訃報

名誉教授 田中 達夫 (たなか たつお) 氏 (享年87歳)

田中 達夫 氏  名誉教授 田中達夫氏は,平成24年11月2日早朝,87歳でご逝去されました。
 先生は,大正15年8月8日に生まれ,昭和23年3月京都大学工学部化学機械学科を卒業,同25年3月大学院特別研究生(第1期)を修了されました。同年3月金沢大学金沢工業専門学校に赴任し,その後金沢大学工学部講師,助教授を経て同35年4月教授に昇任されましたが,昭和37年12月北海道大学工学部教授に配置換となりました。北海道大学では,工学部合成化学工学科工業化学計測講座を担任し,大学の各種委員として運営に参加され,平成2年3月停年退官,同年4月名誉教授となられました。さらに同月からは北海道職業訓練短期大学校校長として赴任し,平成3年6月に退職されました。
 教育面では,北海道大学在職中,化学工学と粉体工学関連の授業を担当し,学内では文学部,水産学部,学外では京都大学や道内大学などの非常勤講師として,国外では台湾成功大学,豪州メルボルン大学などの客員教授として広く教育に尽力されました。
 研究面では,粉体プロセス工学の分野において,特に粉砕限界説の提唱や閉回路粉砕方式の解析手法など,斬新な研究論文で国内外の高い評価を得,昭和32年7月京都大学から工学博士号を授与されました。加えて粉体の貯槽,造粒,計測技術,充填,粉塵爆発など化学と粒子に関わる独創的で価値ある業績に対し,昭和63年4月に化学工学会学術賞を授与されました。
 海外との研究交流は,昭和33年にフルブライト留学生として在籍した米国ミネソタ大学をはじめ,英国,米国,中国,豪州,カナダの大学や研究所など多数に及び,この卓越した研究レベルと交流に対し,平成元年に粉体工学会より世界的な賞である井伊谷賞を授与されました。
 また,学会運営では,粉体工学会副会長,化学工学会の各種委員などを歴任されました。
 以上の功績は顕著であり,平成19年春には,瑞宝中授章を授与されております。
 ここに謹んで先生のご功績を称え,ご冥福を心からお祈り申し上げます。

(工学院・工学研究院・工学部)

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