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教育学研究院が国際会議「グローバリゼーション下における教育学・
教育科学の挑戦−日本とフランス−」を開催

参加した学生,教員など(最後列中央はロシェックス教授)

参加した学生,教員など(最後列中央はロシェックス教授)

 教育学研究院では3月20日(水)から22日(金)まで,学術交流会館において,フランスからジャン=イヴ ロシェックス教授(パリ第8大学教育科学部)をお招きして,「グローバリゼーション下における教育学・教育科学の挑戦−日本とフランス−」というテーマによる国際会議を開催しました。(担当:教育学研究院准教授 浅川和幸)
 ロシェックス教授は,アンリ ワロンの「子どもとその環境」という課題を重視して,ヴィゴツキー心理学とバジル バーンスティン社会学の方法を使用しながら,「言葉」という概念を基軸することで,「知の連関」,「生徒の困難」,「学校の不平等」をキーワードとして,教育実践と教育政策をつなげてフランスの社会的,政治的現実をともなった関係の中での学校を構造的に分析する,日本,イギリス,ブラジルなどの教育学,人間学,学校論の研究者と国際的な共同研究に取り組んでいるフランスの教育科学研究者です。
 国際会議は,「2000年以降のフランスにおける教育制度改革と教育の民主化」,「学校と労働者階級−希望と失望−」,「教室における学校の不平等の構築−教育装置・教育実践の核心−」,「フランスとヨーロッパにおける優先的教育政策・補償教育政策」という4つのセッションを設けて,それぞれ,最初にロシェックス教授よりその題目に基づくフランスの教育について講演をいただいた後,教育学研究院の教員による日本の教育についてのコメントを行い,全体による討論を行いました。参加者は,教員,大学院学生,学部学生など74名を数えました。
 討論では,フランスと日本が直面している教育問題が,現象としては似ているものの,歴史的,社会的文脈としては違っているが,これは教育,教育学における国家の役割が明確化されなければならないことを意味しており,このような教育問題を把握するためには,近接領域の研究方法を踏まえつつも,教育学固有の分析方法が重視されなければならず,心理学と社会学の接点に教育学を見出そうとするフランス教育科学は,日本の教育学を再構成する上で,一つの重要なアプローチではないか,ということが議論されました。
 ロシェックス教授ともっと様々なことを議論したいという余韻が残った国際会議であり,参加者からは,今後も欧米の教育学研究者を招へいしての国際会議の開催を要望する声が出されるなど,貴重な国際会議でした。

(教育学院・教育学研究院・教育学部)

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