訃報

教授 小川 泰寛(おがわ やすひろ) 氏(享年60歳)

教授 小川 泰寛(おがわ やすひろ) 氏(享年60歳)

 教授 小川泰寛氏は平成23年1月16日午後4時18分,蘇生後低酸素脳症のため北大病院にて逝去されました。ここに同氏の生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 小川先生は昭和25年4月6日に北海道枝幸郡頓別村で生まれ,昭和48年3月,東京外国語大学英米語学科を卒業後,同年4月東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程に進まれ,同51年3月に同課程を修了,文学修士号を取得されました。昭和51年4月1日付けで北海道大学文学部講師(一般教育担当)として着任され,同56年11月には同助教授に昇任,同59年4月言語文化部に配置換となり,平成10年5月同教授に昇任され,平成19年4月大学院メディア・コミュニケーション研究院教授に配置換となりました。同16年よりは教育学研究科多元文化教育論講座(現:教育学院国際多元文化教育論講座)にも所属し,急逝される直前まで変わらず教育・研究に従事されておりました。
 この間,小川先生は昭和53年8月から同54年6月まで,米国カリフォルニア大学LA校にて客員研究員,また,昭和63年8月から平成元年7月までは,米国ハーバード大学イェンチェン研究所にて客員研究員として研鑽を積まれました。
 小川先生は北海道大学において35年の永きにわたり教養課程での英語教育に,また,平成12年からは大学院授業も担当され,多くの学生の教育に献身的に従事してこられました。研究面においても長年,一貫して英国演劇作家,シェイクスピアの研究に専心してこられ,着任以来ほぼ毎年発表された論考において,シェイクスピアの作品に見られる独特の修辞法や語りの意匠,あるいは,ドラマトゥルギーといった面に注目し,テクスト論の視点を踏まえつつ,人文学はもとより社会科学分野からの視点をも加えた広い視野からのシェイクスピア研究に取り組んでこられました。二度の在米研究時に培った人脈と同氏の研究への高い評価として,Eerdmans社から1997年に出版された The Grotesque in Art and Literature:Theological Reflections に掲載された英語論文や,Gale Research社から刊行されているシェイクスピア批評の年報 Shakespearean Criticism の創刊時(1989)より10人の編集顧問の一人に迎えられていることが挙げられるでしょう。また国内研究界でのご活躍は,岩波書店の『文学』(1986)や研究社の『英語青年』(1987)『シェイクスピア全作品論』(小津次郎先生記念論集, 1992)等に発表の論文にうかがわれます。
 学内における校務について,全学教育科目責任者,留学生センター運営委員会委員,出題・採点委員会委員を歴任し,大学運営に多大な貢献をされました。また,部局内では,図書委員会委員長,教育計画委員会委員長をはじめ,人事委員会委員,総務委員会委員などの様々な委員を務め,重要な責務を終始一貫誠実に勤めてこられました。
 本来ならこれから研究・教育の集大成に取り組まれることを楽しみにされていたはずの小川先生にとって,その機会が奪われたことがいかに心残りであったか,誠に惜しまれてなりません。ここにこれまでのご功績を偲び,心から先生のご冥福をお祈り申し上げます。

(メディア・コミュニケーション研究院)


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