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第一回AASPPアジア原子核反応データベース研究開発会議を北大にて開催

 理学研究院附属「原子核反応データ研究開発センター」(センター長/加藤幾芳 )の主催で,第一回AASPPアジア核反応データベース研究開発会議が, 10月25日(月)〜29日(金)にかけて遠友学舎にて開催されました。
 この会議は,IAEA(国際原子力機構)を中心とした国際核データセンターネットワークに参加するアジアの核反応データセンター(日本,中国,韓国,インド)による初めての会合で,アジア地域における核反応データセンター間の連携を強化し,データ採録技術の伝播と向上を目的としたものです。
 また,この会議は,独立行政法人日本学術振興会(JSPS)の「アジア・アフリカ学術基盤形成事業(AASPP)」の一環として開催されたもので,北大−神戸大GCOEプログラムおよび理化学研究所(RIKEN)仁科センターの共催で行われました。
 国際的核データ活動は,加速器や原子炉などで取得される原子核反応に関する実験データを学術的・工学的に平和利用するために国際的なデータベースを作成し,そのデータベースへのデータの収録と公開を国際的協力のもとに行うことです。日本の核データ活動は,北大を中心とした日本荷電核反応データグループ(JCPRG)によっておよそ40年前にスタートし,2007年,北海道大学理学研究院附属原子核反応データ研究開発センターとして新たな展開をしてきました。
 近年,アジアの諸国の核データに関する状況が大きく進展し,とりわけ中国,韓国,インドでは巨大加速器実験施設の建設が進み,そこから得られる核データが大量に蓄積されつつあります。今年4月末に北大で開催されたIAEA核データセンター会議(北大時報No.675)においても,これらアジアの核データの国際的利用を図るため国際的核データベースへのデータ入力体制の整備強化が議論されました。この度の会議は,それらの議論に基づいたものでした。
 会議は,初日の岡田尚武 理事・副学長,山口佳三 理学研究院長,延輿秀人 RIKEN仁科センター長,及び,加藤幾芳センター長の挨拶に始まり,アジア圏の核データの収集と採録に関する現状分析を行うとともに,データ採録における様々な技術的課題が原子核物理学や情報科学の観点から議論されました。日本の長年の核データ採録についての経験に基づいた実践的なセミナーを開き,アジアの核データ採録者の採録技術の交流とその向上に努めました。
 アジア核データセンター長同士の会談も会期中に行われ,今後の核データセンターの連携強化や人的交流の推進,さらに次回の核データセンター会議を中国(北京)で開催することなどが合意されました。これらの活動を通して,データ収集活動に関するアジアの研究者と当センターの緊密な協力関係が築かれ,今後とも維持されることが期待されます。

 関連サイト:北大原子核反応データ研究開発センター http://www.jcprg.org/
 問い合わせ:理学研究院 加藤幾芳 (011−706−2684, kato@nucl.sci.hokudai.ac.jp
 
会議参加者による記念撮影
会議参加者による記念撮影
 
(理学院・理学研究院・理学部)
 

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