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「都ぞ弥生」SPレコード(1930年製)を大学文書館で受贈

 10月12日(水),大学文書館では,前川公美夫氏(工学部1971年卒業,財団法人札幌市生涯学習振興財団理事長)から,「都ぞ弥生」・「瓔珞みがく」のSPレコード(1930年製)の寄贈を受けました。前川公美夫氏には,『北海道音楽史』などの北海道の文化史に関する研究著書があります。
 1930(昭和5)年12月,日本コロンビア蓄音器株式会社から北海道帝国大学学生課に寮歌吹き込みの打診がありました。恵迪寮では寮歌の「本調子」を失わないために寮生による吹き込みを主張しましたが,結局,恵迪寮が音楽部に委託する形式で恵迪寮歌「都ぞ弥生」と予科桜星会歌「瓔珞みがく」を吹き込むことになりました。12月20日に寮務部長大沼正夫(予科3年)が音楽部合唱部員6名を伴って上京し,25日までに吹き込みを終えました。レコードA面には「都ぞ弥生」を無伴奏で2番まで,B面には「瓔珞みがく」を伴奏付きで6節までを吹き込み,レコードは翌1931(昭和6)年に発売されました。
 寮生として歌い方を指導し,吹き込みに立ち合った大沼は,「レコードの廻転時間の関係上『都ぞ弥生』は寮生の歌ふ様な悠長味は出すことが出来なかったが聞きなれゝば寧ろあの位のテンポの方がいゝのではあるまいか。『瓔珞みがく』は多少テンポを早くして『都ぞ弥生』との対称を良くした。ややもすると寮生予科生ですら出鱈目な歌ひ方をする者もある様だがこのレコードに依って歌ひ方が一定されると幸である」と述べています(1931年1月12日付『北海道帝国大学新聞』)。

 寄贈資料は戦前期の学生文化を音で聞くことのできるたいへん貴重な資料です。大学文書館で大切に保管してまいります。

「都ぞ弥生」SPレコード(1930年製) 1931年1月12日付『北海道帝国大学新聞』
「都ぞ弥生」SPレコード(1930年製) 1931年1月12日付『北海道帝国大学新聞』

(大学文書館)


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