電子科学研究所の一般公開が,電子科学研究所新棟(北キャンパス総合研究棟5号館)で,北大祭期間中の6月4日(土)に行われました。電子科学研究所は平成20年に中央キャンパスから北キャンパスに移転しましたが,今回初めて,移転後の北キャンパスで一般公開が行われました。当日は時折雨の降る,あいにくの天候にもかかわらず,受付での集計で参加者数531名と,実に多くの市民の方々が訪れました。特に家族連れが多く,小さな子供を連れたお母さんやお父さんの姿が目立ちました。
一般公開では,子どもから大人まで楽しめる体験型の展示や,環境にやさしいグリーンテクノロジーに焦点を当てたサイエンストーク(市民講座)を行いました。また,創成研究機構の特設コーナーでは,パネル展示などを行いました。
体験型の展示は,「光のふしぎ」「物質のふしぎ」「生き物のふしぎ」「計算のふしぎ」と銘打った4つのテーマに関して,本研究所の17の研究分野が参加して行われました。昨年に引き続き,山形県鶴岡市立加茂水族館のご厚意で,下村 脩先生のノーベル化学賞受賞で一躍有名になったオワンクラゲ(発光色)とウリクラゲ(反射干渉色)を特別にお借りして,その美しい姿を観察して楽しんでもらいました。さらに本年度は,クラゲが時速70キロメートルものスピードで毒針(刺胞)を発射する様子を,高速度顕微鏡で観察する展示も新たに加えました。参加者からは「子供たちが科学のおもしろさを目の当たりにして,目が輝いているのが大変印象的でした」といった感想をいただきました。
サイエンストークでは,3名の教授の先生方が,太陽電池,生物を真似たバイオミメティック材料,青色レーザーに関する講演を行いました。サイエンストークの最後には,3名の先生方を壇上に招き,来場した市民の方々と意見交換を行う公開討論の時間を設けました。震災や原発事故で,科学技術と社会との関わりが注目される中,市民の方々から活発な意見が出て有意義な討論が行われ,サイエンストークの終了後も,参加者と講演された教授の先生方との会話が続いていたのが印象的でした。参加者からは「未来に向けて夢が広がった」といった感想をいただきました。
昨年までは北大祭で賑わう中央キャンパスで一般公開を行いましたが,今年から北大祭の会場から少し離れた北キャンパスで一般公開を行うに当たり,多くの市民の方々に来場いただけるよう様々な工夫を凝らしました。今回からの新しい試みとして,ベロタクシー(自転車タクシー)を4台借りて,北18条門から会場である電子科学研究所新棟まで無料で運行しました。会場でアンケートに回答した方の約33%が,ベロタクシーを利用して来場され,往路346名,復路290名,あわせて延べ636名が乗車され,大変好評でした。参加者からは「初めて乗りました,子供が楽しそうでした」といった感想をいただきました。
また,今回初めて札幌市教育委員会の後援を受けました。札幌市周辺の小樽市,江別市,石狩市,北広島市,恵庭市の教育委員会にもご協力いただき,札幌市とその周辺の幼稚園・小学校・中学校・高等学校の総計500を超える学校にポスターを事前配布しました。北大祭とも連携して,北大祭のパンフレットやウェブにも掲載していただいたほか,北大祭のスタンプラリーにも参加しました。
会場の玄関前広場は,終日,シャボン玉遊びをする子供や家族で賑わい,研究の紹介の枠を超えて,研究所と市民が一体となった一日となりました。
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クラゲの毒針発射に見入る参加者 |
光の実験の説明を受ける親子 |
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サイエンストークでの公開討論 |
北18条門から会場に向かうベロタクシー |
(電子科学研究所)
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