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大学院生による総合博物館展示リニューアルの取り組み

 文学研究科の展示制作プロセス演習(「人類学特別演習」担当:教授 佐々木亨)では,総合博物館の監修のもと,平成20年度からこれまで,同館1階の「人間・社会・自然と科学技術」展示室,「循環から見る自然と人−森・土・水−」展示室のリニューアルに取り組んできました。
 平成24年度は同館2階「北大の蔵書」展示室を対象に,同演習を履修した11名の大学院生がリニューアルに取り組みました。平成20年7月に同展示室は完成しましたが,その際,展示企画制作を担当した池上重康助教(工学研究院)の指導の下,附属図書館及び大学文書館から資料・情報をご提供いただき,リニューアルを完成させました。
 平成24年度の演習では,はじめに総合博物館のどの展示室をリニューアル対象にするかを,大学院生が検討しました。その際,自分たちの目で各展示室を観察して評価し,それに加えて来館者アンケート調査及びトラッキング調査結果などを参考にしました。その結果,3つの展示室が候補となり,最終的に「北大の蔵書」がリニューアル対象となりました。
 その後,当初展示の企画制作を担当した池上助教,大原昌宏教授(総合博物館),井上高聡助教(大学文書館),また附属図書館と大学文書館などへのヒアリングや相談を重ねてきました。本学が所蔵する蔵書や資料を展示という形でいかに社会に伝えるかを検討し,すべての展示資料を網羅した展示シナリオという形で企画を完成させました。
 これまでのリニューアルでは,展示企画と解説パネル原稿などを大学院生が担当したのち,専門の展示業者に展示制作を委託してきました。しかし今回は,この演習で初めて展示企画からその後の展示シナリオ作り,展示室レイアウトの検討,解説パネル原稿の執筆,資料ラベルの作成,資料の列品,ライティングなどといった展示制作作業のすべてを大学院生が一貫して行ったのが特徴です。また,学内の研究室でかつて使われていた木製の本棚を利用して蔵書を展示し,ほかの展示室とは異なる雰囲気を作り出している点も,もう一つの特徴です。
 そして,4月2日(火)に「北大の蔵書」展示室がリニューアルオープンしました。新しい展示室は,次のような構成になっています。本学の蔵書の始まりとして,開拓使時代のお雇い外国人の舶載洋書を紹介し,さらに札幌農学校時代の学生が読んでいた書籍を紹介する「1.学びの様子を伝える貴重書」コーナー。学生が読んでいたと思われる文学作品や社会思想系の書籍を紹介する「2.文化に関する書籍」コーナー。続く「3.学生の机」コーナーでは,学生の受講ノートなどを展示し,昭和初期の学生机のイメージを再現しました。最後の「4.北海道大学附属図書館の歴史」コーナーでは,附属図書館の外観や蔵書システムの変遷を紹介し,図書館の歴史を伝えました。
 1年間かけて大学院生が手掛けたリニューアル展示をご覧いただき,ご意見をいただきたいと思います。
リニューアルされた「北大の蔵書」展示室

リニューアルされた「北大の蔵書」展示室

(総合博物館)

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