北方生物圏フィールド科学センター洞爺臨湖実験所に設置された魚道に,10月のヒメマスの産卵期に性成熟したヒメマス親魚が遡上しました。
同実験所では,洞爺湖に生息するベニザケの陸封型であるヒメマスをモデルとして,サケの母川記銘・回帰機構に関する研究を行っています。また,水産科学研究院と協力し,洞爺臨湖実験所で飼育したヒメマス稚魚を鰭切り標識して洞爺湖に放流し,ヒメマス資源量の調査を行っています。
洞爺湖で成長し性成熟したヒメマス親魚89尾が,10月中〜下旬に設置された魚道を遡上し,同実験所の飼育池に回帰しました。回帰した親魚の平均体長は約29cm,体重約300gでした。そして,回帰した雌親魚55尾から約25,000粒を採卵し,人工授精して飼育しています。
また,2008年春に左腹鰭を切除し,洞爺臨湖実験所から放流した3歳魚が,9尾確認されました。
性成熟したヒメマス親魚が魚道を遡上して洞爺臨湖実験所に回帰したことにより,我が国の大学に初めて設置された魚道の有効性が証明されました。今後,ヒメマスの母川記銘・回帰機構を解明するため種々の実験が行われ,さらに洞爺湖のヒメマス資源量の回復が期待されます。
洞爺臨湖実験所の魚道を遡上した ヒメマス親魚尾数(平成23年)
月日 |
尾数 |
10.17 |
3 |
10.19 |
10 |
10.20 |
26 |
10.21 |
15 |
10.23 |
21 |
10.24 |
5 |
10.25 |
4 |
10.27 |
5 |
合計 |
89 |
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洞爺臨湖実験所の飼育池に遡上したヒメマス親魚 |
(北方生物圏フィールド科学センター)
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