11月12日(土)に総合博物館において,土曜市民セミナーを開催しました。今回は,加藤博文教授(アイヌ・先住民研究センター)を講師に迎え,「大陸から島へ−バイカル・北海道考古学プロジェクトの取り組み」をテーマに行いました。
バイカル・北海道考古学プロジェクト(BHAP)とは,6カ国の研究者と研究機関が参加し,北ユーラシアの視点から狩猟採集民社会の歴史的変遷を比較研究し,氷河期以降の長期的な文化の動態と環境変化を追跡する国際プロジェクトであり,今年の夏から礼文島をフィールドとした国際フィールドスクールが実施されています。また,礼文島の教育関係の方々からも大きな期待が寄せられています。
講演では,北海道の先史文化の地域特性,本州と北海道の歴史的動態の違いや,後氷期の気候変動と文化変化との対応関係などが述べられ,上記の国際プロジェクトBHAPのねらいや課題が説明されました。そして,「進歩主義」や「発展主義」といった狩猟採集民社会に対する固定観念からの脱却,多様性に富んだ狩猟採集社会像の構築,開かれた狩猟採集社会の理論化の必要性などが強調されました。
礼文島・北海道は,南からの縄文文化の波及と北からのオホーツク文化の移住拡散との狭間に位置していたそうで,考古学的に見ても興味深いフィールドとのことでした。この視点は,博物館教職員の足元を見直すよい機会にもなりました。
参加者の皆さんからも活発にご質問いただき,加藤教授は丁寧に説明されていました。このセミナーは近くオープンコースウェア(OCW)で公開される予定です。
 |
講演中の加藤教授 |
(総合博物館)
|