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大学文書館で澁谷紀三郎関係資料を受贈

 大学文書館では,3月26日(火)及び4月1日(月),澁谷紀直氏より,澁谷紀三郎関係資料をご寄贈いただきました。澁谷紀直氏は,澁谷紀三郎のご令孫にあたります。
 澁谷紀三郎(1883-1951)は,1902(明治35)年札幌農学校予修科に入学,1904年予修科を修了後,札幌農学校本科に進学しました。本科では,農芸化学を専攻し,吉井豊造教授・大島金太郎教授に師事しました。1908年7月,卒業論文「醸造用麦芽ニ就テ」を提出し,東北帝国大学農科大学の第1期生として卒業しました。卒業後は,農科大学副手を経て,台湾総督府農事試験場技師(後に,中央研究所農業部・農業試験所技師)となり,台湾各地を踏査して,土性調査(土壌分析)を成し遂げました。1928(昭和3)年には「台湾に於ける赤色土の化学的研究」で農学博士号を取得し,1929年台北帝国大学教授となって理農学部農芸化学第一講座を担当すると共に,中央研究所農業部長・農業試験所長も歴任しました。
 このたび受贈した資料は,(1)履歴書1点,(2)写真8点(肖像写真4点,集合写真4点),(3)旧蔵書3点,(4)澁谷紀三郎短歌集『父のおもかげ』(霜けい子編,1961年)です。(1)は,台湾から引き揚げ後の1947年4月に澁谷紀三郎が書いた履歴書です。(3)には,中央研究所農業部や台北帝国大学での集合写真のほか,澁谷紀三郎が書斎に飾っていた新渡戸稲造の肖像写真も含まれています。(4)の短歌集には,台湾の果樹や戦後の心境なども詠まれています。
 大学文書館では,受贈資料を大切に保管し,展示等で活用していきます。
 なお,(3)の集合写真からは,現在,附属図書館正面玄関ロビーで開催中の展示「“台湾は天然の恩恵裕なる”──植民地台湾を駆けた北大卒業生たち 《第III期 学問と実業》」において,台北帝国大学理農学部卒業記念写真を展示パネルとして掲示しております。是非,ご覧ください。
直筆の履歴書と旧蔵書『ファウスト』

直筆の履歴書と旧蔵書『ファウスト』

台湾総督府中央研究所農業部前にて(1930年代後半)山根甚信(前列左端),素木得一(前列左2番目),磯永吉(2列目右端),澁谷紀三郎(前列右端)たち,北大卒業生の姿が見られる。

台湾総督府中央研究所農業部前にて(1930年代後半)
山根甚信(前列左端),素木得一(前列左2番目),磯永吉(2列目右端),澁谷紀三郎(前列右端)たち,北大卒業生の姿が見られる。

(大学文書館)

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