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「サイエンスカフェinえりも」を開催

 地震火山研究観測センターでは,11月17日(水),えりも町と共同で,町民を対象とした「サイエンスカフェinえりも」を,『地震と津波はどのようにして起こるのか−正しくつきあうために−』と題して開催しました。当センターでは今年4月にも札幌で市民対話型のサイエンスカフェを開催し,一般市民の地震火山に対する関心の高さや予知研究に寄せる期待の大きさを実感したところです。そこで,次は我々自身が地震火山災害の現場に出向き,被災経験のある地元住民と直接対話することが重要と考えました。津波の常襲地帯であるえりも町に提案したところ大いに賛同して下さり,今回の共同開催が実現しました。
 漁業を基幹産業とするえりも町は東西を海に囲まれ,総延長50km以上の海岸線に7つの港を抱えており,町民の津波に対する関心は非常に高いものがあります。できるだけ多くの町民に参加して頂けるように,東西2カ所に会場を設け,団体関係者の多い西側の本町地区は午後に,漁業関係者の多い東側の庶野地区では漁作業終了後の夜間にそれぞれ開催しました。2会場で総勢約80名の方々に参加して頂き,NHKや北海道新聞の取材も入りました。
 岩本溥叙(ひろのぶ) えりも町長による開会挨拶の後,当センター谷岡勇市郎 教授が地震津波の発生メカニズムやえりも町周辺の津波の特徴について,具体的な事例や動画を活用して分かりやすく丁寧に説明しました。質問コーナーでは「高台に避難するか,船を沖出しするかの判断はどうすればよいか」「津波到着時刻はどうやって予想するのか」「津波が起きやすい地震の揺れ方はあるか」「津波被害を最小限に押さえる施設や対策とは」など,地元にとって切実な質問が数多く出されました。
 閉会後のアンケートでは,「分かりやすかった」「津波の性質を詳しく知ることができてよかった」などの感想を多数頂戴しました。町長からも今後の継続的開催を要望されるなど,一定の地域貢献ができたのではないかと自己評価しているところです。当センターでは,今後もこうしたイベントの開催を通じて,地域における地震火山災害の軽減を目指した社会活動を継続的に進めていきたいと考えています。
 最後に,今回のイベント共同開催の実現・成功に導いて下さった,岩本町長をはじめ,えりも町役場スタッフの皆様に感謝申し上げます。
 
開会挨拶する岩本溥叙えりも町長 講演する谷岡勇市郎教授 会場の様子(庶野生活館)
開会挨拶する岩本溥叙えりも町長 講演する谷岡勇市郎教授 会場の様子(庶野生活館)
 
(理学研究院附属地震火山研究観測センター)
 

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