文学研究科・文学部では,教員資質向上,授業改善,教員と学生の関係の是正などを目的として,随時ファカルティ・ディベロップメント(FD)研修会を行ってきたところです。
今年度は,実社会と大学教育のつながりを意識せずにはいられない昨今の状況に鑑み,実社会が北大生に求める能力や姿勢について,文学部卒業生・文学研究科修了生の就職先の先輩達の声を通して知る機会にしたいと考えました。それは,我々教員が日々取り組む学生教育の目標設定において重要な道標になり得るからです。
そこで,講師に文学部卒業生が多数就職する札幌市役所から山際裕信氏を迎え,2月8日(金)午後12時45分から同2時まで,人文・社会科学総合教育研究棟W409室において,「いま,これから北大卒業生に求められること―市役所・先輩・親の眼から―」と題して,北大生に求めること,学生教育に期待することをお話しいただきました。
山際氏は道内の高校から本学卒業後に札幌市役所へ奉職され,現在,建設局総務部部長職にあり,札幌市下水道資源公社事務局長を務められています。また,本研究科・学部で芸術学を学んだ卒業生・修士課程修了生のご尊父でもあります。
山際氏は,自身の経験,日頃接している後輩達から感じられることなどを具体的に話され,さらに,先輩・同僚の方々への聞き取り調査に基づいて,市役所職員や公務員,ひいては社会人として求められる姿勢や態度についてお話しされました。なかでも,しばしば公務員の仕事に言われる,与えられた仕事をこなす能力に加えて新たな問題を設定していく「アイデア」,それを解決していくために必要な組織内または外部との「連携」の大切さを説かれました。そしてそのような力こそ,大学,特に文学部教育によって育まれるはずであり,そうでなければならないと指摘されました。
研修会には教職員25名が参加し,終始話に引き込まれ,最後には率直な意見交換が行われました。
本研究科・学部では,今後もこのような研修会を開催し,それを通してより良い教育研究環境の形成を目指したいと考えています。