6月29日(金),第1回スラブ研究センター公開講演会を人文・社会科学総合教育研究棟で開催しました。当センターは,年に約3回開く国際シンポジウムをはじめ,国内外の研究者を招いて先端的な研究を議論する場を多く設けており,また特定のテーマに沿って講師陣を集めた公開講座も開いていますが,専任教員が日常的に行っている研究の成果を一般向けに話す機会は必ずしも多くありません。そこで,専任教員の最新の研究内容やスラブ・ユーラシア地域の最新事情を,市民・学生・ジャーナリストなどに向け広く公開するための企画として,公開講演会を定期的に開催することにしました。
第1回となる今回は,「中央アジアから見る世界の『今』:『民主化』とユーラシア国際秩序再編」と題して,宇山智彦センター長が講演しました。講演では,(1)エジプト,リビアなどで独裁政権が倒れる「アラブの春」で民主化が再び注目されているものの,世界的には1990年代末以降民主化が停滞しており,中央アジアでも大勢としては権威主義体制が継続する中で,部分的な民主化の試みや衝突が起きていること,(2)ロシア,中国,アメリカの進出に対して中央アジアの小国も自らの国益を積極的に追求していること,(3)グローバル化しても決して均質化しない世界の中で,国家間・社会層間の格差や体制の違いを利用した駆け引きが繰り広げられている様子が中央アジアを例によく見て取れること,などが語られました。講演会には約60人が出席し熱心な質問が出されました。
当センターは今後,年4回の定例公開講演会と,不定期の臨時公開講演会を開催する予定です。9月に野町素己准教授,12月に望月哲男教授,来年3月に岩下明裕教授の講演を行うことを計画中で,詳細は決まり次第ホームページ等でお知らせします。
また,当センターの活動内容と公開講演会の趣旨に関する宇山教授の解説が,北海道新聞6月22日(金)夕刊に掲載されています。