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総合博物館で企画展示「藻類が人類の未来を救う」を開催

 総合博物館では7月10日(火)から9月23日(日)まで,創立60周年を迎える日本藻類学会との共催で,企画展示「藻類が人類の未来を救う」を開催しています。
 藻類(そうるい)とは,コケ植物,シダ植物,種子植物を除く主に水圏に生息する植物の総称で,日本人に馴染み深いコンブ,ワカメ,ノリ等の食用海藻も藻類に含まれます。本学における海藻分類学の研究は,札幌農学校時代,宮部金吾博士らによるコンブ研究に始まりました。現在でも世界的な藻類研究拠点のひとつとして知られており,質・量ともに世界でも屈指の藻類標本コレクションを擁しています。
 藻類の多くは,光の豊富な浅い水中で生活しています。そのため,われわれ人類の活動による水質悪化や,埋め立てによる生育地の消失などにより,多くの種が絶滅の危機に瀕しています。しかし地球の歴史を見ると,むしろ藻類が地球環境を激変させてきたことがわかります。大量の酸素を放出した太古の藻類は,生物の進化の方向に大きな影響を与えると同時に,鉄や石油といった,現代文明を支える資源をも生み出してきました。
 今回の企画展示では,当館が収蔵する環境省レッドデータ掲載の絶滅危惧藻類標本をはじめ,関係研究機関・団体の全面的な協力により,白亜紀の藻類が堆積して形成されたイギリス海峡のチョーク,食用をはじめ医薬品・化粧品などの様々な分野で利用される藻類,未来のエネルギー資源としての藻類などを多数展示するほか,特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」の生体展示を行っています。
 また,理学部第2期生であり,道内各地の水産試験場長を歴任された川嶋昭二博士による細密な海藻画62点を一堂に展示し,知床を拠点に活躍するカメラマン関 勝則氏の水中写真もご覧いただきます。

関連セミナー

「マリモはなぜ阿寒湖で丸くなるのか−偶然の重なりがもたらす生物の球化現象」
  講 師:若菜 勇(釧路市教育委員会マリモ研究室)
  日 時:8月11日(土) 13:30〜15:30
  会 場:総合博物館1階「知の交流」コーナー
「私の藻食論−海藻を食べて健康になりましょう」
  講 師:舘脇正和(北海道大学名誉教授)
  日 時:9月8日(土) 13:30〜15:30
  会 場:総合博物館1階「知の交流」コーナー

阿寒湖のマリモ

阿寒湖のマリモ

アサクサノリ(川嶋昭二博士画)

アサクサノリ(川嶋昭二博士画)

(総合博物館)

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