訃報

名誉教授 神山 桂一 (こうやま けいいち) 氏 (享年84歳)

神山 桂一 氏  名誉教授 神山桂一氏は,平成24年10月29日,84歳でご逝去されました。
 先生は,昭和2年11月12日に島根県に生まれ,昭和29年2月京都大学工学部土木工学科を卒業後,京都大学工学部助手,講師を経て同33年4月に北海道大学衛生工学科助教授として着任,同53年4月に教授に昇任されました。平成3年3月に北海道大学を退官し,名誉教授の称号を授与され,退職後は北海学園大学工学部教授となり,平成5年4月から同7年3月まで工学研究科長を務められました。
 先生は衛生工学,廃棄物工学の誕生期における教育・研究者として分野の発展に務められました。特に北海道大学においては衛生工学科創設期の教育・研究,学科の充実に貢献され,北は北見工業大学,南は琉球大学まで広く,環境衛生工学に関する教育においても尽力されました。
 衛生工学分野では,高濃度廃水の処理技術の開発・指導,廃棄物に関しては埋立地における汚濁物,有害物の挙動,さらには廃棄物処理のシステム的評価まで広く研究対象とされました。学会活動では,土木学会衛生工学委員会委員長,廃棄物学会副会長などを務められ,国や地方自治体に対しても多数の審議会・委員会を通じて多大の貢献をされました。平成3年度には廃棄物学会論文賞を,さらに環境保全活動の普及・啓発への努力に対して平成14年度環境大臣賞の表彰を受けられました。
 先生はその深い見識によって,市民対象の神山ゼミを亡くなられる直前まで定期的に開催され,お住まいのある北広島では環境問題に取り組む市民の精神的リーダーでありました。周囲からの敬愛の深さは,お別れ会に多くの市民が参列されたことに表れており,市民とともに考え行動する稀有な科学者でありました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(工学院・工学研究院・工学部)

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