スラブ・ユーラシア地域では20年ほど前に社会主義体制が崩壊し,新たな国境が生まれました。また隣接地域との関係も大きく変容してきています。自然環境は本来,社会や政治の変化と無縁ですが,現実には大きな影響を受けています。ユーラシアにおける自然環境は,体制変動の結果として,今どうなっているのか。誰がそこに目を向け,誰が自然環境を守っていくのか。講演者からはこのような課題が示されました。
本講座を通して,ユーラシアの東端に位置する日本,なかでもロシアや中国と一衣帯水の位置にある北海道が果たすべき役割などについて,60名ほどの聴講者の皆さんから様々な質問や意見も提示され,熱い議論で終了時間を過ぎてしまうこともありました。
講演題目と講演者は以下のとおりです。
講演題目・講演者
「ドナウ中流域と環境汚染事故への対応」家田 修(スラブ研究センター教授)
「中央ユーラシアの人と自然の歴史:ユーラシア深奥部の眺め」窪田 順平(総合地球環境学研究所教授)
「ドナウ・デルタをめぐる国際法レジームのダイナミズム」児矢野マリ(法学研究科教授)
「中央アジアの政治史と水」地田 徹朗(スラブ研究センター研究員)
「松花江の汚染と北東アジア水域」相川 泰(鳥取環境大学准教授)
「アムール・オホーツク巨大魚付林と東アジア地域協力」白岩 孝行(低温科学研究所教授)
「東アジアの環境リテラシー」山下 哲平(日本大学助教)