北方生物圏フィールド科学センター洞爺臨湖実験所に,平成22年度総長室等事業推進経費により,我が国の大学施設に初めて「魚道」が設置されました。その魚道から6月7日(火)にヒメマス稚魚2万2千尾が洞爺湖に放流されました。
同実験所では,洞爺湖に生息するベニザケの陸封型であるヒメマスをモデルとして,視覚による直線的な母川回帰行動,および嗅覚による母川水のニオイ記銘・想起に関する研究を行っています。しかし,実験所と洞爺湖を繋ぐ水路がないため,母川記銘・回帰機構の解明に支障を来していました。
また,平成19年から水産科学研究院が,北海道釣友会および支笏湖漁業協同組合と協力し,支笏湖からヒメマス卵を洞爺臨湖実験所に運搬し,飼育したヒメマス稚魚を鰭切り標識して洞爺湖に放流し,ヒメマス資源量の回復を図っています。
魚道が設置されたことにより,実験所で飼育したヒメマス稚魚が自力で洞爺湖へ降下し,また親魚が直接実験所へ回帰することが可能となり,ヒメマスの母川記銘・回帰機構が解明され,さらにヒメマス資源量の回復も期待されます。また,洞爺湖の新たな教育観光施設となることも期待されています。
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洞爺臨湖実験所に設置された台形断面型階段式魚道 実験所側(左)と洞爺湖側(右) |
(北方生物圏フィールド科学センター)
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