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グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」
第3回国際シンポジウムを開催

 11月26日(土),グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」は,スラブ研究センターと共同して冬期国際シンポジウムを開催しました。3回目となる本シンポジウムは,岩下明裕拠点リーダー(スラブ研究センター教授)による基調演説に続き,例年通り冒頭に理論セッションを置き,地域・テーマ別に「東南アジア地域の境界と開発」,「分断された空間」セッションという構成になりました。
 冒頭の理論セッションでは,北米から,Tony Payan氏,ヨーロッパからはJames Scott氏という,世界の境界研究をリードする研究者をお招きしました。北米は米墨(アメリカ・メキシコ),米加(アメリカ・カナダ)という,境界研究が最も注目する国境を抱えており,またヨーロッパはEU統合により,境界が新たに引き直されている地域です。両氏とも,個別の事例紹介にとどまっていて,理論や比較を考慮しない従来の「境界研究」を鋭く批判しました。
 続く「東南アジアにおける境界と開発」セッションでは,英語圏の研究者によるメコン川のダム問題,インド北東部の人口移動問題の報告が行われました。また,「分断された空間」セッションでは,エルサレム,モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ),アイルランド,沖縄についてそれぞれの専門家が報告を行いました。両セッションとも,いずれも詳細な現地調査に基づき,情報豊富な,現場の空気が伝わってくるような報告でした。その一方で,討論者からは,世界中の同様の現象と比較するための拠り所や手法を考慮すべきではないか,とのコメントが出されました。こうした議論は,比較政治学からの地域研究に対する批判と似ており,地域研究を主要テーマとするスラブ研究センターにとっても意味のあるものでした。シンポジウムでは日英同時通訳が提供され,一般市民も境界研究の議論に聞き入っていました。
 シンポジウムの翌日27日(日)には,本グローバルCOE主催により,中村美彦氏(フリージャーナリスト)を司会に,金平茂紀氏(TBSキャスター)らをパネリストに据えた公開討論会「激論 北方領土問題 現場からの眼差し」が札幌エルプラザ内ホールで開かれ,150名余りの市民が,ロシアと根室の事情に精通した専門家達による討論に耳を傾けました。

参国際シンポジウムの様子 公開討論会の様子
国際シンポジウムの様子 公開討論会の様子
国際シンポジウム参加者
国際シンポジウム参加者

(スラブ研究センター)


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