訃報

名誉教授 藤野 和夫 (ふじの かずお) 氏 (享年80歳)

藤野 和夫 氏  名誉教授 藤野和夫氏は,平成24年5月1日に逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 同氏は,昭和33年3月北海道大学理学部地球物理学科を卒業,同35年3月同大学院理学研究科地球物理学専攻修士課程を修了後,同年4月北海道大学低温科学研究所助手に採用され,同43年4月同講師,同45年4月同助教授を経て,同62年4月同教授に昇任されました。その間,昭和46年8月よりカナダ環境省,海洋科学研究所客員研究員として研究に従事され,同48年10月に復職されています。
 平成7年3月,本学を停年退職後,同年4月,北海道大学名誉教授の称号を授与され,また,同8年10月から5年半,北海道工業大学教授を務められました。
 研究面においては,海水の結氷温度の研究において,後にユネスコの標準式となる結氷温度と塩分,圧力の関係を明らかにするという国際的な業績を挙げられました。また,カナダ北極海沿岸に賦存する地下集塊氷に着目し,その成因,水収支を含む古環境の解明のための日本カナダ科学技術協力事業を推進され,多大の成果を収められました。
 研究活動以外でも学内外でご活躍され,平成3年4月から4年間,低温科学研究所長を務められ,寒冷圏の総合科学の推進を目的とする全国共同利用の大部門制の研究所に改組する構想案を実現されるとともに,日本雪氷学会北海道支部の理事,幹事長を歴任され,学会活動の推進,発展にも多大に寄与されました。
 これらの功績に対して,平成12年10月,日本雪氷学会功績賞が授与されています。
 以上のように,同氏は長年にわたり専門分野を通じて本学の発展,国内外の学術振興,人材の育成に多大な貢献をされました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(低温科学研究所)

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