトの趣旨としては2つあります。1つ目は来ていただいた多くの方々に環境問題を身近に感じてもらうこと。2つ目は環境問題に対して自分に出来ることは何かということを考えてもらうことです。
Candlize2010のテーマは「四季」です。「四季は春夏秋冬と移り変わり,それが毎年必ず繰り返されるもの」というイメージが多くの皆さんが感じているところではないでしょうか。我々は「持続性」という観点から,我々が今後構築すべき「持続可能な社会」と「四季」には共通点があることに気付きました。「四季」というテーマの中には「四季のように持続可能な社会を構築したい」という強いメッセージが込められています。
当日は,季節ごとにブースを設け,季節ごとのイメージをキャンドルと制作物で表現しました。「春」は「白桜」,夏は「海」,秋は「木のオブジェ,段ボール絵画」,「冬」は「雪」をイメージしたものでした。
今回のキャンドルナイトで使用したキャンドル,制作物の材料は全てリサイクルが可能となるように,制作工程・処理方法の工夫をしました。キャンドルに関しては使用されたキャンドル5,000個は全て一回使われたキャンドルを再利用するか,廃油をリサイクルして作りました。キャンドルだけではなく,制作物で使用された大量の「ペットボトル」「段ボール」は大学から出されたゴミを積極的に使用しました。
また,当日使われたキャンドルのうち約1,000個は札幌の小学生が協力して作ってくれました。協力してくれた小学生は清田小学校,北野小学校,福住小学校,常盤小学校の小学生約240名です。キャンドルを作った後,環境に関する授業を行いました。このように,今回は「水環境」「フードリサイクル」を取り扱いました。小学校のような教育機関で環境に関する啓蒙活動を行えるという良い機会にも恵まれました。
この活動の成果としては3つあります。1つ目は全学のゴミのリサイクルに貢献したこと。2つ目は二酸化炭素の削減に貢献できたこと。キャンドルナイトの日は中央ローンの一部の街灯を消灯したので,その分の二酸化炭素の削減に寄与できました。3つ目はより多くの人々に環境問題に関心を持ってもらえたのではないかと感じております。
今後もこのような活動を積極的に行い,多くの人々に環境に対して興味・関心を持ってもらうだけではなく,自分たちが出来ることは一体何かということも考え,参加者が共有できるような活動にしていきたいと思っています。 |
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キャンドル作りに協力する小学生 |
暖かい光のキャンドル |
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シンポジウム「北の山で何が起きているのか:変容の持続的観測」 |
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期 日:10月29日(金)
場 所:学術交流会館
代表者:地球環境科学研究院 教授 甲山 隆司 |
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人間の生活の場から隔たった山岳域も,人間活動の影響にさらされて変化しつつあります。長い期間に亘る研究者の観測から,さまざまな変化が明らかになり,また社会で喧伝される事象にも,現実の誇張された説明があったりします。このシンポジウムは,北海道の山岳域を中心に,青森県の八甲田山やネパールヒマラヤの例も交えながら,研究者の長期観測で明らかになってきた現象や変化を市民のみなさんに伝える場とすることができました。
話題は,盗掘や人・シカの入り込み,身勝手な特定種の植え込みなどによる植物種の減少や植物相の汚染,地球変化・温暖化に伴うと考えられる乾燥化による高山帯のお花畑の消失,高地湿原と亜高山帯針葉樹種の衰退,大雪山の永久凍土特性,ヒマラヤ氷河の変化の実像と多岐に及びました。
平日の開催にもかかわらず,一般市民のみなさんを中心に90人近い参加者があり,熱心な質疑と討議が行なわれて,山岳環境への社会の関心の高さを窺うことができました。
講演いただいた方々の数十年に及ぶ地道な研究努力に敬意を表すとともに,世代を超えてデータや観測体制を引き継いでいくことの必要性を研究者と社会が共通認識することができました。 |
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多くの参加者で埋まった会場 |
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国際シンポジウム「サステイナビリティ学教育のグローバルキャンパス化をめざして」 |
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期 日:10月29日(金)
場 所:学術交流会館
代表者:サステイナビリティ学教育研究センター 教授 田中 教幸 |
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本シンポジウムは,文部科学省科学技術振興調整費「戦略的環境リーダー育成拠点形成」に採択された,北海道大学「持続社会構築環境リーダー・マイスター育成(StraSS)」の一環として行われました。本学の本堂武夫理事・副学長による開会挨拶に続き,インターネットや大学間ネットワークを駆使して,アジア及びアフリカでESD教育プログラムを展開している慶應義塾大学,ブルキナファソ国際水環境学院,及び国連大学の代表者による基調講演を行いました。続いて,サステイナビリティ学教育研究センターの田中教幸教授が,今年度から開始したStraSSプログラムのこれまでの経過と,今後の事業展開について解説しました。さらに,シンポジウムのまとめとして,持続性教育のグローバルキャンパスをテーマとして,総勢12名にのぼるパネリストによる議論を行いました。
パネルディスカッションでは,各パネリストがグローバルキャンパスに関するキーワードを一つあげ,その重要性について解説を行いました。その後,キーワードの関連性や提示された問題点について議論が行われました。インターネットの発達によりグローバルキャンパスの展開は容易になり多国間交流の頻度は増え,その結果,他国の知識だけに留まらず,自国と自身の再考にもつながるといった利点が提示されました。一方で,グローバルキャンパス化に伴う問題として,プログラムの品質保証の困難さや,英語の使用による地域性の脱落や情報の偏りなどの問題点も指摘されました。これに対して,直接対面の重要性と有効性が挙げられました。
これらを踏まえて,今回の参加者間のネットワークを密に保ち互いに活用することを約束し,持続性教育のグローバルキャンパスをより質の高い次元へと発展させるために協力することで合意しました。最後に,次回シンポジウムをStraSS協力校であるインドネシア中央カリマンタンのパランカラヤ大学で行うことを提案し,参加要請と次々回以降の開催の協力を求め,本シンポジウムの幕を下ろしました。 |
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講演の様子 |
質問する参加者 |
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CLARK THEATER 2010 |
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期 日:10月29日(金)〜11月3日(水)
場 所:クラーク会館
代表者:教育学部4年 北大映画館プロジェクト実行委員会2010実行委員長 桑原 真希 |
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CLARK THEATER 2010は皆様のご声援の下,今年で5周年を迎えることができました。ご来場してくださったお客様,ご協力いただきました関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
シネマコンプレックスで公開しない短編作品から,札幌出身の映画監督の作品,また北大で撮影された「零下15度の手紙」という作品公開を行いました。オープニングには,「映像教育」をテーマに筑波大学図書館情報メディア研究科教授の西岡貞一氏とシアターキノ代表の中島洋氏,北大OBの早川渉監督によるトークセッションを行いました。
また,今年は,「地球交響曲」シリーズを北大で自主上映している北大ガイアプロジェクトの方々との共催企画が実現し,最新作「地球交響曲第7番」を上映いたしました。本企画では,「地球交響曲」の監督である龍村仁監督をゲストに迎え,映画の制作秘話や貴重なお話を伺うことができました。現在地球で起こっている環境問題は,はるかに個人のレベルを超え,全地球的・全生命的なものであると龍村監督は述べます。その中で私たちはどのように生きればよいのか,そのような問いを考える作品でした。
そして,札幌で活動する映像作家・北川陽稔監督の作品「森と水の庭・ウトナイ」という映画も同時上映いたしました。札幌近郊にいると手付かずの自然に出会うことはありません。「森と水の庭・ウトナイ」は苫小牧のウトナイ・勇払の豊富な自然環境を美しく描き,その自然と人間との関係を映し出します。上記の2本の映画を上映したことで,グローバルとローカル,両方の視点から自然環境を考えるきっかけになりました。
今後も私たち映画館プロジェクトは,北海道大学の映像文化を今以上に発展させるべく,北大に常設の映画館の創設に向けて活動を続けていきます。その中で現代社会が内包する問題を様々な切り口で訴えていきたいと思います。 |
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開場を待つ来場者 |
龍村監督のサイン会 |
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北海道地域医療シンポジウム |
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期 日:10月30日(土)
場 所:学術交流会館
代表者:医学研究科 名誉教授 前沢 政次 主催:北海道地域医療研究会 |
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≪行事概要≫ |
○ブラッシュアップセミナー |
T) |
タイトル:地域と病院を元気にする健康づくり活動『How』and 『Do』 |
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講師:医療法人三意会我妻病院 理学療法士 島田崇光 氏 |
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我妻病院(足寄町)で取り組んでいる健康教室や医療講演会,院内行事などについての活動報告や 医療活動を行うことの目的やメリット,医療活動の運営方法の紹介。 |
U) |
タイトル:「地域リハビリとは何でしょう」 |
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講師:町立厚岸病院 理学療法室技士長 久米 正志 氏 |
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“伝える”ことと“伝わる”ことの違いや,地域リハビリテーションの定義やシステムづくり。厚岸町での取り組みについて。 |
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○基調講演 タイトル:「北海道の地域医療に望むこと」 |
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講師:NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長 辻本 好子氏 |
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納得とはどういうことか。協働とはどういうことか。患者体験などを通して,患者が望むインフォームド・コンセントとは?医療従事者と患者・地域住民との関係などについてご講演をいただきました。 |
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○ワークショップ 「これからの地域医療研究会を考える」 |
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北海道地域医療研究会は創立15年を迎え,これを機に今までの活動を振り返り,研究会の今後のあり方について下記3つの問いを参加者に投げかけ,各グループで議論を行った。 |
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1.15年間あなたの地域はどのように変わって来ましたか? |
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2.あなたが地域医療をやめずに続けている理由,原動力とは? |
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3.あなたにとっての北海道地域医療研究会とは? |
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≪成果など≫ |
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参加者は学内外より医師をはじめ,看護師,保健師,理学療法士などの医療従事者や一般・学生を含めて140名近くの方にご参加いただきました。
講演で得たことを踏まえ,ワークショップで議論を行い,日頃は道内各地方で活躍されている皆さんと,北海道の地域医療に関わる多職種間の課題や情報など意見交換を行うことができました。シンポジウム終了後各地へ戻る皆さんに,また次の1年地域で頑張るエネルギーを持ち帰っていただくことができたのではないかと考えます。
今後は,皆様からいただいた沢山の提言を踏まえ,「北海道地域医療研究会」としてどのような展開をしていくかを検討します。 |
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講演の様子 |
ワークショップの様子 |
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「崩壊する地球生態系を救えるのか?」生態炭素と生物多様性の鍵−熱帯泥炭・森林− |
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期 日:10月30日(土)
場 所:学術交流会館
代表者:農学研究院 教授 大崎 満 |
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本シンポジウムは,JST地球規模課題対応(SATREPS)国際科学技術協力(分野・領域「環境・エネルギー分野 研究領域1【領域特定型】」)事業として採択された「インドネシアの泥炭・森林における火災と炭素管理」プロジェクトの一環として行われました。
午前のセッションでは,プロジェクト関係者及び留学生を対象にした専門的な話題が取りあげられ,国際協力事業団代表者とプロジェクト関係者からSATREPS事業及びプロジェクト概要が発表されました。その後,招聘者を含む6名から専門的な内容について発表が行われました。
午後のセッションでは市民を対象にした分かりやすい内容が紹介され,具体的な研究活動の紹介,熱帯泥炭地と生物多様性の関係,そしてインドネシア政府による熱帯泥炭地保全に向けた取り組みについて解説がありました。
特に,世界的に見ると熱帯泥炭地は,生物多様性が豊かな地域に分布することが示され,熱帯泥炭地の保全は即ち生物多様性の保護につながることが紹介されました。
また,昼食時を利用し,招聘者と国内参加者による意見交換が行われ,熱帯泥炭地のモニタリング方法や保全には何が必要なのかが議論されました。
その結果,1)継続的な研究活動,2)キャパシティビルディング,3)ネットワーク構築が最も重要な事項であることが確認され,熱帯泥炭地管理に向けた包括的な行動計画“札幌イニシアティブ”構想が提案されました。
なお,会場入り口には,当プロジェクトを紹介するポスター12枚を掲示し,写真や図表を示しながら参加者への解説も行いました。 |
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シンポジウム後の記念撮影 |
ポスター展示の様子 |
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シンポジウム「グリーンな福祉国家は可能か−社会保障・環境・経済の新しい連携−」 |
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期 日:11月1日(月)
場 所:学術交流会館
代表者:法学研究科 教授 宮本 太郎 |
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社会保障・環境・経済はこれまで対立的なものであり独立したものとして考えられてきました。しかし,近年では社会保障・環境・経済の連携や相互関係が注目を集めています。
このシンポジウムでは,社会保障・環境・経済の連携からもたらされるグリーンな福祉国家について,この領域において常に研究を牽引している千葉大学の広井良典教授に基調講演をいただきました。
基調講演では,社会保障・環境・経済の連携にはナショナル,グローバル,ローカルのそれぞれのレベルでの連携が必要であり,ナショナル・レベルでは,社会保障を高齢者関係給付から家族や子ども関連給付へと転換する「人生前半の社会保障」の必要性や失業や自殺に対する心理社会的ケアへの社会保障の必要性,「フロー」(所得)から「ストック」(貯蓄,土地,資産など)への分配の転換,社会保障財源としての環境税を導入することによる環境政策と社会保障政策の統合が重要な課題として提示されました。
グローバル・レベルでは,高齢化の地球的進行のなかで,人口や資源消費も均衡化するようなある定常点に向かいつつあり,こうした定常型社会をいかにして可能にしていくかが重要であることが指摘されました。
ローカル・レベルでは,地域コミュニティを活かしたGDPだけでは測れない豊かさの実現が重要であり,そのためには社会保障政策とまちづくり・都市政策とを総合的に考える必要があるとされました。
基調講演の結論としては,これらのそれぞれのレベルでの社会保障・環境・経済の連携によって相乗効果を生み出し,「生産性」を労働生産性に限定せずに再定義していくことによってGDP増加に限らない成果を汲み取っていくことが重要であり,こうした動きから「創造的福祉社会/創造的定常経済システム」が生まれる可能性が指摘されました。
シンポジウムの後半では,現在の政治状況や社会状況のなかで,いかにして連携や相乗効果を産み出していくのかという問題を中心に,法学研究科の山口二郎教授,宮本太郎教授を交えてパネルディスカッションが行なわれました。シンポジウムに参加された多くの方から今後の展望や方策について質問が出され,活発な議論が行われました。 |
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講演を熱心に聞く参加者 |
パネルディスカッションの様子 |
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公開シンポジウム「都市・農村の地域連携を基礎とした低炭素社会のエコデザイン」 |
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期 日:11月1日(月)
場 所:学術交流会館
本学代表者:農学研究院 教授 大崎 満 |
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本シンポジウムは,北海道の食料やエネルギーの自立を主旨として開催されました。環境省の研究プロジェクト(環境省地球環境研究総合推進費E−0804)である「都市・農村の地域連携を基礎とした低炭素社会のエコデザイン」の一環として行われ,今回は北海道を対象に食料やエネルギー(バイオマス)の問題と今後の自立への展開を考えました。
基調講演として,低炭素社会に向けた北海道の森林の活用を都市・農村連携の視点から講演いただきました。(日本大学大学院法務研究科小林紀之教授)。また,地域の持続的な社会への取り組みとして,下川町と富良野市の事例を報告いただきました。
そして,北海道の自立に向けた提案を講演いただき(農学研究院 大崎満教授),最後には,パネルディスカッションを行い,北海道の自立に向けた意見交換を行いました。
成果:一般市民をはじめ,行政機関や企業の方など幅広い分野の参加者があり,北海道の自立に向けた有意義なシンポジウムとなりました。シンポジウムの主催であった本研究プロジェクトは,今年度(平成22年度)で終了しますが,今回のシンポジウムにて議論された地域の持続社会・低炭素社会への取り組みや講演者からの知見,パネラー・フロアからの意見は,研究の最終的なまとめに向けて大いに参考となるものでした。また,シンポジムの成果は本研究プロジェクトへ反映されるのみならず,北海道大学サステイナビリティ学教育研究センターと各市町村および大阪大学・立命館大学(共同研究大学)との協力関係をさらに強化し,新たなプロジェクト提案として協力していく展開につながりました。 |
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会場の様子 |
パネルディスカッションの様子 |
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「子どもの未来可能性を大切にする社会の実現をめざして」 |
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期 日:11月2日(火)
場 所:学術交流会館
代表者:保健科学研究院 教授 佐伯 和子 |
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「子どもの未来可能性を大切にする社会の実現をめざして」と題して,佐伯和子教授(保健科学研究院創成看護学分野)を座長とし,4人のシンポジストによる講演を行いました。
「肥満化・体力低下時代を生きる子どもたちへの未来処方箋−アジアと日本の子どもの体格とフィットネス」 山内太郎准教授(保健科学研究院創成看護学分野)は,インドネシアでのフィールドワーク結果と日本の子どもの肥満を比較し,自然と遊ぶことの意義を処方箋の一つとして提案されました。
「子どものうつ病と発達障害」 傳田健三教授(保健科学研究院生活機能学分野)には,疫学的調査による子どものうつ病の発症率の変化,発達障害児の実態と最新の治療方法について事例を示してお話しいただきました。
「文化的営みの中で行う子育てと地域の絆」 本田 光助教(保健科学研究院創成看護学分野)には,沖縄宮古島での子育てを通して,コミュニティにある目に見えない資本である文化と子どもの豊かな成長についてお話しいただきました。
「子どもの立場で考える男女共同参画社会」有賀早苗教授(農学研究院/生命科学院,女性研究者支援室室長)は,子どもの立場,子どもの視点から女性研究者の子育てと研究生活の共存のさせ方についてお話しされ,男女共同参画社会を推進するための一方向性を示唆されました。
閉塞感が漂う現代の日本社会では,生活習慣病予備軍といえる子ども,精神的な問題をもつ子どもなど,新たな子どもを取り巻く健康障害が出現しています。一方,子育ては文化と社会システムの中で行われています。本シンポジウムでは,子育てを支援できる社会システムのあり方を多様な視点で捉え,子どもの未来と子育てについて,考えることができました。
終了後のアンケートでも,「子どもの未来について考える機会となりましたか?」の問いに,9割以上の方が「ややそう思う・とてもそう思う」と回答しており,本シンポジウムはテーマに沿った内容を伝えることができ,また参加者からも高い満足感が得られたと感じています。 |
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挨拶する小林保健科学研究院長 |
傳田教授による講演 |
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2011年アムール・オホーツクコンソーシアム第二回会合に向けた国際ワークショップ |
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期 日:11月1日(月)〜11月2日(火)
場 所:スラブ研究センター
代表者:低温科学研究所 教授 江淵 直人 |
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アムール川流域とオホーツク海をひとつの領域として,その環境保全と持続可能な発展を多国間で協議するための学術ネットワーク「アムール・オホーツクコンソーシアム」の2011年第二回会合に向けた準備会合を実施しました。初日は,一般市民・学生向け講演会とし,コンソーシアムの三カ国(日本,中国,ロシア)の代表幹事に加え,新たに参加を表明したモンゴルから二名,および日本国外務省,国際連合環境計画(UNEP),財団法人環日本海経済研究所からの講師陣がアムール川流域とオホーツク海を取り巻く諸問題について講義しました(日本語通訳あり)。
二日目は,上記機関からの参加者に加え,日本国内でコンソーシアムを支える本学低温科学研究所,同スラブ研究センター,北見工業大学未利用エネルギー研究センター,総合地球環境学研究所,北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成 スラブ・ユーラシアと世界」,国土交通省北海道開発局の各担当者が,アムール・オホーツクコンソーシアムの運営と2011年の第二回会合の内容を議論しました。
その結果,次回の会合は,2011年11月4(金)〜6日(日)に札幌で開催されることが決定しました。会議のテーマについては,引き続き,各国間で調整すると共に,各国幹事は国内の取りまとめを進めることになりました。
尖閣問題に端を発する日中間の不和,11月1日に突如決行されたロシア大統領による国後島訪問などの衝撃の中,会議に参加した日・中・露・モの四カ国の研究者らは,学問を基礎に置き,定期的に会合を開いて越境環境問題を協議する本コンソーシアムの必要性を確認し,今後もウェブサイトなどを充実させて活動を活発化させることで一致しました。なお,会議の模様は,11月3日(水)の北海道新聞朝刊で紹介されました。 |
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意見を交わす参加者 |
質疑応答の様子 |
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第3回センチネルアース国際シンポジウム
−衛星画像・データとGISの新展開とその先進的利用− |
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期 日:11月3日(水・祝)〜5日(金)
場 所:学術交流会館
代表者:情報科学研究科 教授 本間 利久 |
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11月3日(水)の市民向け講座では,「地球温暖化説ウラの裏」と「『はやぶさ』を救ったイオンエンジン」の講演を行いました。動画を交えた最新データを基に一般参加者に分かりやすい講演でした。
11月4日(木)午前の専門の講演は,リモートセンシングに関するものであり,情報科学研究科の宇宙航空研究開発機構(JAXA)連携講座の先生方が中心となって行われました。午後は無人飛行機およびワイヤレスセンサーネットワークに関するものであり,アラスカ大学,ソウル大学,ブダペスト工科経済大学,トリノ工科大学と日本の企業からの研究の現状と最新の応用システムの講演がなされました。
その後,百年記念会館で35名の参加者による懇親会を開催し,交流を深めました。
11月5日(金)の午前は地理情報システムに関する講演がロンドン大学からの研究者を中心に行われました。その他,ブダペスト工科経済大学,立命館大学,慶應義塾大学からの発表がありました。
午後の火災危険指数システムに関するセッションは,これまでのセンチネルアジアの研究活動の一環であり,JAXAを中心として海外から米国,インドネシア,マレーシアの研究者を招聘し,火災の早期予報システム構築について講演が行われました。
地球環境の変化の観測において,人工衛星によるリモートセンシング技術,無人飛行機による観測技術とワイヤレスセンサーネットワーク技術の融合をはかったGIS統合型プラットフォームが重要となることで意見が一致し,さらに,今後も衛星の新しい利用と一般市民への普及活動の重要性の共通認識も深まりました。 |
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参加者での記念撮影 |
工学部前で |
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国際講演・実習:顎関節症診断法の国際基準 |
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期 日:11月3日(水・祝)
場 所:学術交流会館
代表者:歯学研究科 教授 大畑 昇 |
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11月3日(水)の祝日,午前10時から,本企画「国際講演・実習:顎関節症診断法の国際基準」を実施しました。当日は朝からの雨模様にもかかわらず,約80名の方々の参加がありました。
まず始めに本企画責任者の歯学研究科 大畑 昇教授より,国際疾病分類と本企画対象疾病である顎関節症の位置づけについて,問題提起がなされました。
次いで同研究科 有馬 太郎助教より,本企画は「国立大学フェスタ2010」の一環であり,国立大学の教育・研究の成果がこのような形で社会貢献していることが強調されました。
また,顎関節症の治療オプションの一つであるスプリント(マウスピース)の効果についての解説がなされました。
その後に本企画のメイン講演者の一人である Peter Svensson 教授(オーフス大学,デンマーク)より,顎関節症の国際基準が制定されるまでの経緯とその診断方法の正確性・感受性について,わかりやすく解説されました。
お昼を挟んで午後の部では,本診断法国際組合の前プレジデントの Thomas List 教授(マルメ大学,スウェーデン)より,実演による検査方法のご紹介がありました。 世界で認められた診断基準を,現・前プレジデントより,しかも実演入りで教わることができるという,世界初の機会に聴衆のみなさまより賞賛のお言葉を多数いただきました。
そして,本企画終了前のディスカッションでは,とどまることのないご質問とディスカッションで終了予定時刻である午後3時30分を過ぎる盛況ぶりでした。参加者のみなさまの温かいご支援のおかげです。
今後は,本企画の顎関節症国際基準については,北海道大学歯学研究科が主導で日本語バージョンの浸透に寄与することになりました。
そしてサステナビリティ・ウィークについては,社会のみなさまの興味のある企画でなおかつ歯学研究科の専門性を持った企画を提供して参ります。 |
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会場の様子 |
当分野を世界的にリードする先生の講演 |
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公開講座「ようこそ!ヘルスサイエンスの世界へ」 |
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期 日:11月3日(水・祝)
場 所:保健科学研究院
代表者:保健科学研究院 公開講座委員会委員長 教授 伊達 広行 |
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11月3日(水)「文化の日」午後1時より約3時間にわたり,保健科学研究院公開講座が開催されました。当日は,雨曇りの不順な天候にもかかわらず,定員80名程度の会議室が満員となり,補助席も設けて総計102名(過去最高)の参加人数となりました。
この公開講座は毎年恒例のもので,「ようこそ!ヘルスサイエンスの世界へ」というテーマの下,3名の講師陣が専門分野の紹介をするスタイルをとっております。今年は,1時限目:「フードファディズムと健康食品について−あなたはメディアに惑わされていませんか?−」(森山隆則教授)において,いわゆるダイエット食品の宣伝等の問題点,2時限目:「発達障害のニューロサイエンス−相手の感情を理解する脳−」(福島順子教授)では,アスペルガー障害などの具体的な事例や最新の研究成果,3時限目:「車いすから見える座りの世界−車いすのシーティングの進歩とオフィスチェアへの応用−」(八田達夫教授)においては,障害者の車いすから健常者に対するオフィスチェアの開発とその設計方針,についての講演がなされました。
講演者は,サステナビリティ・ウィーク2010の展開キーワード「健康・衛生・社会福祉・高齢化社会」にマッチしたこのようなタイムリーかつ興味深い内容を分かりやすく解説し,参加者からのアンケート回答でも,非常によい評価を受けました。
また,それぞれの講演内容に対し,活発な質疑応答がなされ,テーマに対する関心の高さとともに,専門的内容に対する深い理解が伺えました。多くの人たちのより良い生活を支援し得るよう,今後とも本公開講座を続けて行きたいと思います。 |
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車いすを使って座りの解説をする八田教授 |
会場を埋め尽くす多くの参加者 |
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環境政策セミナー 〜生物多様性保全と気候変動〜 |
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期 日:11月3日(水・祝)
場 所:学術交流会館
代表者:公共政策大学院 特任教授 深見 正仁 |
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本学持続可能な低炭素社会づくりプロジェクトチームと環境省北海道地方環境事務所は,昨年に引き続き「環境政策セミナー」を開催しました。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県名古屋市で開催されたばかりであり,また,気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)の開催を控える時期であることから,本年のセミナーのテーマは「生物多様性保全と気候変動」としました。
セミナーでは,環境省大臣官房審議官の梶原成元氏から,「COP16の展望と地球温暖化国内対策」と題して,COP16に向けた国際的な気候変動に関する議論の動向や,国内での地球温暖化対策の動向などについて講演がありました。続いて環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室長の鳥居敏男氏から,「生物多様性条約COP10で何が話し合われたのか」と題して,名古屋議定書,愛知目標などを始めとするCOP10の成果と,今後の政策の展望について講演がありました。
また,本学農学研究院 近藤哲也教授からは「北海道における生物多様性保全と気候変動」と題した講演があり,道内の身近な都市公園などにも貴重な植物があること,それらが地球温暖化によって影響を受ける恐れがあることなどの紹介がありました。
3者の講演ののち,「生物多様性保全と気候変動」と題して対談を行いました。対談では,COP10やCOP16など,生物多様性保全と気候変動に関する国際的な議論の動向を受け,北海道で私たちはどのように行動すればよいのかについて来場者と共に考え,さらに会場との質疑応答を行いました。会場には学生,市民などから180名の来場があり,セミナーは盛況のうちに終了しました。 |
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聴衆で埋まる会場 |
対談する講演者 |
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産学官セミナー「地理空間情報が拓く未来II−自治体GIS−」 |
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期 日:11月4日(木)
場 所:学術交流会館
代表者:文学研究科 准教授 橋本 雄一 |
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地理空間情報とは,持続可能な社会の構築するための道具として期待が高まっている社会的な情報基盤です。『地理情報システム(GIS)』や『衛星測位』の技術とともに活用することで,北海道の代表的産業である農業・水産業の振興や,高齢社会における効果的な社会福祉サービスの創出を行うことが可能です。本年度は,地方自治体における地理空間情報の活用に注目し,行政事務の効率化や住民サービスの向上に関する取り組みについて,自治体GIS担当者の方を中心に,いろいろな事例を紹介いただきました。
まず,企画代表者(北海道大学文学研究科 橋本雄一)が,趣旨説明を行いました.続く基調講演では,本学会の自治体分科会会長である大場 亨氏(市川市市民経済部)により「自治体における地理空間情報の利活用と将来展望」という題目でお話しいただき,さらに石黒元昭氏(北海道建設部土木局)に「北海道における治水GISについて」,平塚泰章氏(札幌市情報化推進部)に「札幌市における地理情報データの利活用について」,澤田和幸氏(岩見沢市経済部企業立地情報化推進室)に「岩見沢市におけるICT施策と自治体GISの利活用について」という題目で講演していただきました。企画後半では,藤原達也氏(北海道GIS・GPS研究会)と赤渕明寛氏(株式会社ヒューネス)に「北海道における自治体GISの現状分析と将来展望」について発表していただき,まとめとしてプロジェクト・マネージメントの視点を交えながら「自治体GISの発展過程分析と今後の展開」に関するお話しを深田秀実先生(小樽商科大学社会情報学科)にしていただきました。当日は多くの自治体関係者を含む200名以上の参加者があり,自治体GISに対する関心の高さがうかがわれました。 |
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趣旨説明の様子 |
会場の様子 |
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北海道海洋生物科学シンポジウム |
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期 日:11月5日(金)
場 所:地球環境科学研究院
代表者:地球環境科学研究院 准教授 沖野 龍文 |
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北海道海洋生物科学シンポジウムが11月5日(金)に地球環境科学研究院の今年新営となったD棟で開催されました。主催の北海道海洋生物科学研究会は,既存の学会の枠にとらわれないフレキシブルな交流の場を提供しています。今回サステナビリティ・ウィーク2010期間中に開催することで,学内外の多数の組織から約70名の方に参加して頂きました。
また,グローバルCOEの自由企画として,本シンポジウムは環境科学院の大学院生がプログラムを企画しました。学外の5名の演者の方は,学生が希望したということを嬉しく思って頂いたようです。その結果,若手の最新の研究から,経験豊かな先生からの提言まで,多彩なプログラムとなりました。
講演では,地球温暖化による海洋酸性化の問題に加えて,亜表層域における酸素濃度減少の深刻な問題が紹介されました。これは多くの参加者にインパクトがあったと思われます。酸素濃度により実際に起きた魚類の大量斃死とともに,今後起きうる現象が予測されました。
また,海洋生物にハロゲンを含む化合物が多いことがよく知られていますが,海藻がハロゲンを取り込む酵素の詳細な解析が紹介されました。2名の若手研究者からは沿岸の生態系と環境の変化について議論がありました。
最後に,漁業が原始的狩猟と比せられますが,水産業は粗放的である方が文明的あるいは持続的であることが提起され,サステナビリティ・ウィークのシンポジウムにふさわしい議論で終了しました。会場でも十分な時間をとって議論が行われましたが,シンポジウム終了後の演者や学生を含む意見交流の場も盛会でした。 |
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講演の様子 |
質問する学生 |
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国際シンポジウム「子どもの貧困と対抗戦略−研究・市民活動・政策形成」 |
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期 日:11月6日(土)
場 所:学術交流会館
代表者:教育学研究院 教授 松本 伊智朗 |
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冒頭に青木紀 氏(名寄市立大学学長・北海道大学名誉教授)による基調報告「貧困・家族・子ども」がなされました。続いて「イギリスにおける子どもの貧困とCPAGの活動」フラン・ベネット 氏(オックスフォード大学上級研究員,元CPAG代表),「日本における子どもの貧困と市民活動」湯澤直美 氏(立教大学教授,「なくそう!子どもの貧困ネットワーク」共同代表)のふたつの報告がなされました。これをめぐって,指定討論者である阿部彩 氏(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部 部長),横井敏郎 准教授(北海道大学教育学研究院)からコメントがあり,フロアを含めた討論がもたれました。司会は松本伊智朗 教授(北海道大学)が務めました。
青木氏の報告では,貧困,あるいは子どもの貧困を理解するためには市場と家族の関係の把握が不可欠であること,社会的公正の問題として取り上げる際のロールズの正義論の再検討が必要であることが強調されました。
ベネット氏の報告では,子どもの貧困に関わるイギリスの代表的な市民団体であるChild Poverty Action Group の歴史的経過と現在の課題が,イギリスの戦後政治史と関わらせて提示されました。
湯澤氏の報告では,日本の子どもの貧困の現状と,最近の反貧困活動の概要と課題について提示されました。
その後の討論では,子どもの貧困という概念自体の再吟味の必要,社会的な合意形成の戦略的課題等について,意見交換がなされました。
本企画は,子どもの貧困に焦点を合わせた国際シンポジウムとしては,わが国では初めてのものであります。今後の研究と実践活動にかかわる論点の整理がなされ,国際交流の継続を可能にする意義のあるものでした。 |
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講演者と参加者の意見交換 |
シンポジウムの様子 |
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国際シンポジウム「持続可能な女性の健康のために:歴史の中の避妊と中絶を問う」 |
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期 日:11月6日(土)
場 所:学術交流会館
代表者:文学研究科 准教授 瀬名波 栄潤 |
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11月6日(土)に学術交流会館の第一会議室に於いて,国際シンポジウム「持続可能な女性の健康のために―歴史の中の避妊と中絶を問う」が開催されました。同志社大学グローバル研究科教授の荻野美穂,ニューヨーク市在住のアメリカ史研究家リッキー・ソーリンジャーという日米の第一線で活躍されている2人の歴史家が,それぞれ日本とアメリカの生殖の政治史について講演を行いました。
近年いわゆる先進国では少子化が進み,女性がどのように結婚,妊娠や出産の決断をするか,という問題への関心が高まり,しばしば社会問題としてさえ議論されています。しかし,その一方で,歴史的に女性の生殖に関する決定がどのような要因によって左右されてきたのかに関する理解は必ずしも深まっていません。
荻野氏の講演では,第二次世界大戦後の日本の中絶・避妊政策の変遷が分析され,特に障害者団体とフェミニストの関心の合致がもたらした政治の展開が強調されました。また,この歴史的な展開が今日の生殖医療や代理母の問題に与えている影響も分析されました。一方,ソーリンジャー氏は,17世紀から21世紀のアメリカ史に見られる,特に人種差別的な福祉政策や移民政策に焦点を当てた議論を展開しながら,生殖権という概念の限界を示し,新たに「生殖の正義(Reproductive Justice)」を提示しました。生殖権という概念自体が未だに定着していない日本で,ソーリンジャー氏の講演は聴衆に最先端の議論に触れる機会を与えたといえます。
発表後の質疑では,本州から来学された生殖に関する専門家や地元の方々から活発な発言があり,本シンポジウムへの関心と質の高さが端的に示されました。今後お二人の講演を報告書にまとめる予定です。 |
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講演の様子 |
会場の様子 |
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第14回アイヌ語弁論大会 イタカン ロー 〜アイヌ語で話しましょう!〜 |
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期 日:11月6日(土)
場 所:クラーク会館
代表者:財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構 理事長 中村 睦男 |
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現在,アイヌ語教室は道内14か所と関東地区等において開設されていますが,その学習成果を発表する機会は限られています。こうしたことから,財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構では,アイヌ語学習者に対して発表の場を提供することにより学習意欲の向上を図ることと,広く一般市民の方々に日頃耳にすることの少ないアイヌ語に親しむ場として「アイヌ語弁論大会イタカン ロー 〜アイヌ語で話しましょう!〜」を毎年開催しています。
本大会は今年で14回目を迎え,今年度は本学アイヌ・先住民研究センターが共催として加わるとともに,サステナビリティ・ウィーク2010の一環として実施されました。
本大会は,中学生以下が発表する子供の部,伝統的な口承文芸を披露する大人の部 口承文芸部門,主義主張をアイヌ語で発表する弁論部門,過年度最優秀賞受賞者などが培ったアイヌ語を披露する口演の部から構成されます。今年度の出場者は,子供の部7組,口承文芸部門12組,弁論部門4組,口演の部6組の合計29組45名でした。
大会当日は,道内を始め道外各地からの幅広い年齢層の方々が,日々のアイヌ語学習の成果を発表しました。
今後も,大会に参加することがアイヌ語学習者にとって有意義なものとなり,来場者や開催地域にもアイヌ語の普及・振興が行なえるような大会づくりを行っていきたいと考えています。
なお,今年度大会の受賞者は以下のとおりです。 |
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○ 最優秀賞: |
子供の部 自 由 |
田澤 天翔 |
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大人の部 口承文芸部門 |
堀 多栄子 |
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大人の部 弁論部門 |
市川 伸太朗 |
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○ 優秀賞: |
子供の部 自 由 |
葛野ひな,今井とわ |
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大人の部 口承文芸部門 |
川奈野一信,豊田礼子 |
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大人の部 弁論部門 |
川村このみ,山田美郷 |
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特別講演「高齢化社会における世代間正義と健康」 |
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期 日:11月7日(日)
場 所:人文・社会科学総合教育研究棟
代表者:文学研究科 教授 新田 孝彦 |
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本行事はハーバード大学公衆衛生大学院教授のノーマン・ダニエルズ(Norman Daniels)教授による特別講演として開催されました。ダニエルズ教授は「公衆衛生の哲学・倫理」の分野では第一人者として知られています。ダニエルズ教授はロールズの「反省的均衡」という概念についての研究で知られており,医療資源の適切な配分というテーマはダニエルズ教授の研究テーマの一つであり,ダニエルズ教授には日本語に翻訳された論文もあります。
ダニエルズ教授には医療資源の適切な配分と公衆衛生における正義という問題について多くの研究業績があります。
今回の講演のタイトルは Intergenerational Justice, Health and Global Aging’というものでした。この講演でダニエルズ教授は,高齢化社会における健康の促進とそのために必要な医療資源等の配分について,世代間正義,特に配分の公正という観点から論じました。
高齢化は先進各国で大きな問題となっていますが,社会の高齢化は生命倫理の分野でも大きな問題としてとりあげられています。特に急激に出生率が低下したイタリア,低出生率と低死亡率と一人っ子政策が相まって急速に高齢化が進む中国では,世代間での公正な医療資源の配分は大きな問題となっています。
しかし,「高齢化社会において医療資源をどのように配分するか」という問題を原理的に解決することは容易なことではありません。なぜなら高齢化社会における資源の配分の問題は,単なる「同じ年齢に属する集団間の公平な配分(若者と老人との配分の平等)」という観点では解決できないからです。
高齢化が進む社会では,ある年代に生まれた人々が他の年代に生まれた人々よりも不利益を被ることがあります。そのような不利益をどのようにして是正していくのかを考えることが私たちの今後の課題となるのです。ダニエルズ教授の講演はそのような問題点を指摘するものでした。
質疑応答も活発であり,会場にいたヴァージニア・ヘルド教授(ニューヨーク市立大学),ゼーレン・ホルム教授(マンチェスター大学),さらに本学の留学生などから多くの質問がありました。
なお,本講演は文学研究科・応用倫理研究教育センター主催の「第5回応用倫理国際会議」のプログラムの一部として実施されました。 |
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講演するダニエルズ教授 |
会場の様子 |
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市民フォーラム
「サステナビリティ水産科学の理論と実践 〜あなたがいるから,私も生きていける〜」 |
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期 日:11月9日(火)
場 所:函館地域交流まちづくりセンター
代表者:水産科学研究院 教授 帰山 雅秀 及び 同教授 斎藤 誠一 |
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明日の人類が健康で安心して生活していける「持続可能な社会」の構築に向け,「あなた(海洋生態系)がいるから私(人類)も生きていける」をキーワードとし,世界の人口65億人強のうち29億人が食の糧として利用している海洋生物と海洋生態系をどう守っていくかを論議した。
講演内容と総合討論の要約は次のとおりです。海洋生態系は食糧としての供給サービス,物質循環としての支持サービス,生物多様性としての調整サービス,そして安らぎ等の文化的サービスとして人類に貢献しているが,現在,海洋生態系とその構成生物は温暖化や乱獲などのヒューマン・インパクトの攪乱を受けています。例えば,海洋における自然漁獲物のうち,食糧として直接利用されているのは50%,残りは肥料や魚粉として25%,そして残りの25%は廃棄されています。マグロなどの海洋生態系の高次生物は乱獲により減り続けて,絶滅危惧種になったり,海底の生態系は底引きトロール漁業により単純化しています。
このように,海洋生態系は人類の活動により攪乱され,その生物多様性が低下し,海の砂漠化がおきています。
次世代へ持続可能な社会をつくるために,いかにして「食」と「海」を守るか,地球規模で考え,その場その場で対応していかねばなりません。 Think globally, act locally”(Rense Dubos)から最近 Glocal”と言う言葉が流布するようになってきました。正しく,私たちは,地球規模で考え,足もとから持続可能な社会を実現していくことが大切です。 |
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プログラム内容は以下のとおりです。
はじめに「サステナって何?!」(帰山雅秀:北海道大学水産科学研究院)
基調講演1「サステナな社会づくり−海とシーフードを守るために」
(ラシード・スメイラ:ブリテッシュ・コロンビア大学水産学センター所長,カナダ)
基調講演2「地球市民とサステイナブルな漁業−サバがトロより高くなる日」(井田徹治:共同通信社科学部)
講演(実践)
「サケのサステナのためのエコラベルMSC」(永田光博:北海道立総合研究機構さけます内水面水産試験場)
「サステナな栽培漁業をめざして−遺伝子で診る」(北田修一:東京海洋大学)
「サステナな養殖を宇宙から診る」(イ・ニヨマン・ラディアータ:北海道大学水産科学研究院)
「環境変化に負けない養殖技術の最前線−熱伝導パイプ&オゾンの活用」(滝川裕弘:アクセプターテクノ株式会社)
「サステナな漁業への挑戦−株市場からみる持続的漁業への道」(石村学志:北海道大学サステイナビリティ学教育研究センタ−)
「サステナな沿岸漁業と海洋生態系の保全−知床を例として」(桜井泰憲:北海道大学水産科学研究院)
総合討論「グローカルなサステナ?!」(司会 齊藤誠一:北海道大学水産科学研究院) |
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参加者と会場風景 |
講演者とスタッフで記念撮影 |
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日本学術会議北海道地区学術講演会「北海道から発信するグリーンイノベーション」 |
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期 日:11月15日(月)
場 所:学術交流会館講堂
代表者:日本学術会議北海道地区会議,北海道大学 |
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北海道の特徴である広い大地と豊かな自然,そして北海道で生み出される新たな科学・技術の双方を活かした,新たな生活・産業・経済の形について提言を行いました。
自然環境への負荷を緩和して自然を保全・再生し,さらに自然災害などの環境変化に適応するといった「自然と人類との共生」を図りつつ,同時に「人類の発展」を進める「グリーンイノベーション」とはどのようなものか,その展望を語り新たな科学・技術のあり方を考えることを目的に日本学術会議北海道地区会議及び北海道大学とが協力し,学術講演会を開催しました。
第1部の講演では,日本学術会議の大垣眞一郎副会長の「「日本の展望」と新しい科学・技術」と題した基調講演の後,本学の4名の研究者から「見えない光,赤外線を利用する太陽電池」(三澤弘明 電子科学研究所長,教授),「北海道における地中熱ヒートポンプシステムの環境貢献と経済効果」(長野克則 工学研究院教授),「日常生活をもっと便利にする北大発のナノテクノロジー」(古月文志 地球環境科学研究院教授),「太陽光エネルギー利用と環境浄化のための新しい光触媒技術」(阿部竜 触媒化学研究センター准教授)と題した北海道発の最新の学術成果が一般市民にも分かりやすく発表されました。
第2部のパネルディスカッションでは,創成研究機構 客員教授の佐藤のりゆき氏がモデレーターとなり,6名のパネリスト(第1部の講師4名に近久武美 工学研究院教授及び加藤昌子 理学研究院教授)を迎え,「今後の生活エネルギーの主体は何か?」などをテーマに活発な意見交換が行われました。 |
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パネルディスカッション風景 |
大垣副会長の基調講演 |
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