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大学文書館が佐藤昌介筆墨4幅の寄託を受ける

 8月8日(月),大学文書館では,佐藤覺太郎氏から,佐藤昌介筆墨4幅をご寄託いただきました。筆墨は,北大初代総長佐藤昌介(1856-1939)が札幌農学校時代の教え子佐藤庄助氏(1876-1944)のご縁戚へ贈ったもので,そのご子孫に当たる覺太郎氏へと受け継がれてきたものです。
 佐藤庄助氏は,現在は「旧有壁宿本陣」(宮城県栗原市)として史跡となっている有壁宿本陣の検断を代々務める佐藤家に生まれました。1892(明治25)年に札幌農学校予科に入学し,新渡戸稲造らに学びました。帰郷後,宮城県会議員,衆議院議員を務め,東北本線有壁駅開設など地元の振興に奔走しました。佐藤覺太郎氏は,佐藤庄助家のご親戚筋に当たります。
 筆墨は1928(昭和3)年夏・秋に,佐藤昌介が自作の漢詩や,幕末期の著名な儒学者頼三樹三郎の漢詩を書したものです。佐藤家では,筆墨を1幅1枚ずつの襖貼りに設えて大切に受け継いで来られました。この度,東日本大震災による被害で止むを得なくご尊宅の取り壊しに際し,大学文書館にご寄託いただきました。筆墨は力強い作品で,状態も非常に良く,佐藤家でたいへん大切にして来られた様子をうかがうことができます。大学文書館では,今後の保存や展示等での利用の方法を鑑みて,筆墨の表装を行ない,4幅の掛け軸に仕立てました。また,ご寄託の際には,栗原市教育委員会がご仲介下さり,NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークが文化財レスキューの一環として襖から筆墨を剥離する作業をご担当下さいました。
 寄託資料は,貴重な美術品であると共に,札幌農学校の師弟親交を示す重要な資料でもあります。大学文書館において大切に保管してまいります。

佐藤昌介筆墨(1928年揮毫) 佐藤昌介筆墨(1928年揮毫) 佐藤昌介筆墨(1928年揮毫) 佐藤昌介筆墨(1928年揮毫)
佐藤昌介筆墨(1928年揮毫)

(大学文書館)


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